The Doors - The Doors (1967)
The Doors『The Doors』日本盤LP(1977年)について
ザ・ドアーズのデビュー作『The Doors』は、1967年に発表されたロック史の中でも重要な一枚だ。ジム・モリソンの歌唱と語りに近い表現、レイ・マンザレクのオルガン、ロビー・クリーガーのギター、ジョン・デンスモアのドラムが、ブルース寄りの骨格とサイケデリックな展開をひとつにまとめている。デビュー盤でありながら、バンドの個性が最初からかなり明確に出ている作品として知られている。
作品の位置づけ
このアルバムは、バンドにとって出発点であると同時に、代表曲を一気に並べた決定的な名刺代わりでもある。「Break On Through (To the Other Side)」「Light My Fire」「The End」といった楽曲が収められており、のちのドアーズ像をほぼこの時点で提示している。とくに「Light My Fire」はシングルとして大きくヒットし、アルバム全体の認知を押し上げた。作品単体の完成度と、シングルの浸透が重なって評価が固まった流れだと言えそうだ。
制作面では、ロサンゼルスで録音された初期のバンド・サウンドが中心になっている。ライブで鍛えた曲を軸にしつつ、オルガンの前面に出た編成が、同時代の多くのギターロックとは少し違う空気を作っている。サイケデリック・ロックとブルース・ロックの要素が並びながら、単なる様式の寄せ集めではなく、曲ごとの緊張感で引っ張る作りになっているのがこの盤の特徴だろう。
収録曲の聴きどころ
「Break On Through」は、冒頭からテンポよく進むが、リズムの置き方やモリソンの声の入り方に独特の引っかかりがある。「Soul Kitchen」や「Twentieth Century Fox」では、比較的コンパクトな曲の中で、バンドの演奏のまとまりが見えやすい。「The Crystal Ship」は短い曲ながら、アルバムの中で静かな場面を作る。「The End」は別格で、長尺の構成と語りに近いボーカルが、当時のロック作品の中でもかなり強い印象を残す。
実際に通して聴くと、派手な曲だけで押し切るアルバムではなく、曲の長短やテンションの差で流れを組み立てていることが分かる。前半の推進力から、後半の展開の長さへ進む構成があり、LPとして聴いたときにまとまりが出やすい作りだ。A面とB面で空気が変わる感覚も、この時代のアルバムらしさとして残っている。
同時代との関係
1967年前後のロックには、サンフランシスコ周辺のサイケデリック・シーンや、英国勢のブルース・ロックもあるが、ドアーズはそのどちらとも少し違う位置にいる。ギターのリフで押すというより、鍵盤の存在感とモリソンの声が前に出る。そこが、ジャニス・ジョプリンやジェファーソン・エアプレイン、ドアーズと同時代の多くのバンドと比べたときの分かりやすい差になっている。後のオルタナティヴ・ロックやダークなロック表現にも、こうした構図は影響を与えたと見られている。
1977年日本盤について
今回の盤は1977年の日本盤LPで、レーベルはElektra、品番はP-10334E。ジャケット、背表紙、インサート、ラベルに品番表記があり、解説インサート付きの国内仕様となっている。透明のビニール内袋が付くシングルジャケットで、4ページの白黒インサートが封入されている点も、当時の日本盤LPらしい仕様だ。発売元はワーナー・パイオニア株式会社で、Elektraのライセンス盤として日本で製造されている。
ラベルはElektraのバタフライ・ラベルで、1970年代の同レーベルらしいデザインになる。オリジナルの1967年盤とは当然ながら体裁が異なり、1977年時点の日本市場向けに整えられた再発盤という位置づけだ。盤面のランアウトは両面ともスタンプ表記とのことなので、国内プレスらしい情報も残っている。
まとめ
『The Doors』は、デビュー作でありながらバンドの核をほぼ出し切っているアルバムだ。ヒット曲「Light My Fire」の存在で知られがちだが、実際には「Break On Through」から「The End」まで、曲ごとの表情の差がはっきりしている。ブルース、サイケデリア、鍵盤主体のアレンジ、モリソンの語り口が重なり、1967年のロックを象徴する一枚として今も参照され続けている。1977年の日本盤は、その名盤を国内仕様で受け取れる形にした一枚で、当時の再発LPとしても資料性の高い存在だ。
トラックリスト
- A1 Break On Through (To The Other Side) 2:25
- A2 Soul Kitchen 3:30
- A3 The Crystal Ship 2:30
- A4 Twentieth Century Fox 2:30
- A5 Alabama Song (Whisky Bar) 3:15
- A6 Light My Fire 6:50
- B1 Back Door Man 3:30
- B2 I Looked At You 2:18
- B3 End Of The Night 2:49
- B4 Take It As It Comes 2:13
- B5 The End 11:35