The Moody Blues - On The Threshold Of A Dream (1969)
The Moody Blues『On The Threshold Of A Dream』(1969)
1960年代後半のThe Moody Bluesは、ロックの中にオーケストラ的な厚み、詩の朗読、メロトロンの響きを持ち込みながら、アルバム全体をひとつの流れとして組み立てていったバンドだ。本作『On The Threshold Of A Dream』は、その路線がはっきり形になった4作目で、1969年4月にリリースされた。英国ではチャート1位を記録し、米国でもBillboard 200で20位まで上がっている。バンドの代表的な時期を語るうえで外せない作品であり、同時に後のThreshold Recordsというレーベル名の由来にもなったアルバムでもある。
この時期のムーディー・ブルースは、単発のヒット曲を積み上げるというより、1枚のアルバムを通して世界観を作る方向へ強く進んでいた。本作でもその姿勢は明確で、楽曲の間に詩的な朗読が挟まれ、曲順そのものが物語の流れを意識した構成になっている。特にB面は「Voyage」へつながる組み立てが目立ち、単曲ごとの印象よりも、通して聴いたときの連続性が前に出る。
録音と制作の輪郭
録音は1969年1月、ロンドン西部ウエスト・ハムステッドのDecca Studio Oneで行われた。プロデュースはトニー・クラーク、エンジニアはデレク・ヴァーナルス。新しい8トラック環境を使った制作で、バンドが録音技術への理解を深めていた時期でもある。メロトロン、フルート、朗読、重ねられたコーラスが、当時のロック作品としてはかなり独特な密度を作っている。
演奏面では、マイク・ピンダーのキーボードが曲の骨格を支え、レイ・トーマスのフルートが空気を変え、ジャスティン・ヘイワードとジョン・ロッジの加入後の編成が、バンドの音を安定させている。グレアム・エッジの語りも本作の重要な要素で、楽曲と朗読が分離しすぎず、ひとつのアルバムとしてまとまっている。
この作品の位置づけ
The Moody Bluesは、1960年代後半の英国ロックの中でも、サイケデリック・ロックからプログレッシブ・ロックへ移る境界線にいたバンドとして見られることが多い。本作はその流れの中で、前作『In Search of the Lost Chord』で見せた実験性を保ちながら、より構成の整理されたアルバムに仕上がっている。完全に技巧へ寄るのではなく、メロディーと曲間のつながりを両立させている点が、この時期の強みだ。
同時代の英国勢で比べると、Pink Floydの初期が空間の拡張を探っていたのに対し、ムーディー・ブルースはもっと歌の形を残したまま、室内楽的な感触を加えている。King Crimsonのような鋭さとは別の方向で、ロックに詩と連続性を持ち込んだ作品として受け止められてきた。
収録曲と聴きどころ
代表曲としてまず挙がるのは「Never Comes the Day」や「Lovely to See You」あたりだろう。前者はアルバム全体の流れの中で、穏やかなメロディーが印象に残る曲。後者はジャスティン・ヘイワードの歌が前に出る、比較的親しみやすいナンバーだ。こうした曲が、実験的な構成の中に置かれていることで、アルバムの聴きやすさが保たれている。
一方で、B面に進むと曲のつながりがより重要になる。単独での強いフックより、曲が切り替わる瞬間の感触、メロトロンの余韻、朗読から次の曲へ移るときの空気が印象に残る。実際に聴くと、個々の曲の輪郭よりも、アルバム全体の呼吸のようなものが先に来る。そこがこの時代のムーディー・ブルースらしさでもある。
ジャケットとUS盤の特徴
今回のUS盤はDeramのDES 18025。ラベルには「ON THE THRESHOLD OF A DREAM」の表記、曲目、THE MOODY BLUES、そしてProduced by Tony Clarkeのクレジットが入る。キャプション情報では、Bell Soundのスタンプがランアウトにあり、Columbia Records Pressing Plant, Terre Haute製造を示す「T」も確認される。12ページの歌詞ブックレット付きという点も、アルバム作品としての扱いを強めている。
Deramは当時、英国ロックやプログレッシブ系の重要作を多く出していたレーベルで、本作もその流れの中にある。1969年という年に、こうした作り込みの深いアルバムが大きく受け入れられていた事実そのものが、作品の位置を物語っている。
まとめ
『On The Threshold Of A Dream』は、The Moody Bluesがアルバムという形式を強く意識していた時期の中心作だ。メロトロンの層、フルートの線、朗読の挿入、曲の連なり。どれも1969年の英国ロックの中で、独自のまとまりを見せている。ヒット曲だけでなく、アルバム全体の設計で聴かれるタイプの作品であり、バンドの代表期を知るうえで重要な1枚になっている。
トラックリスト
- A1 In The Beginning 2:08
- A2 Lovely To See You 2:35
- A3 Dear Diary 3:56
- A4 Send Me No Wine 2:20
- A5 To Share Our Love 2:54
- A6 So Deep Within You 3:07
- B1 Never Comes The Day 4:43
- B2 Lazy Day 2:43
- B3 Are You Sitting Comfortably 3:31
- B4 The Dream 0:55
- B5 Have You Heard - Part I 1:23
- B6 The Voyage 4:07
- B7 Have You Heard - Part II 2:38
動画プレイリスト
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The Moody Blues - In the Beginning - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Lovely to See You - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Dear Diary - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Send Me No Wine - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - To Share Our Love - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - So Deep Within You - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Never Comes the Day - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Lazy Day - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Are You Sitting Comfortably - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - The Dream - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Have You Heard Part 1 - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - The Voyage - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)
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The Moody Blues - Have You Heard Part 2 - 1969 - 5.1 surround (STEREO in)