Various - The British Psychedelic Trip Vol. 2 1966-1969 (1986)
The British Psychedelic Trip Vol. 2 1966-1969
Various名義で1986年にUKのSee For Miles Records Ltd.から登場したコンピレーションが、The British Psychedelic Trip Vol. 2 1966-1969。タイトルの通り、1966年から1969年にかけての英国サイケデリック・ロックをまとめた編集盤で、60年代後半の英国シーンを俯瞰するための一枚という位置づけになる。オリジナルのリリース年が1986年なので、当時の最新作というよりは、過去の録音を再整理して提示したコレクションとして捉えるのが自然だろう。
この時代の英国サイケデリックは、ビート・バンドの延長線上にありながら、録音技術やスタジオ表現の広がりを強く意識した音作りが特徴的だ。ギターの残響、オルガンのうねり、曲の途中で景色が変わるような構成、そうした要素が1曲ごとに異なる形で現れる。コンピレーション盤なので、ひとつのバンドの変遷を追うというより、同時代の空気を断片ごとに拾っていくタイプの作品になる。
1986年という時点での編集盤としての意味
See For Miles Recordsは英国の再発・編集盤で知られるレーベルで、この作品もその流れの中にある。1980年代半ばは、60年代英国ロックの再評価が進んだ時期でもあり、こうした編集盤は埋もれていたシングル曲やアルバム収録曲を改めて聴ける場になっていた。オリジナル盤と再発盤の違いが大きい作品ではないが、1986年当時の編集の視点がそのまま反映された一枚として見ると、時代の聴き方が見えてくる。
タイトルに「Vol. 2」とある以上、前作の流れを受けた続編という性格もある。単独の名盤を提示するというより、英国サイケデリアの周辺を広く見渡す構成で、ヒット曲だけでなく、シーンの厚みを感じさせる曲が並ぶことに意味がある。こうした編集盤では、曲単位の強さと、全体を通しての年代感の連続が両立しているかどうかが重要になるが、このシリーズはその点に価値がある。
収録音源の聴きどころ
この種のコンピレーションでは、いわゆる代表曲だけでなく、当時のシングルB面やアルバムの中でも比較的実験性の強い曲が目立つことが多い。英国サイケデリックの面白さは、アメリカ西海岸のような開放感だけではなく、もっと細かいアレンジや不穏な響きにある。この盤でも、メロディの親しみやすさと、音響的なひねりが同居する曲が軸になっているはずだ。
とくに1966年から1967年にかけての録音では、まだR&Bやビートの骨格を残しながら、曲の中に急な転調や幻想的な処理を差し込む例が多い。そこから1968年、1969年へ進むにつれて、サイケデリックの要素が単なる装飾ではなく、曲作りそのものに組み込まれていく流れが見えてくる。聴いていると、音の派手さよりも、構成の変化や録音の質感の差のほうが印象に残るタイプの編集盤だ。
英国サイケデリアの文脈の中で
この作品が扱う1966-1969年は、英国ロックが大きく変わっていく時期に重なる。ビート・グループの時代から、よりスタジオ志向の作品へ移る途中で、サイケデリック・ロックはその橋渡しの役割を果たした。The BeatlesやThe Rolling Stonesのような大きな存在だけでなく、The Move、The Small Faces、The Pretty Things、Pink Floyd周辺の実験性など、さまざまな流れが同時進行していた時代でもある。
そうした文脈で見ると、このコンピレーションは、当時の英国シーンにおける「サイケデリック」という言葉の広がりを確認するための資料性も持っている。単に派手な効果を並べたものではなく、ポップ、ブルース、フォーク、アート・ロックの境界で揺れていた音がまとまっている点に、このジャンルの実態が表れている。編集盤ならではの断片性が、むしろ時代の輪郭をはっきりさせている印象だ。
まとめ
The British Psychedelic Trip Vol. 2 1966-1969は、1986年にSee For Miles Records Ltd.からUKで出た、英国サイケデリック・ロックの編集盤。オリジナル録音は1966年から1969年の範囲にまたがり、60年代後半の英国ロックの変化をコンパクトにたどる構成になっている。作品単体のストーリーというより、当時の音の断片を通してシーン全体を見せるタイプの一枚で、サイケデリック期の英国ロックを整理して聴くうえで分かりやすい存在だ。
再発盤として見ても、1980年代の編集盤らしい視点がそのまま残っている。大ヒット曲を前面に出すというより、同時代の空気と録音の変化を並べて見せる構成に、このシリーズの意義がある。英国サイケデリアの広がりを、年代ごとの質感として確かめられるコンピレーションと言える。
トラックリスト
- A1 My White Bicycle
- A2 Skeleton And The Roundabout
- A3 In The Land Of The Few
- A4 Kites
- A5 Mr Armageddan
- A6 You've Got A Habit Of Leaving
- A7 Excerpt From "A Teenage Opera"
- A8 Rumours
- A9 It's So Nice To Come Home
- A10 Real Love Guaranteed
- B1 We Are The Moles (Part 1)
- B2 Friendly Man
- B3 S.F. Sorrow Is Born
- B4 I See
- B5 Lady On A Bicycle
- B6 On A Saturday
- B7 Worn Red Carpet
- B8 Strawberry Fields Forever
- B9 She Says Good Morning
- B10 Hey Bulldog