The Parasites Of The Western World - The Parasites Of The Western World (1978)
The Parasites Of The Western World 1978

The Parasites Of The Western World - The Parasites Of The Western World (1978)

Electronic Rock Experimental

The Parasites Of The Western World / The Parasites Of The Western World

The Parasites Of The Western Worldは、Patrick BurkeとTerry Censkyの2人を中心にした米国のデュオによる作品で、1978年作として知られる1枚だ。編成は少人数だが、音の作りはかなり手が込んでいて、電子音、ギター、ドラム、そして多重録音を組み合わせながら、普通のロックの枠に収まりきらない形を取っている。ジャンル表記ではElectronic、Rock、スタイルではExperimentalに置かれているが、実際の内容もその通りで、ひとつの型に寄せるより、場面ごとに質感を切り替えていくタイプのアルバムだ。

この作品の面白さは、派手な演奏の見せ場よりも、音の配置そのものにある。インストゥルメンタル主体で進む場面が多く、旋律を押し出すというより、断片的なフレーズや電子的な響きを重ねながら、曲の輪郭を少しずつ立ち上げていく。手触りとしては、サイケデリックな浮遊感と、実験的な組み立ての両方が見える。ロックの形を借りながら、曲の進み方はかなり自由で、展開の読めなさがそのまま作品の個性になっている。

アーティストとしてのThe Parasites Of The Western Worldは、1970年代半ばから後半にかけて活動した多重演奏主体のユニットで、もともとはThe Parasites名義だったところから、このフルネームへと移っている。デビューLPがそのまま同名タイトルになっている点も含めて、バンドの輪郭を最初の作品で強く打ち出した形だ。後年の紹介では、同時代の米国アンダーグラウンドの中でもかなり異色の存在として扱われていて、整ったロック・バンド像よりも、個人作業に近い制作感覚が前に出ている。

聴きどころとしてまず目に入るのは、音の密度だ。大きな編成の厚みではなく、限られた人数で音を積み上げたときの圧がある。楽器の役割分担がはっきりしすぎず、ひとつのパートが前へ出たと思うと、別の音がすっと横から割り込んでくる。そうした作りのため、曲ごとの印象はかなり変わるが、全体を通すと一貫して「作曲された」というより「組み立てられた」感覚が残る。音楽の流れよりも、音の断片がどこに置かれているかに耳が向く作品だ。

同時代の文脈で見ると、通常のパンクやハードロックの流れとは別の場所にある。むしろ、実験色の強い米国ロックや、サイケデリック・ポップのひねりの効いた作品群と近い空気を持つ。比較対象として名前が挙がることのあるRadio Free Europeのように、奇妙さを前面に出しながらも、ただ難解に寄り切らないところがある。ビートルズの「Flying」をひねった形で取り込んでいる点も、この作品の感覚をよく示していて、原曲のイメージをそのままなぞるのではなく、別の角度から見直している。

2010年にUSのDe Stijlから出た盤は、オリジナル1978年作の再紹介として位置づけられる。レーベルはすでに現在は活動しておらず、この再発盤ではダブルサイドの12インチ・インサートが付属している。オリジナル盤から時間が経ったあとに改めて流通したことで、当時は広く知られなかったこの作品が、のちのリスナーに届く形になった。商業的な大きなヒットというより、埋もれていた個性が再び表に出たタイプの1枚で、そうした経緯も含めて記憶されている。

全体を通して、The Parasites Of The Western Worldは、ロックの基本形をなぞるよりも、電子音や変則的な構成を使って自分たちの音の置き場を探した作品だ。派手な代表曲で引っ張るアルバムではなく、曲そのものの形が少しずつずれていく感覚が核にある。1978年という時点でここまで自由度の高い作りを選んでいたことが、この作品のいちばんの特徴として残る。

トラックリスト

  1. A1 Mo
  2. A2 Electrokill
  3. A3 Flying
  4. A4 A Rare Case Of The Blues
  5. A5 Funeral For A Mouse
  6. B1 Accessories
  7. B2 God Or Just A Slow Breeze
  8. B3 Siege Of The Twilight Loon
  9. B4 You Must Be Joe King
  10. B5 Alienending

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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