Prophets / Vivian (Yabby U) Jackson - Beware Dub (1978)
The Prophets 1978

Prophets / Vivian (Yabby U) Jackson - Beware Dub (1978)

Reggae Dub

Prophets / Vivian (Yabby U) Jackson『Beware Dub』

ジャマイカのルーツ・レゲエ界において孤高の預言者的存在として崇敬されたシンガー/プロデューサー、ヴィヴィアン・ジャクソン(Vivian Jackson)ことヤビー・ユー(Yabby You)率いるザ・プロフェッツ(The Prophets)名義で、1978年に英Grove Musicからリリースされたダブの金字塔的傑作アルバム(カタログ番号:GMLP 4)。70年代後半のキングストンにおいて、精神的深みと生々しい緊張感を湛えたヤビー・ユーのルーツ・リディムを、ダブの始祖キング・タビー(King Tubby)と若きプリンス・ジャミー(Prince Jammy)がタビーズ・スタジオのカスタム卓で極限まで研ぎ澄ました、コンシャス・ダブ屈指の傑作である。

制作背景と録音

ベーシック・トラックの録音は、ルーツ期ジャマイカの音を決定づけたマックスフィールド・アヴェニューのChannel One Studiosにて敢行され、名エンジニアのアーネスト・フー・キム(Ernest Hoo Kim)とバーナバス(Barnabas)が録音を手掛けた。そしてダブ・ミックスは、ウォータールー・ロードにある伝説のキング・タビーズ・スタジオにて、キング・タビー本人とプリンス・ジャミーの手によって施された。

レコーディングを支えたのは、スライ・ダンバー(Sly Dunbar / ドラム)とロビー・シェイクスピア(Robbie Shakespeare / ベース)による無敵のリズム・セクションをはじめ、グラディエイターズのクリントン・フィアロン(Clinton Fearon)やソウル・シンジケートのアール・“チナ”・スミス(Earl "Chinna" Smith)、アルバート・グリフィス(Albert Griffiths)のギター陣、アンセル・コリンズ(Ansell Collins)やバーナード・“タウター”・ハーヴェイ(Bernard "Touter" Harvey)の鍵盤、トミー・マクック(Tommy McCook)のホーン/フルート、そしてヤビー・ユー作品のトレードマークであるノエル・“スカリー”・シムズ(Noel "Skully" Simms)のパーカッションなど、当時のトップ・ミュージシャンたちである。

アルバムのコンセプトはUKルーツ・シーンのキーマンでありアスワド(Aswad)のマネージャーも務めたマイケル・“ルーベン”・キャンベル(Michael "Reuben" Campbell)が考案し、UKにおけるマスタリングはウェンブリーのMusic Centreにてケヴィン(Kevin)が担当。ポール・スマイクル(Paul Smykle)による印象的なジャケット・イラストレーションとともに、UK Grove Musicの最重要カタログとして世に送り出された。

時代の文脈とサウンドの特長

当時のジャマイカでは多くのラスタファリアンがハイレ・セラシエ1世を現人神(Jah)として信奉していたが、ヤビー・ユーは厳格なラスタの生活規範とドレッドロックスを守りつつも独自のキリスト信仰を貫き、ストリートでは「ジーザス・ドレッド(Jesus Dread)」の異名で知られていた。幼少期からの極貧生活や重度の関節炎という肉体的苦難を乗り越えて紡ぎ出された彼の音楽には、他のルーツ勢とは一線を画す厳粛で峻厳な祈りが宿っている。

本作に収録された「Peace」「Deliverance」「Beware」「Plague」といった楽曲群は、彼の名盤『Chant Down Babylon Kingdom』や当時のシングル音源のリディムを母体としている。スライ&ロビーによるミリタントで地を這うヘヴィ・ベースと、タビーズ特有のフィッシャー製スプリング・リバーブの轟音、予測不能なミュートとハイパス・フィルターの切れ味が融合し、漆黒の静寂と重低音がせめぎ合う圧倒的な音響空間が立ち現れる。哀愁を帯びたホーンの断片やスカリーのパーカッションが空間の彼方へと吸い込まれていく様は、ダブという手法が単なるヴァージョン作りではなく、高度な音響的瞑想芸術へと到達した瞬間を克明に証明している。

後世への影響

1978年のリリース当時、UKのサウンドシステムやパンク/ポストパンク世代のミュージシャンたちに強烈な衝撃を与えた本作は、後年エイドリアン・シャーウッド(On-U Sound)や名門Pressure Sounds、Blood & Fireによる丁寧なリイシューによって世界的な再評価を獲得した。その峻厳な音響美学は、UKダブの系譜のみならず、ブリストルのトリップホップ(Massive Attack、Tricky)やインダストリアル、さらには2000年代以降のダブステップ(Digital Mystikz、Kode9)へと脈々と受け継がれており、ルーツ・ダブ史に燦然と輝く至高の名盤として今なお聴き継がれている。

トラックリスト

  1. A1 Peace
  2. A2 Give Praises
  3. A3 Together
  4. A4 Plague
  5. A5 Freedom
  6. B1 Beware
  7. B2 Deliverance
  8. B3 Prophets
  9. B4 Feel All Right
  10. B5 Praises

動画プレイリスト

公開: 2026年11月

このアーティストについて

The Prophets

The Prophets

The Prophetsは、1972年にヴィヴィアン・ジャクソン(Yabby You)を中心に結成されたルーツ・レゲエのハーモニー・トリオだ。メンバーにはヴィヴィア...

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