Yes Featuring Jon Anderson, Trevor Rabin, Rick Wakeman - Live At The Apollo (50th Anniversary) (2018)
Yes Featuring Jon Anderson, Trevor Rabin, Rick Wakeman『Live At The Apollo (50th Anniversary)』
Yes Featuring Jon Anderson, Trevor Rabin, Rick Wakemanによるライヴ盤『Live At The Apollo (50th Anniversary)』は、2017年3月25日にイングランド・マンチェスターのApolloで行われた公演を収めた作品だ。2016年から17年にかけて展開された「An Evening of Yes Music & More」ツアーの流れをそのまま切り取った内容で、2018年に映像作品と音源の形で発売された。アーティスト名にあるとおり、ここにいるのはジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマンという、Yes史の中でも特に存在感の大きい3人。しかも単なる同窓会ではなく、Yesの楽曲を現在形で鳴らすための編成として成立している点が、この作品の核になっている。
ARWからYes Featuringへ、という流れ
このユニットは、もともとAnderson, Rabin & Wakeman、略してARWとして動き始めた。3人は1991年から92年のYesツアーで共演歴があり、2010年ごろから再結集の話が出ていたが、実際に本格的な活動へ進んだのは2016年以降。新曲制作よりもツアーを優先し、長年のYesファンに向けてライヴでの再提示を軸にした流れだった。その後、Yes名義をめぐる整理を経て、最終的に「Yes Featuring Jon Anderson, Trevor Rabin, Rick Wakeman」という形に落ち着いた。名前の長さそのものが、事情の複雑さと、この3人の肩書きの重みをそのまま示している。
2017年マンチェスター公演の記録
本作の収録元は、マンチェスター・アポロ・シアターでの公演。ライヴ盤としては、会場の空気をそのまま封じ込めたタイプで、演奏の輪郭がはっきりしている。180グラムのオパーク・オレンジ盤、3500枚限定、ゲートフォールド仕様という物理的な作りも含めて、記念盤としての性格が強い。2018年当時の評価でも、単に過去をなぞるのではなく、50周年ツアーの勢いを背景にした“現役の再解釈”として受け止められていた。
セットリストは、70年代のクラシックと80年代以降の楽曲をほぼ均等に配した構成で、ARWという編成の性格がよく出ている。プログレの大作だけに寄りすぎず、ラビン時代の推進力を持った楽曲も前面に出る。Yesの歴史を一つの年代に閉じ込めず、複数の時代を同じステージで共存させる作りだ。
演奏の中心にある3人の役割
ジョン・アンダーソンの歌声は、この作品で大きな支えになっている。Yesの初期から続く独特の高い声質が、長年の代表曲にそのまま残っていることがまず印象に残る。トレヴァー・ラビンは、80年代以降のYesを象徴する推進力あるギターを担い、曲のテンポ感と輪郭を引き締める。リック・ウェイクマンは、クラシックなYesらしさを形づくる鍵盤の色彩を加え、楽曲の厚みを作る役回りだ。
当時のレビューでも、ラビン期の長所が前に出た内容として見られていた。特に、アンダーソンの声の健在ぶり、ラビンのギターの押し出し、ウェイクマンのキーボードが、既存曲に新しい推進力を与えている点が注目されていた。実際、この3人の組み合わせは、Yesの中でも70年代の組曲的な要素と、80年代のコンパクトでロック色の強い側面を同じ空間に並べる役割を持つ。
Yesの歴史の中での位置づけ
この作品は、Yes本隊の歴史と切り離しては見にくい。アンダーソン、ラビン、ウェイクマンは、いずれもYesの異なる時代を代表する人物であり、ここではその3つの時代がひとつのライヴに集約される。1970年代のプログレッシブ・ロックの文脈、1980年代のポップ寄りの再編成、そして2010年代の再結集という流れが、曲順の中で自然に並ぶ構成だ。
同時代のプログレ系ライヴ作品と比べると、技巧の誇示よりも、既存曲の再配置に重きが置かれている。長尺曲の荘厳さだけで押すのではなく、メロディとアレンジの明瞭さが前面に出るところに、YesらしさとARWらしさの両方がある。たとえば「Cinema」や「Rhythm of Love」のような80年代曲が入ることで、クラシック期の楽曲との対比がはっきりするのも面白い点だ。
2018年時点での反応
2018年には英国オフィシャル・チャートのアルバム部門で19位を記録し、映像作品としてはブルーレイ/ビデオ系チャートでも首位を獲得した。数字だけ見ても、コアなYesファン層に強く届いたことが分かる。懐古盤というより、Yesの複数の時代を同じステージに置き直した記録として受け止められた形だ。
『Live At The Apollo (50th Anniversary)』は、Yesというバンドの歴史の中で、誰がどの時代を担ってきたのかをそのまま示すライヴ盤だ。アンダーソン、ラビン、ウェイクマンの3人が、それぞれの持ち味を持ち寄って過去曲を現在の音で鳴らす。50周年という節目にふさわしい、記録性の強い一枚。
トラックリスト
- A1 Intro / Cinema / Perpetual Change
- A2 Hold On
- I've Seen All Good People
- B2 Lift Me Up
- And You And I
- C1 Rhythm Of Love
- C2 Heart Of The Sunrise
- D1 Changes
- D2 Long Distance Runaround / The Fish (Schindleria Praematurus)
- E1 Awaken
- F1 Make It Easy / Owner Of A Lonely Heart
- F2 Roundabout