Seventh Wave - Things To Come (1974)
Seventh Wave / Things To Come
Seventh WaveのThings To Comeは、1974年にUKのGullから登場したデビュー作。元Second HandのKen ElliottとKieran O'Connorを中心にした英プログレ系デュオで、シンセサイザーを軸にした編成がまず目を引く作品だ。70年代前半のプログレというと大編成や長尺曲を思い浮かべやすいが、この作品は二人組という最小単位に近い形で、その時代の機材と構成力を詰め込んでいるところに特徴がある。
作品の輪郭
このアルバムは、ロンドンのChalk Farm Studiosで制作されたとされ、ソ連やSF的な未来像を意識したコンセプト作として語られてきた。実際に聴くと、曲の並び全体に統一感があり、単曲の集まりというより一つの流れとして組み立てられている印象が強い。Ken Elliottの担当するキーボード群は、ARP、Moog、Clavinet、Crumar strings、Mellotronなど70年代らしい機材の色が濃く、音色の切り替えだけでも場面が変わる。そこにKieran O'Connorの打楽器が加わり、リズム面に機械的な硬さだけでなく、手触りのある推進力を与えている。
当時の英国プログレには、YesやGenesisのような大編成の流れもあれば、HawkwindやBe-Bop Deluxe周辺のようにロックの推進力を残した系譜もあった。Seventh Waveはそのどちらとも少し距離を取りつつ、電子楽器を前面に出した独自の組み立てを見せている。後年のシンセデュオを先取りした存在として扱われることが多いのも、この編成と音作りが理由になっている。
収録曲と聴きどころ
代表曲として名前が挙がりやすいのは「Metropolis」。シングルとしても切られたこの曲は、アルバムの中でも比較的輪郭がはっきりしていて、Seventh Waveの持つメロディ感と機械的な推進力がまとまっている。商業的な広がりは大きくなかったが、バンドの入口としては分かりやすい1曲だ。
一方でアルバム全体は、派手なフックを連打するタイプではない。シンセのレイヤー、パーカッションの配置、曲間のつながりで聴かせる作りで、音が前に出る瞬間と、空間を残して進む瞬間の切り替えがはっきりしている。録音の質感も70年代の英プログレらしく、生楽器の響きと電子音が近い距離で並ぶ。そこに大きなドラマを作るというより、細かい音の動きで世界観を積み上げていく設計。
リリース時の位置づけ
Things To Comeは、Seventh Waveにとって最初の一枚であり、同時にこのデュオの方向性を示した作品でもある。資料によると、当初は1973年末の発売予定だったものの、英国の“三日間労働週”の影響で延期され、結果的に1974年4月にGullから出た。リリース時のパッケージは、sleeve表記がGULP 1001、label表記がGULP.1001。Gullの初期カタログの中でも、かなり早い時期のタイトルにあたる。
発売当時の評価は好意的だったようで、後年の資料では「チャート入り寸前までいった」と伝えられている。実際には大きな全英・全米ヒットには届いていないが、批評面では評価され、プログレ/アートロックの文脈でカルト的な存在として残った。数字で追うより、当時のロックの中でどこまで実験を押し進めたか、という見方のほうがしっくりくる作品だ。
同時代とのつながり
Seventh Waveは、Second Hand解散後の流れから生まれたデュオで、知的な構成感と実験性を引き継いでいる。のちにライブ編成が拡張され、Hugh Bantonらが関わることになるが、このデビュー作はまず二人の組み合わせだけで成立させた出発点として重要だ。70年代のプログレの中でも、ギター主体ではなくキーボード中心で組み上げた点に個性がある。
再発盤では、オリジナル盤の1974年リリースをそのまま伝える形で紹介されることが多く、Gullの初期英国盤らしい資料性も残っている。Things To Comeは、派手な知名度よりも、当時の電子音楽とプログレの接点をそのまま切り取った作品として印象に残る一枚。70年代中盤の英国で、シンセを前面に出したロックがどの位置にいたのか、その輪郭をつかむにはちょうどいいアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Sky Scraper 2:17
- A2 Metropolis 4:25
- A3 Intercity Water Rat 0:48
- A4 Escalator 0:26
- A5 Old Dog Song 4:12
- A6 Smog, Fog And Sunset 3:11
- A7 Fail To See 4:05
- B1 Premonition 3:15
- B2 Festival 2:05
- B3 Eversolightly 4:33
- B4 Communication Skyways 4:42
- B5 Things To Come 1:46
- B6 1999 ½ 1:09
- B7 Dance Of The Eloi 1:45