Zone Six - Love Monster (2015)
Zone Six 2015

Zone Six - Love Monster (2015)

Rock Psychedelic Rock

Zone Six『Love Monster』について

Zone Sixは、ドイツのスペース/サイケデリック・ロックを軸に活動してきたバンドで、1997年にDave Schmidtを中心に始まったプロジェクトだ。『Love Monster』は2015年に登場した作品で、スタジオ作としては久しぶりのアルバムとして受け止められた。収録は全4曲、いずれも長尺で、曲数を絞って演奏の流れをじっくり聴かせる構成になっている。

この作品が出たレーベルはUKのDeep Distance。アナログ盤は透明盤に赤と青のスプラッター仕様で、限定500枚という案内が付いている。Deep Distanceは、ベルリン系のクラウトロックやモーターリックな感触を意識した作品を扱うことが多く、Zone Sixの持つ反復と即興の感覚とも相性がいい。ラベルの方向性を見ても、この盤がそうした文脈の中で出てきたことがわかる。

長尺の中で組み立てる演奏

『Love Monster』の核にあるのは、曲を細かく切り分けるよりも、演奏の流れそのものを前に出す作りだ。タイトル曲「Love Monster」、「The Insight」、「Acidic」、「Cosmogyral」の4曲はいずれも14〜15分台の展開を持ち、リフ、リズム、ノイズ、空間処理が少しずつ姿を変えながら続いていく。Zone Sixらしいのは、派手な転調や歌のフックで引っ張るより、反復の中で音の密度を上げていくところにある。

実際に聴くと、まず土台になるビートの粘りが目立つ。そこにギターのフレーズが入り、遅れてシンセや効果音が広がっていく形で、各パートが同じ速度で動くのではなく、少しずつずれながら重なっていく。スペース・ロックの開放感と、サイケデリック・ロックの執拗な反復が同居している印象だ。音像は大きいが、ただ広いだけではなく、細かな音の出入りがはっきりしている。

メンバー構成と演奏の手触り

この時期のZone Sixは、Pablo Carnevalがドラム、Manuel Wohlrabがギターとエフェクト、Dave Schmidtがベースやシンセ、サンプルを担当している編成で知られている。プロジェクトの中心人物であるSchmidtは、Sula Bassana名義でも活動しており、Electric MoonやInterkosmosなど周辺プロジェクトとのつながりも深い。そうした背景があるためか、『Love Monster』にも即興の呼吸と、一定のリフを保ちながら音を崩していく感覚が自然に入っている。

演奏は、きっちり揃えたアンサンブルというより、各自が同じ景色の中で少しずつ違う線を描くタイプだ。ドラムは前へ押し出すというより、流れを保つ役割が強く、ギターは旋律をなぞるだけでなく、音色そのものを変えながら空間を埋める。シンセは前面に出る場面と引く場面があり、曲の温度を調整している。こうした積み重ねが、長尺でも単調になりにくい要因になっている。

アルバムの位置づけ

Zone Sixにとって『Love Monster』は、活動の初期から続くスペース・ロック/即興志向を、2015年の時点で改めてまとめた作品として見やすい。2000年代以降、Sula Bassana周辺ではElectric Moonや他の派生プロジェクトも含めて、ジャムを基盤にしたサイケデリック・ロックが継続していたが、このアルバムはその流れの中でも、Zone Six名義の色を保ったまま出てきた盤だ。

同時代の文脈で見ると、ドイツのスペース・ロックやクラウトロックの系譜にあるバンド群、とくに反復する推進力を持つグループや、長尺インプロヴィゼーションを軸にするバンドと近い場所にある。とはいえ『Love Monster』は、過去の様式をそのままなぞるのではなく、2010年代の録音としての輪郭を持っている。分厚い歪みの中でも各楽器の位置が見えやすく、ライブ感の強さがそのまま盤面に残っている。

4曲それぞれの流れ

タイトル曲「Love Monster」は、アルバムの入口としてもっともZone Sixらしさが出る。リズムの反復を土台に、ギターのノイズとシンセの揺れが少しずつ増えていく構成で、曲の名前にある“Monster”の語感に対して、実際の音は暴力的というより粘り強い。続く「The Insight」は、内部での変化を追うような組み立てで、音の層が増えるたびに景色が変わる。

「Acidic」はタイトル通り、音の輪郭がやや鋭く、反復のうちにざらつきが出てくる。ここではギターの処理やシンセの色が前へ出やすく、曲全体の温度が上がる。最後の「Cosmogyral」は、比較的抑えた入り口から進み、終盤でノイズの密度を高めていく流れが印象に残る。アルバムの締めとして、静けさよりも余韻のある騒がしさを残して終わる形だ。

まとめ

『Love Monster』は、Zone Sixの持ち味である長尺の即興、反復するリズム、ギターとシンセの重なりを、2015年の録音としてまとまった形で残した作品だ。派手な売り方をするタイプのアルバムではないが、曲の中で少しずつ音が変わっていく過程を追う楽しさがある。スペース・ロック、サイケデリック・ロック、クラウトロック周辺の流れを好きな耳には、Zone Sixという名前の輪郭がはっきり見える内容になっている。

トラックリスト

  1. A1 Love Monster 14:53
  2. A2 The Insight 8:21
  3. B1 Acidic 7:29
  4. B2 Cosmogyral 15:18

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Psychedelic Rock"

toast