49th Parallel - 49th Parallel (1969)
49th Parallel『49th Parallel』について
49th Parallelは、カナダ・アルバータ州カルガリー出身のサイケデリック・ポップ/ロック・バンドだ。1960年代後半のカナディアン・ロックを語るうえで、名前が挙がることの多いグループで、この『49th Parallel』は1969年に残した唯一のLPとして知られている。もともとはバー・バンドとして活動していた流れを持ち、そこから録音作品へつながった経緯も含めて、地方都市のバンドが時代の空気をつかんでいく過程がそのまま刻まれた一枚になっている。
この盤は1987年にヨーロッパで出回った再発盤で、オリジナルの1969年盤を後年に掘り起こしたもの。白ラベルの非公式リリースとして流通した経緯があり、レーベル表記は実体のあるレーベルというより便宜的なものに近い。オリジナル盤との違いを考えると、作品そのものよりも、当時の資料性やコレクター需要を背景にした流通形態のほうが目立つ。
バンドの位置づけ
49th Parallelは、カナダのサイケ期を代表するグループのひとつとして扱われることが多い。特にシングル「Twilight Woman」が重要で、RPMのCANCONチャートで1位を記録したとされ、CHUMでも上位に入った。アルバム全体の大きなヒット記録は見当たらないが、先にシングルが動いて、その勢いでアルバムが出た流れが見える。つまり本作は、チャートの大成功で押し上げられた作品というより、曲単位の反応を足場にして評価が積み上がったアルバムだ。
メンバーはDan Lowe、J. J. Velker、Doran Beattie、Dave Petch、Dennis Abbott、Robert Carlson、Terry Bare、Mick Woodhouseら。入れ替わりの多い編成で活動していたこともあり、演奏のまとまりと、場面ごとに少しずつ色が変わる感じが同居している。カルガリーで注目を集め、その後ハリウッドへ移っていく過程もバンドの履歴として残っていて、地方のローカル・バンドが広い市場へ出ていく1960年代末らしい動きがある。
作品の聴きどころ
このアルバムは、ポップなメロディと、やや硬めのガレージ感が同じ面に出てくるのが面白い。英国のTomorrowあたりを思わせる整ったメロディの感触がある一方で、鳴り方にはもっと荒さが残っている。サイケデリック・ロックとして過剰に音響へ寄るのではなく、曲の骨格は比較的はっきりしていて、その上に歪みや色彩が乗るタイプだ。
「Twilight Woman」はやはり中心になる曲で、ヒット・シングルらしくフックが明確だ。アルバムの顔として機能していて、バンドがなぜ注目されたのかが分かりやすい。「Lazerander Filchy」や「Now That I’m a Man」も印象が強く、単なる埋め草ではなく、曲ごとに違う表情を見せる。全体を通すと、メロディ重視の曲と、少し攻めた質感の曲が交互に並ぶ構成で、1969年という年の空気がそのまま出ている。
同時代の文脈
同じ時期の北米サイケやガレージの流れで見ると、49th Parallelは、派手な実験性よりも、ポップ・ソングとしての分かりやすさを残している点が特徴的だ。英国勢の影響を感じさせつつ、カナダ西部のバンドらしいローカルな現実感もある。後年の再発紹介で「1960年代カナダのサイケ期を代表する一枚」と位置づけられるのも、そのバランスがあるからだろう。
一方で、アルバム単体が大きく売れた記録は見つかっていない。だからこそ、代表曲「Twilight Woman」とアルバム全体の評価が少しずれて存在しているのが面白いところ。シングルで名前を広げ、LPでバンドの輪郭を残した、そんな役割分担が見える。
まとめ
『49th Parallel』は、1969年のカナディアン・ロック/サイケデリック・ポップの空気を、比較的ストレートに閉じ込めた作品だ。ポップな入口と、ガレージ寄りの質感、その両方が見えるアルバムで、バンドの唯一のLPという点も含めて資料的な重みがある。1987年のヨーロッパ盤は、そうした作品を後年に再び流通させた再発で、オリジナルの存在感を別の形で伝えている。
ヒット曲「Twilight Woman」を軸にしつつ、アルバム全体ではカナダの地方都市から出てきたバンドの実像が見える。1960年代末の北米ロック史の中で、メジャーな大名盤とは別の場所にありながら、しっかり記憶されるタイプの一枚だ。
トラックリスト
- A1 Now That I'm A man 2:22
- A2 Get Away 2:26
- A3 Eye To Eye 2:45
- A4 Missouri 3:17
- A5 Lazerander Filchy 2:52
- B1 (Come On Little Child &) Talk To Me 3:00
- B2 (The) Magician 3:33
- B3 WomanTwilight 2:23
- B4 Close The Barn Door 3:11
- B5 The People 2:45