Pete and Royce - Suffering Of Tomorrow (1980)
Pete and Royce 1980

Pete and Royce - Suffering Of Tomorrow (1980)

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Pete and Royce『Suffering Of Tomorrow』について

Pete and Royceの『Suffering Of Tomorrow』は、ギリシャのシンフォニック・プログレ系バンドが1980年に残した初期作で、2013年にヨーロッパ盤として再発されたレコードだ。中心人物はギタリスト/ヴォーカルのPanagiotis “Pete” Tsirosと、ベーシストのElias Porfiris。1979年夏に結成され、当時のギリシャではかなり難しかったという自主制作でのアルバム発表に踏み切った作品でもある。

この盤を手に取ると、まず目に入るのは、後年の再発によって作品が改めて整理され、現在の耳で聴き直せる形になっている点だろう。オリジナルは1980年の作品で、2013年の盤はその再発盤にあたる。バンドのプロフィールからもわかる通り、単なる英米型のプログレ模倣ではなく、オリエンタルな旋律感やビザンティン音楽の要素を織り込んでいるところに独自性がある。

作品の位置づけ

『Suffering Of Tomorrow』は、Pete and Royceにとって最初のアルバムであり、バンドの核となる表現がすでにまとまっていた時期の記録といえる。後の1981年には2作目『Days Of Destruction』を発表するが、その前段階として見ると、本作はバンドの出発点として重要だ。のちにTsirosがRoyceと組んで1984年に別のLPを出していることを踏まえると、この時期の作品群は彼の音楽的な基盤を知る手がかりにもなる。

同時代の文脈で見ると、欧州のプログレが70年代末から80年代初頭にかけて新しい形を探っていた流れの中に置ける。ギリシャ勢の中では、アコースティックな民俗性や宗教的な題材を扱うバンドがいたが、Pete and Royceはそこにシンフォニックな構成感とスペーシーな響きを持ち込んでいる。ギリシャ語圏のロック史の中でも、かなり個性の立つ一枚だ。

サウンドの特徴

音の中心にあるのは、ギター、ベース、キーボード、ドラムが作る、組曲的な展開を持ったロック。演奏は派手さだけを狙うのではなく、曲の流れを保ちながら少しずつ密度を上げていくタイプで、プログレらしい構成志向がはっきりしている。そこに、東方的な旋律の運びや宗教的なニュアンスを含む歌詞が重なり、一般的な英語圏のプログレとは違う空気が生まれている。

実際に聴くと、単に技巧を見せるだけのアルバムではなく、リフや旋律の反復で印象を残す作りが目立つ。リスナーの耳に残るのは、キーボードの広がりよりも、ギターとベースが作る推進力、そしてヴォーカルが持ち込む硬質な語り口のほうかもしれない。サイケデリックな揺らぎと、スペース・ロック的な浮遊感が、過度に装飾されずに配置されている印象だ。

注目曲について

収録曲の中で注目したいのは、アルバム全体のテーマを象徴するタイトル曲「Suffering Of Tomorrow」だ。作品名をそのまま背負う曲だけに、バンドの方向性が最も見えやすい。楽曲が進むにつれて、リフ主体のロック感と、どこか儀礼的にも聞こえるメロディ処理が同居し、ギリシャ出身のバンドらしい輪郭がはっきりする。宗教性を含む歌詞の存在も、この曲の緊張感を支える要素になっている。

もうひとつの軸は、長めの展開を持つ曲群だ。こうした楽曲では、静かな導入から徐々に音数が増え、終盤で演奏がまとまっていく流れが見えやすい。派手な転調や急展開で押すというより、同じモチーフを少しずつ変化させながら引っ張る構成で、アルバム全体の統一感につながっている。

もし収録曲の中で一曲を代表として挙げるなら、やはりタイトル曲が中心になるだろう。バンドの音楽性、当時のギリシャのロック事情、そして自主制作で作品を世に出した背景まで、ひとつの曲に集約されているように感じられる。

2013年再発盤としての見どころ

2013年のLittle Big Chief Records盤は、Virginia拠点のレーベルによる再発で、オリジナル1980年盤を現代のフォーマットで聴ける形にしたものだ。再発盤としての価値は、単に入手性が上がっただけではなく、ギリシャ・プログレの初期重要作を、比較的まとまった音像で確認できる点にある。オリジナル盤の時代性を残しつつ、作品の輪郭を見直す機会にもなっている。

『Suffering Of Tomorrow』は、技巧の誇示よりも、地域性のある旋律とプログレ的構成を結びつけた作品として記憶されるアルバムだ。ギリシャのロック史の中で、シンフォニック・プログレ、スペース・ロック、サイケデリック・ロックの接点を示す一枚として、静かに存在感を持っている。

トラックリスト

  1. A1 Flickering Light
  2. A2 It's So Unreal
  3. A3 Flowers
  4. A4 Suffering Of Tomorrow
  5. B1 Time
  6. B2 Maybe
  7. B3 Face Of The Moon
  8. B4 Round Your Grave

動画

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