Alexander O'Neal - Alexander O'Neal (1985)
Alexander O'Neal『Alexander O'Neal』
1985年3月にTabu Recordsから出た、アレクサンダー・オニールのソロ・デビュー・アルバム。カタログ番号はFZ 39331。録音はミネアポリスのCreation Audio、マスタリングはロサンゼルスのBernie Grundman Masteringで行われた。クラレンス・アヴァント主宰のTabuにおいて、The S.O.S. BandやCherrelleと並び看板を担った作品であり、ジミー・ジャム&テリー・ルイスが制作の中心を務めている。
制作背景・エピソード
オニールは1980年代初頭、ミネアポリスのバンドFlyte Tymeでリード・シンガーを務めていた。プリンスが同バンドを母体にThe Timeを立ち上げる際、オニールが初代フロントマンになる予定だったものの、契約条件やギャラをめぐる意見の対立から外され、モーリス・デイに交代した経緯がある。その後、Flyte Tymeのバンドメイトだったジャム&ルイスがTabuで制作チームとして台頭し、オニールを招いて本作の制作を主導した。
本作には元The Timeのモンテ・モワも参加し、珠玉の名バラード「If You Were Here Tonight」を作詞・作曲・プロデュースした。演奏面ではミネアポリス録音らしく、ジャム&ルイスによるタイトなシンセ・ファンクが炸裂。10分を超える「Innocent / Alex 9000 / Innocent II」ではメドレー形式でスリリングに展開し、「What's Missing」とともに彼らの特徴的な音作りが前面に出ている。
時代の文脈
このアルバムは、1980年代中盤のミネアポリス・サウンドとブラック・コンテンポラリーの潮流を象徴する作品。プリンス周辺のファルセットを多用した軽妙なファンクとは一線を画し、オニールはゴスペル仕込みの重量感あふれるバリトン・ヴォーカルを響かせている。そこにジャム&ルイスの鋭いエレクトリック・ビートが重なり、大人の色気とモダンなハイテク感が共存する独自のソウル像を提示した。
アメリカ国内での評価にとどまらず、とりわけイギリスで熱狂的な人気を獲得。シングル「If You Were Here Tonight」は全英シングルチャート13位(1986年)を記録し、アルバムも全英19位に達して英国レコード産業協会(BPI)からゴールド認定を受けた。この成功はUKソウル・シーンの発展を強く後押しし、1987年の次作『Hearsay』の世界的大ヒットへと結実していく。
後世への影響
「If You Were Here Tonight」や「A Broken Heart Can Mend」は、後年のR&Bやヒップホップで数多くサンプリングされてきた。とりわけ「If You Were Here Tonight」は80年代スロウ・ジャムの不朽のスタンダードとして愛され続けている。ジャム&ルイスの初期のプロダクションとオニールの力強い歌声が完璧に融合した名盤として、今なお色褪せない輝きを放っている。
トラックリスト
- A1 A Broken Heart Can Mend 3:40
- A2 If You Were Here Tonight 6:08
- A3 Do You Wanna Like I Do 4:48
- A4 Look At Us Now 5:07
- Medley 10:34
- B2 What's Missing 5:42
- B3 You Were Meant To Be My Lady (Not My Girl) 6:10