Mariah Carey - Emotions (1991)
Mariah Carey 1991

Mariah Carey - Emotions (1991)

Pop Jazz Funk / Soul Soul-Jazz Ballad Contemporary R&B

Mariah Carey『Emotions』

1991年に発表されたマライア・キャリー(Mariah Carey)のセカンド・アルバム『Emotions』は、前作の世界的成功を受けて本人がより強いクリエイティブ・コントロールを求め、全収録曲で作詞・作曲および共同プロデュースを手がけた重要作である。前作以上の自己主張とルーツへの回帰が刻まれており、シンガーとしてだけでなく本格的なソングライター/プロデューサーとしての才能を開花させた一枚となった。

制作背景・エピソード

制作陣には、前作から引き続き流麗なバラードを手がけたウォルター・アファナシエフ(Walter Afanasieff)が参加。一方で、当時クラブ・シーンを席巻していたC+Cミュージック・ファクトリー(C+C Music Factory)のデヴィッド・コールとロバート・クリヴィレスを起用し、ゴスペル直系のディスコ/ハウス・ビートやファンクの要素を大胆に導入した。さらに、マライアが敬愛するキャロル・キングとの共作によるビンテージなソウル・バラード「If It's Over」も収録されている。

アルバムのラストを飾る「The Wind」では、ジャズ・ピアニストのラッセル・フリーマンによるインスト曲の旋律に、事故で亡くなった友人を追悼するマライア自身の歌詞を乗せて歌い上げている。また「Make It Happen」では、デビュー前に家具もない部屋でパスタにケチャップをかけて空腹をしのぎながら夢を追っていた下積み時代の体験が赤裸々に描かれており、彼女のゴスペル的な信仰心が曲の核となっている。

サウンド面では、マライアの代名詞である5オクターブの音域とホイッスル・レジスター(超高音域)が全編で躍動。「Emotions」の高音アクロバットとファンキーなグルーヴ、「Can't Let Go」における温かみのある低音からファルセットへの豊かな階調表現、「If It's Over」の泥臭いブルース・フィーリングなど、卓越した歌唱技術とソウル・ミュージックへの愛着が濃密に結実している。

時代の文脈

1991年当時はニュージャックスウィングやダンス・ポップがヒットチャートの主流を占めていたが、本作でマライアは70年代ソウル、モータウン、ゴスペルへの敬意をより前面に打ち出した。なお、CD普及が急速に進んでいた1991年当時のUS盤アナログLP(Columbia / C 47980)はプレス数が限られており、今日では貴重な仕様となっている。

タイトル曲「Emotions」は全米ビルボードHot 100で1位を獲得。デビュー曲「Vision of Love」から数えて「デビューからのシングル連続5作すべてが全米1位」というビルボード史上初の歴史的記録を樹立した。さらにシングルカットされた「Can't Let Go」が全米2位、「Make It Happen」が全米5位を記録し、アルバムからのシングル3曲すべてが全米Top 5入りの大ヒットとなった。

後世への影響

スタジオ音源における驚異的な高音ホイッスル・ボイスに対して、当時は一部の批評家から「スタジオ技術による加工ではないか」という疑念の声も上がった。しかしマライアは翌1992年に伝説的な『MTVアンプラグド』に出演し、本作の楽曲を生演奏で見事に歌い切ってそれらの声を一掃。圧倒的な実力派ボーカリストとしての評価を決定づける契機となった。

アルバムは米ビルボード200で最高4位、55週にわたってチャートインし、全米で400万枚(4×プラチナ)、全世界で800万枚以上のセールスを記録している。

トラックリスト

  1. A1 Emotions 4:08
  2. A2 And You Don't Remember 4:26
  3. A3 Can't Let Go 4:27
  4. A4 Make It Happen 5:07
  5. A5 If It's Over 4:38
  6. B1 You're So Cold 5:05
  7. B2 So Blessed 4:13
  8. B3 To Be Around You 4:37
  9. B4 Till The End Of Time 5:35
  10. B5 The Wind 4:41

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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