Anita Baker - Giving You The Best That I Got (1988)
Anita Baker『Giving You The Best That I Got』
アニタ・ベイカーが1988年にエレクトラから発表した3作目のスタジオ・アルバム。前作『Rapture』で世界的ブレイクを果たしたあとにリリースされた作品で、制作は盟友マイケル・J・パウエルが全面的に担当している。
制作背景・エピソード
表題曲「Giving You the Best That I Got」は、アニタ本人、スキップ・スカボロー、ランディ・ホランドの共作。もともとはハワード・ヒューイットらに提供される予定だった楽曲を、アニタが気に入り、自分の歌に合わせてテンポを上げ、スキャットを加えるなど大きく作り替えて録音したという。編成面でも、ネイザン・イースト(ベース)、リッキー・ローソン(ドラム)、ヴァーノン・フェイルズ(キーボード)、ジェラルド・アルブライト(サックス)ら、ロサンゼルスの名セッション・ミュージシャンが集まっている。
収録曲には「Just Because」「Lead Me Into Love」「Priceless」などが並び、表題曲だけでなく、都会的なコンテンポラリーR&Bの流れにある曲がそろう構成。「Just Because」はシングルとしてR&Bチャート1位、「Lead Me Into Love」もR&Bチャート4位を記録している。
時代の文脈
1980年代後半のR&Bでは、打ち込み主体のダンス・ポップやニュージャックスウィングが台頭していた。そのなかでアニタ・ベイカーは、ジャズの素養に根ざした生演奏と、深いコントラルトの歌唱を前面に出し続けた。本作は、そのクワイエット・ストーム路線を商業的・芸術的な頂点へと導いたアルバムとして位置づけられている。アダルト・オリエンテッドなソウル作品が大きな商業成果を収めた例としても扱われており、Billboard 200で4週連続1位、Top R&B Albumsで1位、全米300万枚の売り上げ(トリプル・プラチナ)を記録した。
表題曲「Giving You the Best That I Got」はBillboard Hot 100で3位、R&BチャートとAdult Contemporaryチャートで1位を獲得。第31回グラミー賞では最優秀女性R&Bボーカル賞と最優秀R&B楽曲賞を受賞し、主要部門の最優秀レコード賞・最優秀楽曲賞にもノミネートされた。翌年の第32回グラミー賞でも、同作で最優秀女性R&Bボーカル賞を受賞している。
後世への影響
アニタ・ベイカーの洗練されたボーカル・スタイルと都会的なサウンド・プロダクションは、トニ・ブラクストンらをはじめとする1990年代以降のメロウR&Bやネオ・ソウルの先駆けとなり、後続のシンガーたちに大きな影響を与えた。
サウンド・聴きどころ
AllMusicのウィリアム・ルールマンは、このアルバムをアニタの艶やかで深みのあるアルト・ボイスと、ジャズ感覚に満ちたフレージングがよく出た充実作として評価している。あわせて、ネイザン・イーストとリッキー・ローソンの安定したリズム、エレピとサックスが作る温かなアンサンブル、そして感情を込めて歌うボーカルが全編の聴きどころとして挙げられている。
トラックリスト
- A1 Priceless 4:47
- A2 Lead Me Into Love 4:44
- A3 Giving You The Best That I Got 4:18
- A4 Good Love 5:38
- B1 Rules 3:50
- B2 Good Enough 4:47
- B3 Just Because 5:09
- B4 You Belong To Me 3:50
動画プレイリスト
このアーティストについて
Anita Bakerは、1958年1月26日生まれ、アメリカ・オハイオ州トレド出身のR&B/ソウル歌手、ソングライターだ。プロフィールでは8度のグラミー賞受...
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