Bootsy's Rubber Band - Stretchin' Out In Bootsy's Rubber Band (1976)
Bootsy’s Rubber Band『Stretchin' Out In Bootsy's Rubber Band』(1976)
Bootsy Collinsが、P-Funk周辺の名手たちを率いて初めて前面に出た作品が、この『Stretchin' Out In Bootsy's Rubber Band』だ。1976年にUSのWarner Bros. Recordsから出たオリジナル盤で、Bootsy's Rubber Band名義の出発点にあたる1枚。James Brownのバンドで鍛えたベースを土台に、George Clintonのもとで育ったファンクの感覚を、そのまま自分のバンドの色としてまとめた内容になっている。
Bootsy Collinsはシンシナティ出身で、兄Catfish Collinsとともに若い頃から演奏を重ね、のちにJ.B.'sへ参加した経歴を持つ。そこで身につけたのが、1拍目を強く置く、あの独特のグルーヴ感だ。本作のジャケットにJames Brownへの謝辞が入っているのも、その来歴を踏まえると自然な流れだろう。さらに1972年頃からはParliament-Funkadelicの一員として動き、本作ではその流れがバンド単位で結晶している。
制作と演奏陣
録音はデトロイトのUnited Sound Systemsで行われた。制作はBootsy CollinsとGeorge Clintonの共同プロデュース。全7曲はBootsyの共作で、アレンジも彼自身が担当している。ホーン・アレンジにはFred Wesleyが関わり、演奏面ではMaceo Parker、Fred Wesley、Bernie WorrellといったP-Funkの中核に加えて、Michael Brecker、Randy Breckerの兄弟も参加している。クレジット上ではブレッカー兄弟の担当楽器表記に入れ違いがあるが、参加そのものは明記されている。
この時期のP-Funk作品らしく、演奏は分厚いのに整理されている。Bootsyのベースが前に出る一方で、ホーンやキーボードが隙間を細かく埋め、リズム隊だけで押し切るのではなく、各パートが噛み合って進む作りだ。実際に聴くと、単純に派手なだけではなく、低音の置き方とブレイクの間合いにかなり神経が使われているのが分かる。
代表曲とアルバムの輪郭
収録曲の中でも、タイトル曲「Stretchin' Out (In A Rubber Band)」は本作を代表する1曲として扱われることが多い。リズムの跳ね方がはっきりしていて、Bootsyのキャラクターがそのまま音になったような曲だ。「I'd Rather Be With You」は、このアルバムの中では少し温度の低い、ゆったりした曲として置かれているが、後年になってサンプリング源として広く参照された。2Pacをはじめとするヒップホップやソウルの文脈で使われ、のちの世代にも届く素材になっている。
「Psychoticbumpschool」も含め、アルバム全体は速い曲だけで押し切るわけではない。ファンクの骨組みを保ちながら、曲ごとにテンポや質感を切り替えていく構成で、Bootsyが単なるベース・ヒーローではなく、バンドの設計者でもあることが見えてくる。James Brown由来の厳密さと、George Clinton流の遊び心が同居している印象だ。
チャートと評価
発売当時の成績も良く、Billboard 200で59位、R&Bアルバム・チャートで10位を記録している。シングルでは「Stretchin' Out (In A Rubber Band)」がR&B18位、「I'd Rather Be With You」がR&B25位、「Psychoticbumpschool」がR&B69位。商業面でも、Bootsyの名前をバンドの中心に据えた最初の作品として十分な存在感を残した。
批評面でも評価は高く、AllMusicでは4.5星、Robert ChristgauもB+を付けている。P-Funkの中でも、Bootsyの個性が最も分かりやすくまとまった作品として語られることが多い。ParliamentやFunkadelicと同時代の空気を共有しながら、Bootsy's Rubber Bandとしてはより直接的に本人のベースと声が前面に出ている点が特徴だ。
USオリジナル盤について
このUS盤はWarner Bros. RecordsのBS 2920。1976年当時のBurbank Palm Trees系レーベルが使われており、70年代中期のWarner Bros. LPらしい仕様になっている。盤面やジャケットの表記も含め、同時代のUSファンク盤としての雰囲気が強い。再発盤ではなく、作品が初めて世に出た年のオリジナル・リリースとして見るのが自然だ。
Bootsy Collinsのソロ的な一歩であり、P-Funkの拡張でもある1枚。James Brownから受け取ったリズム感、George Clintonの手つき、そしてBootsy自身の遊び心が、1976年の時点でかなり明確な形になっているアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Stretchin' Out (In A Rubber Band) 6:52
- A2 Psychoticbumpschool 5:20
- A3 Another Point Of View 7:02
- B1 I'd Rather Be With You 5:03
- B2 Love Vibes 4:51
- B3 Physical Love 4:49
- B4 Vanish In Our Sleep 5:46