Barry White - Can't Get Enough (1974)
Barry White 1974

Barry White - Can't Get Enough (1974)

Funk / Soul Soul Disco

Barry White『Can’t Get Enough』(1974年)について

Barry Whiteの『Can’t Get Enough』は、1974年に20th Century Recordsから発表されたソロ・アルバムで、彼のディスコグラフィの中でも特に重要な位置を占める作品だ。Barry Whiteは、低く深い語り口の歌唱、ストリングスを多用した編曲、自身による作曲・プロデュースを軸に、70年代ソウルの輪郭をはっきり形づくった人物で、このアルバムでもその持ち味が明確に出ている。タイトル曲を含む全体の流れは、歌と演奏が分離せず、一つのまとまった設計として進むタイプの作りになっている。

この作品を語るうえで外せないのが、同年に大きなヒットになった「Can’t Get Enough of Your Love, Babe」と「You’re the First, the Last, My Everything」の存在だ。どちらもBarry Whiteの代表曲として知られ、ポップ・チャートとR&Bチャートの両方で強い反応を得た。アルバム全体の評価や売上を押し上げた中心曲であり、1974年のBarry Whiteが商業面でも音楽面でも最も勢いのある時期にあったことを示している。実際、この時期の彼は歌手としてだけでなく、作曲家、編曲家、プロデューサーとしても強い存在感を持っていた。

作品の位置づけ

『Can’t Get Enough』は、Barry Whiteがすでに自分の音を確立した段階で出した作品という見方がしやすい。Love UnlimitedやLove Unlimited Orchestraの活動も含めて、彼は70年代前半に独自の世界を広げており、このアルバムはその流れの中心にある。低音のボーカルを前面に出しつつ、弦、リズム、ベースラインをきっちり噛み合わせる作りは、のちのソウルやディスコにもつながる要素として見られている。

同時代のソウルと比べると、Barry Whiteの音楽は歌の熱量だけで押すというより、楽曲全体の設計で聴かせるところに特徴がある。サウンドの厚みはあるが、過剰に荒くはならず、リズムは粘るが崩れない。そのバランス感覚が、このアルバムではかなりはっきりしている。1974年という年は、ソウルがディスコへ接近していく時期でもあり、そうした流れの中で本作はかなり先を行く感触を持っている。

ヒット曲とアルバムの流れ

「You’re the First, the Last, My Everything」は、Barry Whiteの楽曲の中でも特に認知度が高い1曲だ。冒頭からリズムが前に出て、メロディとオーケストレーションが素早くつかみやすい形で展開する。一方、「Can’t Get Enough of Your Love, Babe」は、彼の低音ボーカルとストリングスの組み合わせがよくわかる曲で、言葉の置き方や間の取り方にBarry Whiteらしさが出ている。どちらも単独のヒット曲として強いが、アルバムに置かれることで全体の軸にもなっている。

実際に耳を通すと、こうした大きなヒット曲だけでなく、曲間のつなぎ方や編曲の統一感が印象に残る。派手な変化で引っ張るというより、同じ温度のまま音像を保ち続けるタイプのアルバムで、各曲が独立していながらも一つの流れとして聞こえる。Barry Whiteの作品に共通する、声とオーケストラが互いを支える構図が、ここでもかなり明瞭だ。

レーベルと盤の情報

オリジナルのリリースはアメリカ盤で、20th Century RecordsのT-444。レーベルのプロフィールを見ると、20th Century Recordsは20th Century-Fox Film Corporation傘下のレーベルとして1972年に再始動しており、1974年の本作はその初期の重要タイトルにあたる。リリースノートには「A Soul Unlimited, Inc. & Barry White, Inc. Production」「℗ 1974 20th Century Records」とあり、Barry White自身の制作体制が前面に出ていることがわかる。

また、この盤はプレス工場に関係なく、Columbia Records Pressing Plant, Santa Mariaのレーベル・タイプセッティングが使われたとされている。ランアウトには一部スタンプ刻印があり、他はエッチングという仕様も記録されている。こうした盤の細部は、当時のアメリカ盤らしい実務的な情報として残っている。

総括

『Can’t Get Enough』は、Barry Whiteが1974年に到達していた完成形をそのまま示すアルバムだ。大ヒット曲を抱えながら、単なるシングル集ではなく、歌唱、編曲、プロデュースが一体になった作品としてまとまっている点が強い。ソウルの文脈ではもちろん、のちのディスコへ続く流れの中でも重要な一枚として扱われるのは自然だろう。Barry Whiteの代表作として名前が挙がるのも、この時期の充実ぶりを考えると納得しやすい。

トラックリスト

  1. A1 Mellow Mood (Pt. I) 1:53
  2. A2 You're The First, The Last, My Everything 4:37
  3. A3 I Can't Believe You Love Me 10:23
  4. B1 Can't Get Enough Of Your Love, Babe 4:31
  5. B2 Oh Love, Well We Finally Made It 3:54
  6. B3 I Love You More Than Anything (In This World Girl) 5:02
  7. B4 Mellow Mood (Pt. II) 1:23

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