Anita Ward - Songs Of Love (1979)
Anita Ward 1979

Anita Ward - Songs Of Love (1979)

Funk / Soul Soul Disco

Anita Ward『Songs Of Love』について

アニタ・ウォードの『Songs Of Love』は、1979年にUSのJuanaから出たデビュー・アルバム。メンフィス出身の女性シンガーが、ディスコ・シーンの中心で一気に名前を広げた時期の作品で、収録曲「Ring My Bell」の大ヒットと切り離しては語れない1枚だ。レコーディングはマイアミのCriteria Studiosで行われ、プロデュースはフレデリック・ナイトが担当している。

アニタ・ウォードは1956年生まれ。ブレイク前はメンフィスで学校教師をしていたという経歴を持つ。その人物が、ディスコ全盛期の1979年に放ったデビュー作という点だけでも、このアルバムの位置づけははっきりしている。作品全体はソウルとディスコを軸にしていて、当時のUSディスコ・レーベルらしい機能的な作りと、シングルの強さを前提にした構成が見える。

「Ring My Bell」が引っ張るアルバム

このアルバムを代表するのは、やはり「Ring My Bell」。1979年6月にBillboard Hot 100で1位を記録し、2週連続で首位を維持した。Hot 100には合計21週間チャートインしており、ソウル・シングル・チャート、ディスコ・チャートでも1位、さらにUKシングルチャートでも首位を獲得している。ミリオンセラーとなった大ヒット曲で、アニタ・ウォードの名前を世界に広げた決定打だった。

この曲はもともとフレデリック・ナイトが、当時まだ子役歌手だったステイシー・ラティサウのために書いたものだったが、実際のリリースにあたって歌詞がより大人向けの内容に書き換えられたという経緯がある。曲の軽やかな進行と、呼びかけるようなフレーズの反復が印象に残る作りで、ディスコのフロア向けの即効性と、ポップ・シングルとしての分かりやすさが両立している。1979年という年の空気をそのまま閉じ込めたような1曲。

アルバムとしての輪郭

『Songs Of Love』は、ヒット・シングルの存在感が大きい一方で、作品全体も当時のソウル/ディスコの作法に沿ってまとめられている。JuanaはUSのディスコ・レーベルで、T.K. Productions, Inc.配給のもとで流通していた。いわゆるマイアミ系ディスコの文脈に近く、リズムの押し出し、ボーカルの前面化、シングル映えする設計が特徴になる。Criteria Studiosで録音された点も、その時代のディスコ制作の現場感を伝える要素だ。

セカンド・シングルとして「Make Believe Lovers」も発売されたが、こちらはチャートインしなかった。アルバム単位で見ると、やはり「Ring My Bell」の存在が突出している。そのため、作品全体の印象も、ヒット曲を中心に記憶されるタイプのデビュー作として残っている。

同時代とのつながり

1979年のディスコは、ラジオとクラブの両方で強い曲が求められた時代。アニタ・ウォードのこのアルバムも、その流れの中にある。フレデリック・ナイトのソングライティングと制作が前面にある点では、歌手の個性とプロダクションの設計が結びついたタイプで、同時代のディスコ・シングルに多い形だ。派手な演奏技巧を見せるというより、曲のフックとリズムの運びで押していく作りが中心になっている。

また、アニタ・ウォード自身の経歴を踏まえると、このデビュー作は単なる新人作以上の意味を持つ。学校教師から一転して、世界的なディスコ・ヒットの歌い手になる流れは、当時の音楽産業のスピード感をよく示している。デビュー作でいきなり代表曲を持つ形になったことで、以後の彼女のイメージもこのアルバムに強く結びついた。

受け止められ方

批評面では、クリストガウのレコード・ガイドでC+評価を受けている。アルバム全体への評価はともかく、「Ring My Bell」がシーンに残した印象は非常に強い。ディスコ・クラシックとしての定着ぶり、ソウルとポップの中間に置かれた聴こえ方、そして1979年という年を象徴するシングルとしての存在感が、この作品の核になっている。

『Songs Of Love』は、アニタ・ウォードのデビュー作であり、同時に彼女の名前を決定づけた記録でもある。アルバムを通して聴くと、ヒット曲の背後にある当時のUSディスコ制作の手触りが見えやすい。特に「Ring My Bell」は、フロア向けの機能性とラジオ向けの明快さがそのまま結びついた、1979年らしいシングルとして印象に残る。

トラックリスト

  1. A1 Make Believe Lovers 7:00
  2. A2 If I Could Feel That Old Feeling Again 4:11
  3. A3 Spoiled By Your Love 3:50
  4. A4 I Won't Stop Loving You 4:34
  5. B1 Ring My Bell 8:08
  6. B2 Sweet Splendor 3:48
  7. B3 There's No Doubt About It 3:54
  8. B4 You Lied 5:03

動画プレイリスト

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