Carl Carlton - Carl Carlton (1981)
Carl Carlton『Carl Carlton』
デトロイト出身の実力派ソウル/ファンク・シンガー、カール・カールトン(Carl Carlton)が1981年に20th Century Fox Recordsから発表したセルフタイトル・アルバム。不遇のブランクを乗り越え、モダン・ブギー/80sソウル屈指のマスターピースとしてシーンの最前線に返り咲いた復活作である。
制作背景・エピソード
1960年代に「リトル・カール・カールトン」として活動を始め、1974年には「Everlasting Love」で全米6位の大ヒットを放ったカールトンだったが、その後は前所属レーベルとの印税をめぐる法的トラブルや移籍後の冷遇に苦しみ、キャリアの停滞を余儀なくされていた。そうした窮状にあった彼を救い出したのが、名シンガー/プロデューサーのレオン・ヘイウッド(Leon Haywood)だった。
ヘイウッドは自身の制作会社Eve Jim Productionsを通じてカールトンと契約を結び、本作の全面プロデュースを担当。レコーディングにはヘイウッド自身をはじめ、ジョージ・デューク(George Duke)やジェームス・イングラム(James Ingram)が鍵盤やコーラスで参加し、名ドラマーのジェームス・ギャドソン(James Gadson)、さらにアース・ウィンド&ファイアー諸作で名高い巨匠トム・トム84(Tom Tom 84)がホーン/ストリングス・アレンジを手掛けるなど、西海岸の一線級ミュージシャン陣が集結した。一流プレイヤーによるタイトなグルーヴが、カールトンの力強く艶やかなボーカルを最大限に引き立てている。
時代の文脈
1981年は、70年代後半のディスコ・ブームが落ち着きを見せ、よりタイトでシンセサイザーを取り入れたアーバン・ブギーやポスト・ディスコが台頭した時代。本作はその洗練されたダンス・サウンドと本格派ソウル・ボーカルを高次元で融合させ、80年代ブラック・コンテンポラリー/ブギー・サウンドの理想的な雛形となった。
全米R&Bアルバム・チャートで最高3位、総合チャートでも34位を記録し、ゴールドディスクを獲得。不屈のシンガーが見事なカムバックを果たした瞬間として記憶されている。
「She's A Bad Mama Jama」と後世への影響
アルバムの白眉となるのが、レオン・ヘイウッドが作詞・作曲・プロデュースを手掛けたB1「She's A Bad Mama Jama (She's Built, She's Stacked)」。うねるスラップ・ベースと弾けるホーン、抜群のキャッチーさを誇るサビがフロアを熱狂させ、米ビルボードR&Bチャートで2位、総合Hot 100で22位を記録する大ヒットとなった。1982年の第24回グラミー賞では「最優秀R&B男性ボーカル・パフォーマンス部門」にもノミネートされている。
後世のヒップホップ/R&Bシーンへの影響も絶大で、フォクシー・ブラウン(Foxy Brown) feat. ドゥルー・ヒル(Dru Hill)の「Big Bad Mama」(1997年)で大々的に引用されたほか、スヌープ・ドッグの「Snoop Dogg (What's My Name Pt. 2)」ではカールトン本人が客演するなど、時代を超えてダンス・クラシックの金字塔として愛され続けている。
サウンド・聴きどころ
「She's A Bad Mama Jama」の圧倒的なグルーヴが突出して語られがちだが、アルバム全体としても極めて完成度が高い。オープニングを飾る極上のファンク・ブギー「Sexy Lady」、ダンサブルな「This Feeling's Rated X-Tra」、そしてカールトンの伸びやかなファルセットと表現力が光るスロウ・バラード「Let Me Love You 'Til The Morning Comes」など、アップテンポからバラードまで充実した楽曲が揃った名盤である。
トラックリスト
- A1 Sexy Lady 3:37
- A2 Let Me Love You 'Til The Morning Comes 3:51
- A3 Don't You Wanna Make Love 3:58
- A4 This Feeling's Rated X-Tra 4:07
- B1 She's A Bad Mama Jama (She's Built, She's Stacked) 5:48
- B2 I've Got That Boogie Fever 6:14
- B3 I Think It's Gonna Be Alright 3:27
- B4 Fighting In The Name Of Love 3:20