Tomorrow's People - Open Soul (1976)
Tomorrow's People『Open Soul』
Tomorrow's Peopleは、1970年代半ばのシカゴで活動したソウル/ファンク・グループで、Burton家の4兄弟を中心に結成された。Kevin、Maurice、Gerald、Timothy Burtonの兄弟を核に、Alvin ParkerやJohnny Toby Gibbsらも加わった編成で、南シカゴでドゥーワップを聴いて育ち、蚤の市で手に入れた楽器で演奏を始めたという来歴が知られている。本作『Open Soul』は、1976年にシカゴの地場レーベルStage Productionsから出た、彼ら唯一のアルバムである。
シカゴ産の素朴なソウルとファンク
内容は、スロウなソウル・ナンバーとアップテンポのファンク・チューンがほぼ半々。地元の小さなレーベルから出た作品らしく、作り込みすぎないざらついた音像がそのまま残っている。歌の運びも演奏も、整いすぎた都会派ソウルというより、バンドがその場で鳴らしている感触が強い。シカゴのソウルやファンクの流れの中でも、洗練より現場感を前に出した一枚として整理しやすい。
同時代のシカゴ・ソウルには、より滑らかなアレンジや大編成のストリングスを備えた作品も多いが、『Open Soul』はそうした路線とは距離がある。むしろ、インディー系の黒人音楽レーベルが持っていた、演奏の熱量と録音の粗さがそのまま魅力になるタイプのアルバムだ。ファンクの側面では、重いベース、乾いたギター、短いフレーズの反復が中心で、ディスコに接近する場面もあるが、全体の芯はあくまでソウルとファンクにある。
表題曲「Open Soul」の存在感
このアルバムを語るうえで外せないのが、B面いっぱいを使った20分近い表題曲「Open Soul」。曲というより長尺のジャムに近く、サックスやパーカッションのブレイクダウンを挟みながら、同じヴァンプを少しずつ伸ばしていく構成になっている。展開を急がず、リズムの粘りと反復で引っぱる作りで、ファンキーでありながら、どこか催眠的な感触も残る。
この長いタイトル曲があることで、アルバム全体の印象もはっきりする。A面の楽曲群でバンドのソングライティングや歌の表情を見せ、B面では演奏の持久力と即興性を前面に出す。1枚の中で、短い曲と長い曲の性格差が大きく、そこが作品の輪郭を強くしている。
唯一のアルバムとしての位置づけ
Tomorrow's Peopleはアルバムを1枚だけ残したグループとして知られる。そのため『Open Soul』は、彼らの活動をまとめて伝える記録でもある。兄弟を中心にしたバンドのまとまり、ローカルな現場で磨かれた演奏、そしてシカゴの70年代ソウルの一断面が、この1枚に収まっている。
当時のオリジナル盤は流通量が少なく、長くコレクターのあいだで高値のレア盤として扱われてきた。のちに2017年、Melodies Internationalが現存するヴァイナル複数枚から音源を復元し、資料やインタビューも付けた形で正式再発を実現している。再発によって音源の輪郭が広く共有されるようになり、このアルバムが持つローカル盤以上の価値が見えやすくなった。
聴きどころの整理
- シカゴ南部の兄弟バンドによる、素朴で生々しい演奏
- スロウ・ソウルとファンクが均等に並ぶ構成
- B面全面の長尺曲「Open Soul」による強い個性
- Stage Productionsという地元レーベルから出た1976年作という背景
- 唯一のアルバムとして残った記録性
『Open Soul』は、派手なヒット曲で押す作品ではないが、ローカル・ソウル/ファンクの手触りがそのまま残るアルバムとして印象に残る。録音の近さ、反復の強さ、兄弟バンドならではのまとまり、その3つがはっきり聴こえる1枚である。
トラックリスト
- A1 Lovers To Friends 3:50
- A2 It Ain't Fair 4:20
- A3 Hurt Perversion 5:03
- A4 Hurry On Up Tomorrow 2:31
- A5 Let's Get Down With The Beat 2:56
- B Open Soul 20:13