Frēēēz - Gonna Get You (1983)
Frēēēz『Gonna Get You』
1983年にUKのBeggars Banquetから出たFrēēēzの作品。バンドは1978年に北ロンドンで始まったジャズ・ファンク・グループで、アメリカからの輸入盤をロンドンのレコード店に配達するヴァンの運転手だったジョン・ロッカが、パーカッション奏者として加わったのは1979年のこと。自己資金で出したデビュー・シングル「Keep In Touch」には、のちにIncognitoを結成するジャン=ポール・“ブルーイ”・モーニックも参加していたという。1981年のアルバム『Southern Freeez』で表題曲が全英8位のヒットになり、だがバンド内には緊張が生まれ、2枚目のアルバムは外部のプロデューサーに頼むことで話がまとまった。バンドはその後、Beggars Banquetと契約している。
制作背景・エピソード
1982年夏、メンバーはアルファベット順に並べたプロデューサー候補のリストを持ってニューヨークへ向かい、最上位にいたのは、数か月前にアフリカ・バンバータの「Planet Rock」を手がけたアーサー・ベイカーだった。4人はアポなしでベイカーのオフィスを訪ねた。ベイカーはデモにも前作にも特に興味を示さなかったが、「4人がただ現れたんだ。気の毒になってね」と振り返るとおり仕事を引き受け、新しいアルバムを一から作る案を出したという。
曲作りはブルックリンのフレッド・ザーのスタジオで始まり、録音は1982年7月から12月にかけて、Unique Recording、Vanguard Studios、Daily Planet Studio、Zarr Soundなどニューヨーク各所で進められた。ミックスも1983年1月から9月まで続き、ベイカーはロッカをリード・シンガーに据える形で進行した。ロッカは最初は渋ったものの応じた。ベイカーにとっては、これが初めてアルバム全体をプロデュースした仕事でもある。
収録曲「I.O.U.」はベイカーの作詞作曲。サビのメロディーは、タクシーで57丁目を走っている最中に思いつき、カセットに吹き込んでからスタジオでメンバーに聴かせたものだという。ビートには「Planet Rock」でも使ったRoland TR-808が使われ、ドラムのEverton McCallaがプログラムを担当。速いスタッカートのベースはAndy StennettがMicromoogで手弾きし、ロッカにはファルセットではなく地声で1オクターブ上を歌わせた。「A-E-I-O-U」の母音をサンプリングするアイデアはジェリービーン・ベニテスのもので、E-mu Emulatorでそのサンプルを扱ったソロはJohn Robieが弾いている。ニューヨークでのミックス作業にはFrank Heller、Jay Burnett、Andy Wallace、John Robieらが関わった。
時代の文脈
「I.O.U.」は1983年6月17日にシングルとして出て、全英2位、アメリカのダンス・チャートでは2週連続1位を記録した。フランス、オーストラリア、オランダなどでも上位に入り、イギリスではゴールド認定。ベイカーはニューヨークでこの曲が「国歌みたいなものだった」と振り返っており、ロッカはサビを「Y.M.C.A.」になぞらえている。映画『ビート・ストリート』にも使われた。
同年10月のシングル「Pop Goes My Love」も全英26位、ダンス・チャート5位を記録し、アルバム自体は全英46位だった。
後世への影響
制作の経験はバンドとしてのFrēēēzを終わらせるきっかけにもなった。ロッカは1984年にソロへ移り、自らプログラムした「I Want It To Be Real」を発表し、Midi Rain名義も含めて全米ダンス・チャート1位を2曲獲得している。Frēēēz自体はロッカ抜きでPeter Maasらが再結成し、1985年に『Idle Vice』を出した。
「I.O.U.」はその後もリミックスで再登場し、1987年には全英23位まで戻っている。さらにサンプリング素材としても使われ、Brandyの「Full Moon」のリミックス(2002年)、Will.i.amが手がけたCheryl Coleの「Let's Get Down」(2010年)、Jamie xxの『In Colour』を締めくくる「Girl」(2015年)などに引用された。Sound On Soundは「I.O.U.」を、ベイカーとロンドンのバンドの「並外れたコラボレーション」から生まれた、エレクトロの先駆的なヒットと評している。ベイカー自身は、この曲には「あらゆる仕掛けを備えていた」と言い、4つのフックがあると語っている。ロッカは今では、ダブ・ヴァージョンの「I Dub U」のほうが好きだという。
トラックリスト
- A1 We've Got The Juice
- A2 Can't Keep My Love
- A3 Love's Gonna Get You
- A4 Pop Goes My Love
- B1 I.O.U.
- B2 Freezin'
- B3 Can You
- B4 Watch Me
動画プレイリスト
このアーティストについて
Freeezは、1978年にロンドンで結成されたイギリスのファンク/ダンス・グループだ。中心人物はジョン・ロッカ(John Rocca)で、初期メンバーとしてピ...
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