David Bowie - The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars (1972)
David Bowie 1972

David Bowie - The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars (1972)

Rock Glam Classic Rock

David Bowie『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars』(1972, UK RCA Victor)

デヴィッド・ボウイの5作目のスタジオ・アルバムにあたる本作は、1972年の英国ロックを語るうえで外せない1枚だ。架空のロックスター、ジギー・スターダストを中心に据えたコンセプト作であり、物語性の強い曲順と、演劇的な歌唱、バンドの一体感がはっきりと形になっている。ボウイにとっては、単なるヒット作というより、表現の軸を決定づけた作品として位置づけられている。

このUKオリジナル盤はRCA Victorからの初出で、レーベル番号はSF 8287。録音は主にロンドンのトライデント・スタジオで行われ、1971年11月から1972年2月にかけて制作された。「It Ain’t Easy」だけは1971年7月の『Hunky Dory』期のセッションからの収録で、アルバムの中でも少し別の時間を持った曲として聴こえる。

作品の輪郭

冒頭の「Five Years」から、アルバムは終末感をはっきり示す。「Suffragette City」「Rock ’n’ Roll Suicide」まで、曲ごとに展開があり、単発のヒット集というより1本の流れとして組まれている印象が強い。「Starman」はその中でも特に知られる代表曲で、先にシングルとして注目を集め、アルバム全体の認知を押し上げた曲だ。英国盤ではこの「Starman」にシングル用のミックスが使われており、US盤やその後の多くの再発盤とは内容が異なる。

また、UK盤とUS盤では「Suffragette City」の扱いも違う。UK版はチャンネルの目立つ音抜けがなく、US版とは細部が異なる。こうした差は、当時のRCA盤を追いかける面白さのひとつでもある。

UK初回盤の特徴

この1972年のUKファースト・プレスは、つやのある非紙質のラベルを採用している。インナーには歌詞とバンド写真が入っており、初期コピーには1972年6月2日から25日までのツアーを告知する1枚刷りのインサートも付属していた。ジャケット表面はUSアートワークを流用しつつ、RCA VictorロゴとUSカタログ番号を英国仕様で隠したデザインになっている。裏面には初期盤ならではの特徴もあり、後発盤ではMainman表記が入るが、この初回盤ではまだ見られない。

クレジット面では、A1〜A4とB1〜B6がTitanic Music / Chrysalis Music、A5がRondor Music。内袋には「TO BE PLAYED AT MAXIMUM VOLUME.」の表記もあり、当時のロック・アルバムらしい押し出しの強さが感じられる。

同時代の文脈

1972年の英国ロックには、T. Rexのようなグラム・ロックの先行例があり、マーク・ボランの華やかなスタイルと並べて語られることが多い。本作はその流れの中でも、見た目の派手さだけでなく、曲の構成やキャラクター設定まで含めて完成度を高めた作品として受け止められてきた。後のグラム・ロック、そして演劇性のあるロック表現に与えた影響も大きい。

ボウイ自身にとっても、ここで確立された「役を演じるように歌う」感覚は、その後の作品群へつながっていく出発点になっている。『Aladdin Sane』以降の変化を見ても、このアルバムが分岐点だったことはわかりやすい。

聴きどころ

実際に通して聴くと、曲の強さだけでなく、音の密度が一定に保たれていることがよくわかる。ギター、ピアノ、サックス、コーラスが前に出る場面でも、混線せずに整理されている。派手さの中に、かなり計算された配置がある。特に「Ziggy Stardust」では、物語の中心人物を説明するような歌詞と、バンドの推進力がきれいに噛み合っている。

「Rock ’n’ Roll Suicide」は、アルバム終盤で視点を外へ広げるような締め方になっていて、単なるキャラクター・ソングで終わらない。ここでのボウイの歌い方は、のちの彼の多面的な表現を先取りしているようにも聴こえる。

まとめ

『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars』は、1972年当時の英国ロックの空気を濃く映しつつ、ボウイを時代の中心へ押し上げた重要作だ。UK初回盤は、その歴史をそのまま持ったオリジナル仕様として、音源の違いも含めて興味深い存在になっている。派手なキャラクター設定の裏で、演奏、録音、曲順、アートワークが細かく組み合わされたレコードである。

トラックリスト

  1. A1 Five Years 4:42
  2. A2 Soul Love 3:34
  3. A3 Moonage Daydream 4:40
  4. A4 Starman 4:10
  5. A5 It Ain't Easy 2:58
  6. B1 Lady Stardust 3:22
  7. B2 Star 2:47
  8. B3 Hang On To Yourself 2:40
  9. B4 Ziggy Stardust 3:13
  10. B5 Suffragette City 3:25
  11. B6 Rock 'N' Roll Suicide 2:58

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