Yes - The Yes Album (1971)
Yes 1971

Yes - The Yes Album (1971)

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Yes『The Yes Album』──バンドの輪郭がはっきり見える3作目

Yesの『The Yes Album』は1971年の作品で、バンドにとって大きな転機になったアルバムだ。初期のYesは、すでに演奏力の高い英国ロック・バンドとして知られていたが、この作品でスティーヴ・ハウが正式に加入し、以後のバンド像につながる音作りが前面に出てくる。長めの曲構成、細かく組み立てられたアンサンブル、そして各メンバーの役割がはっきり分かる演奏。そうした要素が、この時点でかなり明確になっている。

日本盤はAtlanticのP-8079Aで、1971年のリリース。ゲートフォールド仕様、価格は2000円という記載がある。国内盤としては初期の入荷盤にあたるもので、当時の洋楽ロックを日本で聴くうえでの重要な入口のひとつだったはずだ。ジャケットを開いたときの見せ方も含めて、アルバム全体を作品として扱う70年代初頭らしい作りになっている。

Yesにとっての位置づけ

このアルバムは、Yesが「プログレッシブ・ロックの代表格」として見なされていく流れの中で、かなり分かりやすい足場になっている。前作までにあったカバー曲中心の色合いから離れ、オリジナル曲でアルバムを組み立てる比重が増す。バンドの公式サイトでも“breakthrough”として扱われていて、後年の評価も高い。『Fragile』や『Close to the Edge』へ続く流れの前段階として聴かれることが多い作品だ。

演奏面では、クリス・スクワイアの低音の押し出し、ビル・ブルフォードの細かいリズム、ジョン・アンダーソンの高い声域、トニー・ケイのオルガン、そしてスティーヴ・ハウのギターが、それぞれ独立しながら噛み合っている。特にハウ加入の意味は大きく、ギターのフレーズや音色の切り替えが、Yesらしい展開の核になっている。

収録曲の中でも目立つ代表曲

この作品からは「I’ve Seen All Good People」がシングルとして知られている。歌ものとしての分かりやすさがありながら、単純なポップソングには収まらない構成で、Yesの入口としても長く記憶されてきた曲だ。もうひとつの大きな見せ場が「Clap」。ライブ録音のギター・ソロ曲として収録され、スティーヴ・ハウの個性を前面に出している。アルバム全体の中で、バンドの演奏力を一気に印象づける場面になっている。

「Yours Is No Disgrace」や「Starship Trooper」も、この時期のYesを語るうえで外しにくい。どちらも長尺で、曲の中で場面が変わっていく作りがはっきりしている。ロック・バンドの演奏を積み上げていく構成でありながら、単に技巧を並べるだけではなく、曲の流れそのものを聴かせる作りになっているのが面白いところだ。

同時代の文脈

1971年の英国ロックは、レッド・ツェッペリンやピンク・フロイド、ジェネシス、キング・クリムゾンなど、それぞれが独自の方向へ進んでいた時期だ。その中でYesは、メロディと複雑な構成の両方を強く押し出す側にいた。キング・クリムゾンほど鋭い緊張感に寄せすぎず、シンフォニックな広がりを持たせる方向。後のプログレ勢、たとえばエイジアやマリリオンのような80年代以降のバンドにも、こうした「構築された大きな流れ」の作法は引き継がれていく。

録音はロンドンのAdvision Studiosで行われ、エディ・オフォードが関わっている。Yesの音像を形にしていくうえで、この制作体制も重要だった。音の分離がよく、各楽器の線が追いやすい。ヘッドフォンで聴くと、左右の配置だけでなく、演奏の受け渡しが見えやすいタイプのアルバムだ。

当時の反応とチャート

発売当時から評価は高く、英国アルバム・チャートでは4位、米国Billboard 200でも40位を記録した。Yesにとって商業的な突破口になった作品であり、プログレッシブ・ロックが一部の好事家だけのものではなく、広く届き始めた時期の記録でもある。批評面でも好意的に受け止められていて、バンドの完成度が一段上がったことを示すアルバムとして扱われてきた。

日本盤としての見どころ

この1971年日本盤は、オリジナル期の空気をそのまま持ち込んだ初期プレスの一枚として価値がある。Atlanticの国内盤は当時、海外ロックの標準的な受け皿でもあり、このタイトルもその中で重要な位置にある。ゲートフォールドの見開き仕様は、内容の大きさを視覚的にも支える作りで、アルバム単位で聴く意識が強かった時代の雰囲気をよく伝えている。

『The Yes Album』は、Yesの名前が単なる実力派バンドから、独自の様式を持つバンドへ変わっていく境目にある。演奏、曲構成、音の配置、そのどれもが後のYesを先取りしている一枚だ。1971年という年のロックの空気をそのまま抱えながら、のちのプログレの定型を形づくる側にも回っていく。そこが、このアルバムを聴くうえでの大きなポイントになる。

トラックリスト

  1. A1 Yours In No Disgrace
  2. A2 The Clap
  3. A3 Starship Trooper
  4. A3a Life Seeker
  5. A3b Disillusion
  6. A3c Würm
  7. B1 I've Seen All Good People
  8. B1a Your Move
  9. B1b All Good People
  10. B2 A Venture
  11. B3 Perpetual Change

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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