Depeche Mode - Construction Time Again (1983)
Depeche Mode 1983

Depeche Mode - Construction Time Again (1983)

Electronic Pop Synth-pop

Depeche Mode『Construction Time Again』レビュー

Depeche Modeの『Construction Time Again』は、1983年にUKのMuteからリリースされた3作目のスタジオ・アルバムだ。グループが初期のシンセポップ・バンドという枠を越え、より硬質で実験的な方向へ踏み出した時期の作品として知られている。収録曲にはシングル「Everything Counts」と「Love, in Itself」が含まれ、同年のバンドの立ち位置を大きく押し広げた1枚でもある。

この時期のDepeche Modeは、Vince Clarke脱退後にMartin Goreが主導権を握り、さらにAlan Wilderが加わって編成が固まった直後にあたる。『A Broken Frame』での再出発を経て、ここでは打ち込み主体のポップ・ソングにとどまらず、工業的な音の質感やサンプリングの扱いが前面に出てくる。のちの80年代後半の成功を見据えるうえでも、かなり重要な位置づけの作品といえる。

作品の輪郭

アルバム全体を通して目立つのは、シンセサイザーの整った響きだけでなく、金属音や機械音のような要素を楽曲の中に組み込んでいる点だ。タイトルの通り、ものを組み立てるような感覚が音像にも反映されていて、単なるメロディ中心のポップ作ではない。とはいえ、難解さだけに寄っているわけでもなく、歌のフックはしっかり残っている。そのバランスがこの作品の特徴だろう。

当時のUKエレクトロニック・ポップの中でも、Depeche ModeはHuman LeagueやYazoo、また同じ時代のニューウェーブ勢と並べて語られることが多い。ただ、『Construction Time Again』ではそうしたポップ・センスを保ちながら、よりラフで現実の手触りに近い音へ寄っていく。その流れは、後年の『Black Celebration』や『Music for the Masses』へ続く土台としても見えてくる。

「Everything Counts」について

代表曲としてまず挙がるのが「Everything Counts」だろう。アルバムの中でも特に存在感があり、Depeche Modeの初期代表曲として長く定着している。リズムの組み立てが明快で、打ち込みの反復がそのまま曲の推進力になっている。歌詞面では、当時のバンドがポップ・バンドのイメージから一歩外へ出て、より社会的な視点を持ち始めていたことも感じられる。

この曲は、メロディの覚えやすさと、音のざらつきが同居しているのが面白い。きれいに整えたシンセポップではなく、少し硬く、少し圧のある音で前へ進む。ライブでも重要な位置を占めてきた曲で、後の大規模なステージを想像させる骨格がこの時点でかなりはっきりしている。

「Love, in Itself」について

「Love, in Itself」は、同作の中で比較的ポップな輪郭を保ちながらも、単純に明るいだけでは終わらない曲だ。リズムの刻みとボーカルの置き方が整っていて、アルバムの中で耳をつかみやすい。初期Depeche Modeらしい端正さがありつつ、すでに『Speak & Spell』時代の軽さとは違う方向へ進んでいるのがわかる。

この曲を聴くと、Depeche Modeが「シングルで成立する曲作り」と「アルバム全体の質感づくり」を同時に進めていたことが見えてくる。派手な展開を持つわけではないが、繰り返しの中で少しずつ印象が変わるつくりで、アルバムの中でも堅実な役割を担っている。

アルバムとしての聴きどころ

『Construction Time Again』は、バンドのキャリアの中では転換点にあたる作品だ。デビュー作の素朴なシンセポップ、前作での編成変更を経て、ここで初めて「Depeche Modeらしい重さ」が明確な形になってきたように思える。1983年という年のUKポップ/エレクトロニックの中でも、音色の選び方やリズムの作り方に一段進んだ印象がある。

後年の大きな成功を知っていると、このアルバムはその前段階として見えやすい。ただ、単なる通過点ではなく、ここでしか聴けない硬さと緊張感がある。シンセポップの文法を保ちながら、工業的な質感とメッセージ性を持ち込んだ点に、この作品の意味がある。Depeche Modeが単なるヒット曲のバンドではなく、長く更新を続ける存在になっていく入口として、かなり重要な1枚だろう。

UKオリジナル盤はMuteのカタログ番号STUMM 13で、1983年当時のリリース。後年の再発盤と比べると、基本の内容は同じでも、テープやカセットの仕様違いがいくつか確認できる。とはいえ、作品の核はこの1983年盤にある。初期Depeche Modeの変化を追ううえで、外せないタイトルだ。

トラックリスト

  1. Works:
  2. A1 Love, In Itself
  3. A2 More Than A Party
  4. A3 Pipeline
  5. A4 Everything Counts
  6. B1 Two Minute Warning
  7. B2 Shame
  8. B3 The Landscape Is Changing
  9. B4 Told You So
  10. B5 And Then...

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