Editors - In This Light And On This Evening (2009)
Editors 2009

Editors - In This Light And On This Evening (2009)

Electronic Rock Indie Rock Synth-pop

Editors『In This Light And On This Evening』(2009)

Editorsの3作目『In This Light And On This Evening』は、2009年にUK & Europeで発表されたアルバムだ。Birminghamを拠点に活動してきたBritish indie rock bandとしては、初期のギター主体のバンド像から一歩離れ、シンセサイザーやドラムマシンを前面に出した作品として知られている。レーベルはKitchenware Records、[PIAS] Recordingsのライセンス下でのリリース。録音はロンドンのMilocoとAssault and Battery Studios、ミックスとマスタリングはMetropolis Studiosで行われた。

バンドの輪郭と、この作品の位置

EditorsはTom Smith、Russell Leetch、Ed Lay、Chris Urbanowiczの4人を中心に2002年に結成されたバンドで、2000年代半ばの英国インディー・ロック・シーンで存在感を強めていった。本作の時点では、Tom Smithがボーカルとギター、Russell Leetchがベースとキーボード、Ed Layがドラムを担当し、Chris Urbanowiczがギターとキーボードを担っていた。後年の編成変更を踏まえると、このアルバムは初期4人編成の到達点としても見ておきたい1枚になる。

前2作を手がけたJacknife Leeに代わって、本作のプロデュースを担当したのはFlood。Depeche ModeやU2などで知られる人物で、Editorsがロック・バンドとしての輪郭を保ちながら、より機械的な質感へ寄せていく流れに関わった。ベン・ヒリアーやセンゾ・タウンゼントもミックスに参加しており、制作面でも音像の整理が強く意識されている。

サウンドの変化

この作品で目立つのは、ギターのバンドというより、シンセとビートが曲の骨格を作る場面が増えたことだ。初期Editorsにあったポストパンク寄りの緊張感を残しつつ、Depeche Mode、Joy Division、Gary Numanといった80年代エレクトロニック勢を思わせる乾いた空気が前に出る。音数を減らしたように聴こえる場面でも、低音の押し出しや反復の作り方に手数があり、冷えた質感の中でトラックが進んでいく。

実際に聴くと、ドラムの打ち込み感と生ドラムの輪郭が混ざる曲、ギターがリフというよりノイズや装飾として置かれる曲が多く、初期作のような直線的なバンド演奏とはかなり印象が違う。Tom Smithの声は、この変化の中でも中心に残っていて、低めのトーンで語るように進む部分と、伸ばして押し切る部分の切り替えがはっきりしている。

収録曲と代表曲

アルバムの先行曲として知られるのが「Papillon」だ。跳ねるようなシーケンスと、前に出るリズムが印象的で、本作の方向性をそのまま示す1曲になっている。シングルとしてもアルバムの顔になった曲で、Editorsの中期以降を語るときに外しにくい存在だ。

アルバム全体では、派手なフックで押す曲より、同じモチーフを積み重ねていく曲が多い。A面の流れでは、ロンドンのスタジオで組み立てられた硬い音像が続き、B面ではより広がりのある構成も見える。ミックス先が複数あることもあって、曲ごとに輪郭の出し方が少しずつ違うのも特徴だ。

評価と反応

この路線変更は当時かなり話題になった。Metacriticでは59点、The Guardianは4つ星、NMEは5/10、Pitchforkは3.7/10と、評価は割れた。ギターバンドとして期待されていた方向から外れたぶん、戸惑いも含んだ受け止め方が多かった一方で、音の組み立てを評価する声もあった。

商業面では、イギリスでアルバムチャート初登場1位を記録した。2週目には13位まで下がり、トップ40在籍は3週間にとどまったという経過も知られている。対してベルギー2位、オランダ3位と、大陸ヨーロッパでは強い反応を得た。英国インディーの文脈の中では、同時代のシンセ導入組や、80年代ニューウェーブ回帰の流れと並べて語られることが多い。

まとめ

『In This Light And On This Evening』は、Editorsが初期のポストパンク寄りサウンドから、シンセ中心の冷たい質感へ舵を切った作品だ。2009年という時点で、バンドの輪郭を保ちながら音の設計を大きく変えたことが、そのまま作品の性格になっている。『Papillon』を軸に、ギター・バンドの枠をずらしていく過程がはっきり残るアルバムとして記録されている。

トラックリスト

  1. A1 In This Light And On This Evening
  2. A2 Bricks And Mortar
  3. A3 Papillon
  4. A4 You Don't Know Love
  5. B1 The Big Exit
  6. B2 The Boxer
  7. B3 Like Treasure
  8. B4 Eat Raw Meat = Blood Drool
  9. B5 Walk The Fleet Road

動画プレイリスト

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