Doug Carn Featuring The Voice Of Jean Carn - Infant Eyes (1971)
Doug Carn 1971

Doug Carn Featuring The Voice Of Jean Carn - Infant Eyes (1971)

Jazz Soul-Jazz

Doug Carn Featuring The Voice Of Jean Carn『Infant Eyes』

Doug CarnがJean Carnの歌声を前面に置いて組み上げた『Infant Eyes』は、Black Jazz Recordsの初期を代表する1枚として知られている。オリジナルは1971年制作で、同レーベルのスピリチュアル・ジャズ路線をはっきり示した作品だ。ピアノ、オルガン、キーボードを操るDoug Carnが、ジャズ・スタンダードや当時のモダン・ジャズ作品に独自の歌詞を与え、Jean Carnがそれを歌う構成。インスト中心のジャズ作品とは違い、声の存在がアルバム全体の輪郭を決めている。

Black Jazz Recordsは、1971年にオークランドで始まったUSのレーベルで、黒人ミュージシャンを紹介する目的を持ち、より政治的でスピリチュアルな空気を帯びた作品を出していた。『Infant Eyes』は、その方針が音としてまとまった例のひとつ。Doug Carnは当時まだ若い世代のプレイヤーだったが、作編曲の考え方はかなり明確で、自由な即興に寄りかかるよりも、曲の流れや声の置き方を細かく設計している。

収録曲の骨格

収録曲は、Wayne Shorter、Horace Silver、Bobby Hutcherson、John Coltraneらの作品を中心に据えつつ、Doug Carnが詞を書き、Jean Carnが歌う形で並ぶ。曲名だけ見てもジャズの文脈が濃いが、実際には原曲のメロディをそのままなぞるだけでなく、歌詞のある楽曲として再構成している点が大きい。とくにタイトル曲「Infant Eyes」は、Wayne Shorterの楽曲に新しい言葉を与えたもので、このアルバムの性格を端的に示す1曲になっている。

また、A面・B面を通して聴くと、オルガンの響きが前に出る場面と、ピアノを軸にした静かな場面が切り替わり、ソウル・ジャズの感触と、より内省的なジャズの線が交差する。演奏が過度に熱を上げるより、細部を整えながら進む作りで、Jean Carnの声がその中心にある。1971年当時のジャズの中では、派手な爆発力よりも、整った編曲と抑えた歌唱の組み合わせが印象を残すタイプの作品だ。

制作背景と位置づけ

Doug Carnは、既成の歌のレパートリーに飽きたことをきっかけに、自分で詞を書いて歌のためのジャズを作る発想に向かったとされる。Jean Carnの歌唱力を知ったことで、その方向が固まったという流れも伝えられている。さらに、ColtraneやWayne Shorterを改めて聴き直した時期でもあり、その影響がアルバムのスピリチュアルな輪郭につながっている。曲の間合いを重視する姿勢も、Doug Carnの作編曲を語るうえで外せない要素だ。

この作品は、Doug Carnにとっても重要な位置にある。Black Jazzでの初期作のひとつであり、のちの名義変更以前の代表作として扱われることが多い。ジャズ・オルガン奏者としての側面だけでなく、編曲家、プロデューサーとしての感覚がはっきり見えるアルバムでもある。後年の再評価も含め、Black Jazzのカタログの中では存在感が強い。

1971年盤と1997年盤

ここで触れているのは、オリジナルが1971年の作品で、1997年にUSのBlack Jazz Recordsから出た再発盤。レーベルの再発事業の一環として、オリジナル時代の作品がCD化された流れにある。ジャケット・デザインにはRay Lawrence LtdとThe Graphic Edgeのクレジットがあり、当時のBlack Jazz作品らしい端正な見た目も印象に残る。

当時のレビューでは、音楽は自由系とより伝統的なジャズのあいだを丁寧に行き来し、統制と精度の高さが長所として受け止められていた。大きく煽る演奏ではなく、構成を崩さずに進めるタイプのアルバムとして聴かれていたことがうかがえる。BillboardのジャズLPチャートでも後年まで流通が確認でき、Black Jazzの中では比較的広く知られたタイトルとして残った。

まとめ

『Infant Eyes』は、Jean Carnの歌声を核に、Doug Carnがジャズの名曲へ新しい言葉を与えたアルバムだ。ソウル・ジャズの親しみやすさと、スピリチュアル・ジャズの内向きな集中が同居していて、Black Jazz Recordsの方向性をよく示している。Wayne ShorterやColtraneの楽曲を素材にしながら、歌ものとしての統一感を作っている点も、この作品ならではの特徴。1971年の時点で堅実な評価を受け、のちに再発を通じて再び聴かれるようになった、そんな流れの中にある1枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Welcome 1:15
  2. A2 Little B's Poem 3:50
  3. A3 Moon Child 7:56
  4. A4 Infant Eyes 9:50
  5. B1 Passion Dance 5:58
  6. B2 Acknowledgement 8:45
  7. B3 Peace 4:30

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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