Earth, Wind & Fire - Powerlight (1983)
Earth, Wind & Fire『Powerlight』(1983 / US Columbia TC 38367)
Earth, Wind & Fireの『Powerlight』は、1983年2月に発表された通算12作目のスタジオ・アルバム。Maurice Whiteを中心に、ファンク、ソウル、R&Bを軸にしながら、80年代初頭の空気を取り込んだ作品としてまとまっている。録音は1982年7月から11月にかけて、ロサンゼルスのThe ComplexとハリウッドのOcean Way Studiosで行われ、プロデュースもMaurice Whiteが担当している。
このUS盤はColumbiaのTC 38367。1983年のオリジナル期に出たもので、内袋には歌詞とクレジットを収録。ランアウトの「G」はGプレスを示しており、Columbiaの1980年代初頭のプレス物らしい仕様が見える。盤そのものは、発売当時の空気をそのまま閉じ込めた一次資料としての性格が強い。
アルバムの位置づけ
『Powerlight』は、80年代前半のEarth, Wind & Fireにとって節目の一枚。前作までで築いてきた大編成のホーン・アレンジやコーラス主体の華やかさを残しつつ、よりコンパクトな楽曲運びと、当時のR&Bチャートに接続する作りが目立つ。全米Billboard 200で12位、R&Bアルバムチャートで4位、ゴールド認定という成績も残している。
この時期のグループは、70年代後半のディスコ以後の流れを受けながら、ブギーや洗練されたファンクへ寄せた作品を各地で展開していた。ChicやKool & The Gang、The Isley Brothers、The Commodoresあたりと並べて語られることの多い時代の空気が、そのままこのアルバムにも反映されている。とはいえ、Earth, Wind & Fireの場合は、Philip Baileyの高いファルセット、Maurice Whiteのリズム設計、重ねたコーラスの整理のされ方がはっきりしていて、同時代のファンク・バンドの中でも輪郭が見えやすい。
「Fall In Love With Me」を中心にした構成
先行シングル「Fall In Love With Me」は、1983年1月21日発売。Maurice WhiteがWayne Vaughn、Wanda Vaughnと共作した曲で、Billboard Hot 100で17位、R&Bシングルチャートで4位まで上昇している。グラミー賞のBest R&B Performance by a Duo or Group with Vocals部門にもノミネートされた。
この曲は、打ち込みっぽさを感じる整ったリズムの上に、Whiteのスキャット風の歌い回しとコーラスが重なる作り。ロック寄りの派手さではなく、細かいリズムの積み重ねで押していくタイプで、Roland Bautistaのギターソロも曲の流れをはっきり切り替える役目を持っている。アルバム全体でも、このシングルが持つ輪郭が基準になっている印象がある。
聴きどころの整理
実際に聴くと、まず感じるのは音の密度の管理。ホーンやコーラスを前に出しながらも、各パートがぶつかりすぎない。ベースとドラムの推進力が軸にあり、その上でシンセやギターが細かく色を足していく。70年代のEarth, Wind & Fireにあった大きな展開より、1983年当時のR&Bアルバムらしい引き締まった構成が目立つ。
また、アルバムの流れには、ダンス向けの推進力と、メロディをきっちり聴かせる曲作りの両方がある。Boogie、Funk、Soul-Jazzという表記がそのまま示す通り、踊れるだけでなく、コード感やアンサンブルのまとまりもきちんと残っている。派手な一発で押し切るより、演奏の積み方で聴かせるタイプの作品。
この時期の意味
『Powerlight』の後、Maurice Whiteはグループとして一度区切りをつける形で活動を休止し、ソロ制作やプロデュースに重心を移していく。そのため本作は、80年代前半のEarth, Wind & Fireのひとつの到達点として見られることが多い。70年代から続くバンドの強みを保ちながら、時代の音に合わせて整理された一枚、そんな位置に置かれている。
Earth, Wind & Fireは1970年にChicagoでMaurice Whiteによって結成され、後年は90百万枚以上を売り上げ、2000年にはRock and Roll Hall of Fameにも殿堂入りしている。『Powerlight』は、その長い活動の中でも、ヒット性と演奏力の両方をきちんと残した80年代初頭の記録として読める作品。USオリジナル盤で聴くと、当時のColumbia盤らしい質感も含めて、制作時の輪郭が見えやすい。
トラックリスト
- A1 Fall In Love With Me 5:40
- A2 Spread Your Love 3:51
- A3 Side By Side 5:56
- A4 Straight From The Heart 4:59
- B1 The Speed Of Love 3:35
- B2 Freedom Of Choice 4:10
- B3 Something Special 4:24
- B4 Hearts To Heart 3:44
- B5 Miracles 4:58