Free - Free (1969)
Free 1969

Free - Free (1969)

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Free『Free』(1969年)について

Freeの2作目のスタジオ・アルバム『Free』は、1969年にUKのIsland Recordsから発表された作品である。デビュー作『Tons Of Sobs』の翌年に置かれたこの一枚は、バンドがブルース・ロックを土台にしながら、より曲作りを前面へ押し出していく過程を記録したアルバムとして位置づけられる。のちに「All Right Now」で大きく飛躍する前夜の作品であり、Freeというバンドの輪郭がかなりはっきり見える時期の記録でもある。

バンドの編成とこの時期の空気

この時期のFreeは、Paul Rodgers、Paul Kossoff、Andy Fraser、Simon Kirkeの4人編成。ロンドンで結成された英国のロック・バンドで、1968年の始動から1973年の解散まで活動した。1960年代末の英国ロックは、ブルースを基盤にしたバンドが数多く登場した時代で、Freeもその流れの中にいる。ただし、単にブルース・ロックの枠に収まるのではなく、演奏の余白を残しつつ、曲の構造をきっちり組み立てる方向へ進んでいく。その変化がこのアルバムには見えている。

収録曲は全9曲。ウェブ上の情報では、そのうち8曲がPaul RodgersとAndy Fraserの共作とされている。作曲面でRodgersとFraserの比重が高まり、バンドの主導権が演奏だけでなく楽曲そのものにも及んでいた時期である。一方で、Paul Kossoffはデビュー作にあった即興性を重視していたとされ、制作はバンド内の緊張を含んでいた。こうした背景は、音のまとまりと生々しさが同居するこの時期のFreeらしさにつながっている。

音の印象と収録曲

実際に聴くと、いきなり大仰な展開で押し切るアルバムではない。Paul Rodgersの歌は前に出るが、ただ声量で押すのではなく、フレーズごとの置き方が細かい。Andy Fraserのベースは曲の土台を支えるだけでなく、メロディの動きにも関わっている。Simon Kirkeのドラムは派手さよりも、バンド全体の呼吸を整える役回りが目立つ。そこにKossoffのギターが加わり、音数を詰めすぎないまま緊張感を作っている。

シングル・カットされた「Broad Daylight」と「I’ll Be Creepin’」は、このアルバムを代表する曲として扱われることが多い。どちらも後年の大ヒット曲ほど広く知られてはいないが、Freeの持つ硬質さと、リズムの粘りをよく示している。「I’ll Be Creepin’」は特に、ブルースの語法を下敷きにしながら、ロック・バンドとしての押し引きを見せる曲。派手なサビで引っ張るタイプではなく、演奏の間合いで聴かせる作りである。

アルバム全体としては、のちの『Fire And Water』のような一撃必殺のヒット曲中心ではなく、曲ごとのテンション差やバンド内の温度差がそのまま残っている。そこが面白いところでもある。完成度の高さを最優先した作品というより、4人の関係性がそのまま音になったような感触がある。

発売時の位置づけ

商業的には大きな成功にはつながらず、アルバムもシングルもチャート入りしなかったとされる。ただ、Freeはこの時期、John Peelのラジオ・セッションなどを通じて支持を広げていた。レコードのセールス面では目立たなくても、英国ロックのリスナーの間で存在感を積み上げていた時期である。その流れの先に、翌年の『Fire And Water』収録「All Right Now」の大ブレイクがある。

同時代の英国ブルース・ロックと比べると、Freeは演奏の豪快さよりも、曲の骨格と歌の強さが前に出る。CreamやLed Zeppelinのような派手な拡張とは少し違い、もっと地に足のついた組み立て方をしている印象がある。のちのハード・ロックやブリティッシュ・ロックに通じる要素を持ちながら、まだ“ヒット・バンド”として完全に形が固まる前の、揺れを含んだ段階の記録である。

この盤の仕様について

このUK盤はIsland RecordsのILPS-9104。ゲートフォールド・ジャケット仕様で、初期のピンク・レーベルに「i」ロゴが入っている。レーベルにはダブルのインナー・グルーヴがあり、ジャケット内にはE. J. Day, Londonの印刷・製作クレジットが入る。Chris Blackwellのクレジット表記が大文字になっている点も、この盤の特徴として挙げられる。初期Islandらしい細部の違いが見られる一枚で、同じタイトルでも表記や印刷違いのバリエーションが存在する。

タイトル曲『Free』は、バンド名と同名のアルバムとしてもわかりやすいが、内容は単純な名刺代わりではない。後の大成功を知っていると、ここにあるのはまだ途中経過のFreeである。だが、その途中経過こそが、このバンドの骨格をよく伝えている。

トラックリスト

  1. A1 I'll Be Creepin' 3:15
  2. A2 Songs Of Yesterday 3:31
  3. A3 Lying In The Sunshine 4:02
  4. A4 Trouble On Double Time 3:34
  5. A5 Mouthful Of Grass 3:36
  6. B1 Woman 3:45
  7. B2 Free Me 5:37
  8. B3 Broad Daylight 3:33
  9. B4 Mourning Sad Morning 5:03

動画プレイリスト

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