Babe Ruth - Amar Caballero (1974)
Babe Ruth『Amar Caballero』解説
Babe Ruthの『Amar Caballero』は、英国のロック・バンドによる2作目のアルバムで、1974年にHarvestからリリースされた作品である。前作『First Base』で見せたハードな感触を土台にしながら、より構成の大きい曲展開や、クラシック音楽由来の組み立て、R&Bの要素を重ねた内容になっている。バンド名の印象からは想像しにくいが、演奏の芯はかなり硬く、70年代前半の英国プログレッシブ・ロックとハード・ロックの接点に置かれるアルバムである。
バンドの立ち位置
Babe Ruthは1971年にShacklockとして始まり、その後Babe Ruthへ改名した英国のロック・バンドである。活動期間は長くないが、当時の英国ロックらしい、重さと構成美を両立させる方向性を持っていた。本作『Amar Caballero』は、その初期Babe Ruthの特徴がまとまって出た一枚で、バンドの代表的な時期を示す作品として扱われている。
メンバーにはJenny Haan、Alan Shacklock、Dave Hewitt、Ed Spevockらがクレジットされている。女性ボーカルを前面に置いた編成も、このバンドの印象を決める要素のひとつで、同時代の英国ハード・ロック勢の中でも少し輪郭が違う。演奏と歌の対比がはっきりしていて、曲の起伏を作る役割が大きい。
音の作りと聴きどころ
『Amar Caballero』の中心にあるのは、ロックを軸にした重いリフと、場面転換の多い曲構成である。AllMusicは本作を、ロックの骨格にクラシカルな響きとR&Bの薄いコーティングを施したアルバムとして評している。実際、単に派手なだけの作品ではなく、各曲の展開に段階があり、短いフレーズを積み上げていく作りが目立つ。
タイトル曲「Amar Caballero」は長尺の中心曲で、アルバムの性格を最もはっきり示す。曲の中でテンポや密度が切り替わり、セクションごとの表情が変わっていく構成。Babe Ruthの持つドラマ性はここで強く出ている。もうひとつの目立つ収録曲は「Cool Jerk」のカバーで、オリジナルの持つリズム感を残しながら、バンド流の硬い演奏に置き換えている。
また、B4は三つのムーヴメントに分かれている。組曲的な扱いで、アルバム全体のプログレッシブな性格を補強する部分である。こうした曲構成は、単純なシングル志向ではなく、アルバム単位で聴かせる意識が強い時代の英国ロックらしい作りである。
当時の評価と反応
リリース当時の評価は一定の好意を得ていた。1974年6月の『Rolling Stone』のレビューでは「聴く価値のあるアルバム」として扱われており、同時代の業界紙でも注目作として取り上げられている。大きな話題作というより、内容面で評価を集めたタイプの作品である。
商業面では、少なくともカナダでの動きが確認できる。『First Base』の輸入盤ヒットに続き、『Amar Caballero』も配給され、前作と並んで支持を広げた。英国本国だけでなく、北米の一部市場で輸入盤需要が強かったことも、このバンドの特徴として残る。
1974年版としての位置づけ
このアルバムは1974年作として見ると、英国プログレッシブ・ロックがハード・ロックやR&Bの要素を取り込みながら細分化していた時期の一枚である。Babe Ruthは、同時代の大作志向のバンド群と並べて語られることがある一方で、より直接的なリフと歌の強さを持っている。派手な技巧だけで押し切るのではなく、曲の流れで聴かせる点に特徴がある。
また、本作の後には編成の変化も起きており、バンドにとっては一つの節目になったアルバムでもある。初期Babe Ruthの重厚さ、女性ボーカルの存在感、長尺曲の構成力がまとまって確認できる点で、グループの基礎形を示す作品として残っている。
まとめ
『Amar Caballero』は、Babe Ruthの2作目にして、バンドの個性が最も分かりやすく出たアルバムのひとつである。ハードな演奏、クラシカルな構成感、R&B由来のノリが同居し、1974年の英国ロックの中でも少し独特の位置にある。タイトル曲の長い展開、カバー曲の処理、組曲的なB4など、アルバムとして聴く前提の作りがはっきりしている一枚である。
トラックリスト
- A1 Lady
- A2 Broken Cloud
- A3 Gimme Some Leg
- A4 Baby Pride
- B1 Cool Jerk
- B2 We Are Holding
- B3 Doctor Love
- Amar Caballero
- B4a El Caballero De La Reina Isabella
- B4b Hombre De La Guitarra
- B4c El Testament De 'Amelia