Iconoclasta - Iconoclasta (1983)
Iconoclasta / Iconoclasta (1983)
メキシコのプログレッシブ・ロック・バンド、Iconoclastaが1983年に残したデビュー作。バンド名と同じタイトルを冠した本作は、メキシコ録音・ミックスによる初期の重要作で、同国のプログレ文脈ではかなり早い段階の記録として位置づけられている。リリースはメキシコのインディペンデント・レーベル、Discos Rosenbachからで、レーベルの動きとバンドの活動がほぼ同じ時期に重なっている点も、この作品の性格をよく示している。録音時期は1983年の秋から冬にかけてで、当時の空気がそのまま閉じ込められたような一枚。
Iconoclastaは1980年にメキシコシティで結成され、中心にいたのはリカルド・モレノとリカルド・オルテゴン。AllMusicでは、初期はややラフなガレージ色を含みつつ、そこからジャズやフォークの要素を取り入れた、ほぼインスト中心のプログレへ発展したバンドとして紹介されている。本作も、その後のバンド像につながる土台がすでに見える作品で、ギター、キーボード、そしてハードロック寄りの推進力が前面に出る構成。シンフォニックな展開もあり、演奏で押し切るタイプのプログレとしてまとまっている。
作品の手触り
実際に聴くと、まず感じるのは70年代のプログレを1983年の時点で再提示している感触。音像そのものは当時のメキシコ制作らしい素朴さがあり、過度に整えられたスタジオ作品というより、バンドの演奏力と曲の流れをそのまま見せる作りに近い。キーボードが空間を広げ、ギターが前に出て、リズム隊が曲の推進力を支える。その上で、メロディを細かく積み上げるというより、長めの展開の中で場面が切り替わっていく構成が印象に残る。
また、ほぼインスト中心という性格もあって、歌を軸にした分かりやすいフックより、演奏の細部で聴かせる場面が多い。派手なヒット曲が目立つ作品ではなく、アルバム全体の流れで聴くことで輪郭がはっきりするタイプ。メキシコのプログレという枠の中では、後年の再評価で語られることが多く、国産プログレの出発点のひとつとして見られている。
バンドの位置づけ
このデビュー作は、Iconoclastaにとって単なる初期作ではなく、その後の活動を方向づけた起点として重要。後年の紹介では、メキシコ・プログレの先駆的存在として扱われており、派手な商業的成功よりも、シーンの土台を作った意味が大きい作品として読まれている。スペイン語圏のプログレに目を向けると、同時代のシンフォニックな流れや、ハードロック寄りの推進力を持つバンド群との接点も見えてくるが、Iconoclastaはその中でも比較的ストレートに演奏主体の魅力を押し出している。
収録曲ごとの大きなシングルヒットや代表的な定番曲が広く知られているタイプではないものの、アルバム全体を通して、ギター、キーボード、変化のある展開がバンドの個性として立ち上がる。バックカバーとB面ラベルにレーベルのロゴが入るこの盤は、初期流通物としての性格もはっきりしていて、1983年当時のメキシコで独立レーベルが担っていた役割をそのまま映している。
まとめ
Iconoclastaの『Iconoclasta』は、メキシコのプログレッシブ・ロックがどのように育ち始めたかを示す初期文書のような作品。録音年代、演奏の手触り、レーベルの成り立ちまで含めて、国産プログレの草創期を知るうえで外せない一枚として残っている。派手な話題性よりも、バンドが自分たちの言葉で組み立てた演奏と構成。その積み重ねが、この作品の中心にある。
トラックリスト
- A1 Cuentos De Arquicia
- A2 Dorian
- A3 Manantial
- A4 Memorias De Un Hechicero
- B1 Estudio VI
- B2 Origen Cúspide Y Muerte
- B3 Fuera De Casa