Il Rovescio Della Medaglia - La Bibbia (1989)
Il Rovescio Della Medaglia『La Bibbia』について
Il Rovescio Della Medagliaの『La Bibbia』は、イタリアのプログレッシブ・ロック史を語るうえで早い時期から名前の挙がる作品だ。もともとのオリジナルは1971年にRCAから登場したアルバムで、バンド初期の重いギターを軸にしたハードロック色と、当時のイタリアン・プログレらしい構成感が同居している。1989年盤はその再発にあたり、RCA Italianaのレーベルで出た2nd Pressとして扱われる。
バンドの出発点と作品の位置づけ
Il Rovescio Della Medagliaは1970年末ごろ、ローマで結成されたバンドだ。ビート・バンド「I Lombrichi」の流れを受けつつ、Pino Ballariniの歌と、Enzo Vitaのギター、Stefano Ursoのベース、Gino Campoliのドラムを中心に活動を始めた。のちにキーボードのFranco Di Sabatinoが加わり、音の幅を広げていくが、『La Bibbia』はその前段階にある初期像を伝える一枚といえる。
バンドのディスコグラフィーの中では、デビュー作としての意味が強い。後年の『Io come io』や『Contaminazione』のように、より組曲的・シンフォニックな方向へ進む前の段階で、まずバンドの骨格を示した作品だ。宗教的主題を掲げたコンセプト・アルバムとしても知られ、イタリアン・プログレの初期に見られる大きなテーマ設定がはっきりしている。
サウンドの特徴
実際に耳を通すと、まず前に出てくるのはギターの押し出しだ。プログレというより先にハードロックの強度が立ち、その上に展開のある曲作りが乗る印象がある。録音も一発感のあるまとまりで、スタジオ作品でありながらライブの空気を残した仕上がりだ。演奏の輪郭がはっきりしていて、リズム隊の直進性も強い。
一方で、単純に硬いだけではなく、場面ごとに曲の流れを切り替える構成が見える。イタリアン・プログレの初期作品にしばしばある、ヘヴィなリフと叙情的な展開の往復がこの作品にもあり、同時代のLe OrmeやPremiata Forneria Marconiとは別のベクトルで、より荒い質感を持っている。ジャンルの中では、ハードロック寄りの初期イタリアン・プログレとして位置づけやすい。
1989年盤のポイント
この1989年盤は、RCA Italianaの2nd Pressで、円形のブックレットが付属する仕様だ。オリジナルの1971年盤から時間を置いた再発だが、作品そのものの核は変わらない。70年代初頭のイタリアン・ロックを後追いで聴くうえで、当時の空気を比較的そのまま残した形で触れられる盤として見てよさそうだ。
再発盤としての価値は、単に入手しやすいだけではなく、初期イタリアン・プログレの入口を確認できる点にある。『La Bibbia』は後の大作志向の前にあるため、バンドが最初に何を前面に出していたかが分かりやすい。ギター主体の重さ、コンセプトの明快さ、そして演奏の勢いが、そのまま作品の性格になっている。
同時代の文脈
1971年前後のイタリアでは、プログレッシブ・ロックが独自の発展を始めていた時期で、クラシック寄りの構成美を強めるバンドもいれば、ロックの生々しさを前に出すバンドもいた。Il Rovescio Della Medagliaは後者の性格が強く、この『La Bibbia』では特にその傾向が見えやすい。海外のシーンでいうと、重いギターと長尺構成を持つハードロック/プログレの接点に近いが、イタリア語の歌とコンセプト設定が作品の輪郭をはっきりさせている。
後年、バンドは『Contaminazione』でよりシンフォニックな方向へ進み、評価の軸も広がっていく。その意味で『La Bibbia』は、バンドの出発点としてだけでなく、のちの変化を見通すための基準点でもある。初期衝動がそのまま記録されたアルバム、とまとめられる内容だ。
まとめ
『La Bibbia』は、Il Rovescio Della Medagliaの初期を代表する一枚であり、1970年代イタリアン・ロックの土台にある硬さと構成感を、かなり直接的に示している。1989年盤はその再発として、オリジナルの内容を今に伝える位置づけだ。バンドののちの発展を知っていると、ここで鳴っている音の素朴さと勢いが、かえってはっきり見えてくる作品である。
トラックリスト
- A1 Il Nulla
- A2 La Creazione
- A3 L'Ammonimento
- B1 Sodoma E Gomorra
- B2 Il Giudizio
- B3 Il Diluvio