Il Tempio Delle Clessidre - AlieNatura (2013)
Il Tempio Delle Clessidre『alieNatura』
イタリア・ジェノヴァ出身のプログレッシブ・ロック・バンド、Il Tempio Delle Clessidreが2013年に発表した2作目が『alieNatura』。Black Widow Recordsからのリリースで、同レーベルらしいダークな色合いと、70年代イタリアン・プログレの文脈を引き継ぐ作りがまず目に入る作品だ。盤はブルー・ヴァイナルのゲートフォールド仕様で、インサート、バンドロゴ入りスリップマット、フォトカード、コットンバッグまで付属する限定100枚。物としての完成度もかなり高い。
バンドの成り立ちと本作の位置づけ
Il Tempio Delle Clessidreは2006年ごろ、Elisa MontaldoとMuseo Rosenbachの元ヴォーカル、Stefano “Lupo” Galifiの出会いから始まったバンドとして知られる。デビュー作で注目を集め、その後の2作目にあたるのが『alieNatura』だ。今回はヴォーカルがFrancesco Ciapicaに交代しており、ここが作品の印象を決める大きな要素になっている。中心となるのはMontaldoとFabio Gremoで、楽曲はこの2人を核にして組み立てられ、そこへ各演奏者のアイデアや即興が加わる形で仕上げられたとされる。
2013年当時の受け止められ方も強く、ProgArchivesの2013年作ランキングでは上位に入り、評価点も高い。単なる昔風の再現に留まらず、その年の有力なイタリアン・プログレ作品として扱われていた点が重要だ。
音の芯にあるもの
実際に耳を通すと、まず鍵盤の存在感がはっきりしている。Elisa Montaldoのキーボードは、旋律を前に押し出す場面もあれば、和声の厚みを作る役割にも回る。そこにギター、ベース、ドラムが重なり、曲の中で緩急をつけながら進む構成。重さだけで押し切るのではなく、叙情的な旋律をきちんと置いていくところがこのバンドの持ち味として出ている。
ヴォーカルは、前作からの変化を意識せずに聴くことは難しいが、『alieNatura』ではCiapicaの歌が楽曲の輪郭をはっきりさせている。英語詞でありながら、イタリアン・プログレ特有のメロディの運びが前面に出るタイプで、Museo RosenbachやBanco del Mutuo Soccorso、PFMといった70年代の系譜を思わせる瞬間がある。一方で、音像は現代的に整えられていて、古典回帰だけで終わらない作りになっている。
作品の流れと聴きどころ
『alieNatura』は、曲ごとの起伏をつないでアルバム全体を聴かせるタイプの作品だ。細かなリフや鍵盤フレーズが繰り返し現れ、そのたびに表情を変えていく。大げさな転調や技巧の見せ場よりも、テーマの提示と回収、静と動の切り替え、歌と演奏の噛み合いで引っ張る場面が多い。収録曲の中では、長めの展開を持つ曲でこのバンドらしさがより見えやすく、鍵盤主導のパートからバンド全体で畳みかける流れが印象に残る。
この作品については、デビュー作よりもやや厳しめに見る声もある。ただ、2013年のイタリアン・プログレという文脈では、重厚さ、叙情性、鍵盤の押し出しを備えた好盤として受け止められていたことは確かだ。懐古趣味だけではない、現代の録音で70年代の感触を更新しようとする姿勢が、そのままアルバムの芯になっている。
Black Widow Recordsとの相性
リリース元のBlack Widow Recordsは、ダーク・プログレやメタル寄りの作品を多く抱えるイタリアの独立レーベル。Il Tempio Delle Clessidreの音楽が持つ陰影やドラマ性は、このレーベルのカラーとよく噛み合っている。ジャケット、ブルー・ヴァイナル、付属物まで含めたパッケージも、作品の世界観を補強する役割を果たしている。
まとめ
『alieNatura』は、ジェノヴァ発のイタリアン・プログレが2013年時点でどこまで深く作り込まれていたかを示す一枚だ。70年代イタリアン・ロックの系譜、キーボードを軸にした構成、歌と演奏の密度、そのあたりがきちんと揃っている。デビュー作からの変化も含めて、バンドの2作目としての輪郭がはっきりした作品として記憶されている。
トラックリスト
- A1 Kaze (Ciò Che Il Vento Porta Con Se) 4:15
- A2 Senza Colori 8:30
- A3 Il Passo 9:25
- A4 Fino Alla Vetta 7:42
- B1 Onirica Possessione 9:08
- B2 Notturna 2:40
- Il Cacciatore 14:50