James Brown - Get On The Good Foot (1972)
James Brown 1972

James Brown - Get On The Good Foot (1972)

Funk / Soul Funk Soul

James Brown『Get On The Good Foot』(1972)

James Brownが1972年にPolydorから発表した2枚組アルバム『Get On The Good Foot』は、同年のJBサウンドをそのまま封じ込めたような作品だ。ファンクの切れ味、バンドの一体感、そしてブラウン自身の強いリーダーシップが前面に出ていて、70年代前半の彼の充実ぶりを確認できる内容になっている。録音は1969年から1972年にかけて複数のスタジオで行われ、時期の異なるセッションをまとめた構成。タイトル曲のヒットを軸にしながら、既発曲や長めの演奏、語りを交えたトラックまで含む、当時のJames Brownらしい編集感のあるアルバムである。

アルバムの位置づけ

James Brownは1960年代半ばに「Papa's Got a Brand New Bag」でソウルの流れを大きく変え、その後も「Cold Sweat」や「I Got You (I Feel Good)」などで存在感を更新してきた。1971年にPolydorへ移籍したあとの初期作品群のひとつが本作で、70年代のブラウンを語るうえで外せない一枚だ。1974年の『The Payback』ほど作品全体の統一感は強くないが、シングルの強さとアルバムの物量を両立させた時期の空気がよく出ている。

この時代のJames Brownは、単独の歌手というより、JB’sを含むバンド全体を鳴らすプロデューサー的な立場でも動いていた。本作でも、細かく刻むギター、うねるベース、短いフレーズを積み重ねるホーン隊が、曲の中心を作っている。ファンクの骨格を明確に示した作りで、後年のヒップホップやダンスミュージックに引用される“間”や“反復”の感覚もここに見える。

収録曲と聴きどころ

中心になるのはもちろん「Get on the Good Foot」。1972年5月にシングルとして出た楽曲で、全米R&Bチャート1位、ポップチャートでも18位を記録した。2部構成のシングルとして出た点も当時らしく、踊るための機能を強く意識した作りになっている。James Brown、Fred Wesley、Joseph Mimsの共作で、The J.B.'sの演奏が土台。リズムの押し出しがはっきりしていて、タイトルどおり足運びを促すような推進力がある。

アルバムにはこの曲のほか、「The Whole World Needs Liberation」「Cold Sweat」「I Got a Bag of My Own」「Please, Please」「Funky Side of Town」「Dirty Harri」などが並ぶ。既に知られた曲を含めつつ、時期の違うセッションをつないでいく構成なので、1枚の“新作”というより、1972年前後のJames Brownの仕事を見渡す記録のような性格がある。「Cold Sweat」のような過去の代表曲が入ることで、60年代後半から70年代初頭への流れもつかみやすい。

また、Hank Ballardによるレシテーションが入っている点も特徴的だ。歌だけで押し切るのではなく、語りや掛け声を織り込みながら展開を作るのは、ブラウン周辺の作品によくある手法で、このアルバムでもその感覚が生きている。アレンジにはDavid MatthewsやSammy Loweの名も見える。

音の印象

実際に聴くと、まず目立つのはドラムとベースの前のめりなノリだ。音数は多いのに、各パートの役割はかなり整理されていて、むやみに埋めないところが強い。James Brownのボーカルは、メロディをなぞるよりも、リズムを刻む発声として機能している場面が多い。そこにブラスが短く刺さり、ギターが細かく刻み続けることで、曲全体が前へ進む。

2枚組というボリュームのため、曲ごとの温度差もあるが、長尺のファンク、シングル向けの凝縮した曲、語りを含む曲が並ぶことで、70年代のブラウン・バンドの幅が見えやすい。盤としてはゲートフォールド仕様で、US盤のPolydor PD-2-3004。ラベルにはPD-2-3004の表記があり、インナーやバックにはPD2-3004と記されている。オリジナル1972年盤の存在感をそのまま残した、当時の2枚組LPらしい作りだ。

チャートと評価

本作はBillboardのTop LP'sに1972年12月9日付で初登場し、最高68位、チャート在位は17週。大ヒット作というより、シングルの強さとアルバムの存在感を両立させた作品として受け止められてきた。タイトル曲は単独でも非常に強いが、アルバム全体では時期の異なる録音を束ねたこともあって、統一感よりも記録性が前に出る。

James Brownの作品群の中では、60年代の革新と、70年代前半のファンクの深化をつなぐ位置にある一枚だ。後のPファンク勢やヒップホップのサンプリング文化にまでつながる、リズム中心の設計思想が、ここでもはっきり確認できる。

まとめ

『Get On The Good Foot』は、James BrownがPolydor期に入ってからの勢いをそのまま示す2枚組LPだ。表題曲のヒット性、既発曲を含む構成、そしてJB’sを軸にしたファンクの推進力がまとまっていて、1972年のブラウンを知るうえで重要な一作になっている。派手な装飾よりも、リズム、ブラス、掛け声、反復で押し切る作り。そこにJames Brownの仕事の核が見える。

トラックリスト

  1. A1 Get On The Good Foot (Parts 1 & 2) 5:46
  2. A2 The Whole World Needs Liberation 3:52
  3. A3 Your Love Was Good For Me 3:20
  4. A4 Cold Sweat 2:55
  5. B1 Recitation By Hank Ballard 5:55
  6. B2 I Got A Bag Of My Own 3:46
  7. B3 Nothing Beats A Try But Fail 3:15
  8. B4 Lost Someone 3:55
  9. C1 Funky Side Of Town 7:51
  10. C2 Please, Please 12:15
  11. D1 Ain't It A Groove 2:13
  12. D2 My Part / Make It Funky (Parts 3 & 4) 5:24
  13. D3 Dirty Harri 6:12

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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