Jeff Wayne - Jeff Wayne's Musical Version Of The War Of The Worlds (1978)
Jeff Wayne 1978

Jeff Wayne - Jeff Wayne's Musical Version Of The War Of The Worlds (1978)

Rock Prog Rock

Jeff Wayne / Jeff Wayne's Musical Version Of The War Of The Worlds

Jeff Wayneの名前を広く知らしめた作品が、この1978年作 Jeff Wayne's Musical Version Of The War Of The Worlds だ。H.G.ウェルズの小説『宇宙戦争』を原作にした2枚組のコンセプト・アルバムで、Jeff Wayne自身が作曲、編曲、指揮、プロデュースまで担っている。ロック・アルバムでありながら、演劇的な語りと大編成の音作りが前面に出た作品で、プログレッシブ・ロックの文脈で語られることが多い。

このUS盤はColumbiaからの1978年リリース。ゲートフォールド仕様に16ページのブックレットが付属し、各曲の細かな長さではなく、各面の合計時間だけがレーベルに記載されている。制作クレジットを見るだけでも、当時の大規模な企画盤だったことが伝わる。Advision Studiosでの録音、Tape Oneでのマスタリング、そして48トラック・プロダクションという表記が残る。

作品の成り立ち

Jeff Wayneは、David Essexのツアーに帯同していた時期に自分の作曲活動が停滞している感覚を持ち、父親から『宇宙戦争』を勧められて読み切ったことが、この企画の出発点になった。1975年1月には翻案権を取得し、脚本は妻のDoreen Wayne、歌詞はGary OsborneとPaul Vigrassが担当している。録音は1976年5月から1977年にかけて進められ、ロンドンのAdvision Studiosに加え、弦楽はAbbey Road Studios、さらにサンフランシスコのWally Heider Studiosも使われた。

ナレーションを担うRichard Burtonの起用も有名なエピソードだ。ニューヨークで舞台『エクウス』に出演中だったBurtonの楽屋口へ、Wayneが台本と手紙を直接届けたことがきっかけとされる。5日間の録音予定だったものの、実際には1日でほぼ全てのナレーションを録り終えたという話が残る。こうした制作背景だけでも、普通のロック・アルバムとはかなり違う。

聴きどころと代表曲

この作品でまず目立つのは、曲のつなぎ方と物語の運びだ。単独のヒット曲として知られるのは、B2の「Forever Autumn」になる。もともとは1972年に書かれた曲で、このアルバムではJulie Covingtonの歌唱によって収められている。作品中では、侵略の恐怖が広がる中で挿入される静かな場面として機能していて、全体の中でも輪郭がはっきりしている。

歌唱陣はかなり豪華で、David Essex、Justin Hayward(The Moody Blues)、Phil Lynott(Thin Lizzy)、Chris Thompson(Manfred Mann's Earth Band)、Julie Covingtonが参加している。ロック歌手たちの個性がそのままキャラクターに割り当てられていて、ナレーションと歌が交互に進む構成。実際に聴くと、派手なギターやシンセだけで押し切る作品ではなく、台詞、効果音、オーケストラ的な展開が細かく組まれているのが分かる。

1978年という位置づけ

1978年当時のロックには、長尺曲やコンセプト・アルバムを重視する流れがまだ残っていたが、この作品はその中でもかなり大掛かりな部類に入る。YesやPink Floyd、Genesisのようなプログレ勢が築いた文脈と近い場所にありつつ、ミュージカルやラジオドラマの要素も強い。Jeff Wayne自身にとっても、単なるソングライターではなく、構想から演出まで統括する作家としての立場を明確にした作品になっている。

発売後はイギリスで大きな成功を収め、全英アルバムチャートでは最高5位、トップ10に20週、トップ100には長く留まった。世界で約1500万枚、英国だけでも270万枚以上を売り上げたとされ、11カ国で1位を記録している。Ivor Novello賞も2度受賞しており、後年の舞台化や2012年の『The New Generation』版へとつながる、長期展開の出発点になった。

このUS盤について

ColumbiaのUS盤は、1978年当時のCBS/Columbiaの流通で出たオリジナル期の一枚。レーベルには「Manufactured by Columbia Records / CBS Inc.」の表記があり、アメリカ盤としての仕様がはっきりしている。2枚組の大作であること、そしてブックレット付きのゲートフォールド仕様であることからも、単なるLPというより、作品全体を読むためのパッケージとして作られている印象が強い。

Jeff Wayneのキャリアの中では、もっとも広く知られた代表作であり、同時に彼の名を“作曲家・プロデューサー”として印象づけた一枚でもある。原作小説の筋を追いながら、1970年代後半のロック・プロダクションの水準をそのまま持ち込んだような内容で、アルバム単位で物語を聴かせる作品の中でも存在感は大きい。

トラックリスト

  1. The Coming Of The Martians 20:52
  2. A1 The Eve Of The War
  3. A2 Horsell Common And The Heat Ray
  4. The Coming Of The Martians 24:29
  5. B1 The Artilleryman And The Fighting Machine
  6. B2 Forever Autumn
  7. B3 Thunder Child
  8. The Earth Under The Martians 25:16
  9. C1 The Red Weed (Part 1)
  10. C2 The Spirit Of Man
  11. C3 The Red Weed (Part 2)
  12. The Earth Under The Martians 24:45
  13. D1 Brave New World
  14. D2 Dead London
  15. D3 Epilogue

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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