Yes - Close To The Edge = 危機 (1972)
Yes 1972

Yes - Close To The Edge = 危機 (1972)

Rock Prog Rock

Yes『Close To The Edge = 危機』(1972年、日本盤)

Yesの5作目となる『Close To The Edge』は、1972年のプログレッシブ・ロックを語るうえで外せない一枚だ。邦題は『危機』。収録は全3曲のみで、表題曲「Close To The Edge」を中心に、「And You and I」「Siberian Khatru」が並ぶ構成になっている。曲数は少ないが、1曲ごとの尺が長く、組曲的な展開と細かなパートの切り替えでアルバム全体を組み立てているのが特徴だ。

Yesは、長大な楽曲、緻密な演奏、神秘性のある歌詞、そしてアルバム全体を一つの作品としてまとめる感覚で知られるバンドだが、この作品ではその持ち味がかなり明確に出ている。前作『Fragile』の成功を受けて制作され、バンドが当時どこまで構築的なロックを追求できるかを示した作品として位置づけられている。

作品の内容と聴きどころ

表題曲「Close To The Edge」は、アルバムの核となる長編曲だ。パートがめまぐるしく移り変わり、静と動の切り替え、オルガンやギターの絡み、ベースとドラムの細かな推進力が一体になって進む。演奏の精密さが前面に出る一方で、単なる技巧の羅列にはならず、曲の流れそのものが大きなうねりとして感じられるのがこの曲の強さだ。

「And You and I」は、アルバム中でも比較的親しみやすい輪郭を持つ曲として知られている。メロディの流れが明確で、アコースティックな質感とバンド全体の広がりが交互に現れる。シングルにもなった代表曲で、Yesの中でも長く語られる一曲だ。

「Siberian Khatru」は、アルバムを締めくくるにふさわしい緊張感のある楽曲だ。リズムの切れ味が強く、各パートの役割がはっきりしている。3曲だけでありながら、アルバム全体としての密度は非常に高い。

Yesにとっての位置づけ

この作品は、Yesの初期代表作の中でも特に重要な位置にある。前作までで築いてきた演奏力と構成力が、この時点でかなり完成度高くまとまっているからだ。のちのYesを思わせる壮大さや、複雑な展開を持つ楽曲作りが、この時期にひとつの到達点へ近づいた印象がある。

また、Bill Brufordがこの作品を最後にバンドを離れたことでも知られている。Yesの編成史の中でも節目にあたるアルバムであり、ここから先の変化を考えるうえでも重要な一枚だ。

同時代の文脈

1972年は、イギリスのプログレッシブ・ロックが大きく発展していた時期だ。King Crimson、Genesis、Emerson, Lake & Palmerなどと並んで、Yesはその中心的存在として見られていた。中でも『Close To The Edge』は、複雑な構成と演奏の精度を高い水準で両立させた作品として、同時代の中でも際立つ。

当時の評価も高く、米英ともにチャート上位に入った。商業的にも成功しており、プログレ作品としてはかなり広い支持を得た部類に入る。後年のロック作品集や名盤選でもよく挙げられるのは、この時点で楽曲の完成度とアルバムとしての統一感が強かったためだろう。

日本盤について

この日本盤はAtlanticの配給盤として出ており、表記上は邦題『危機』が付いている。1972年当時の国内盤らしく、オリジナルの英語タイトルと邦題が併記される形だ。日本でYesが受け入れられていく過程を示す一枚でもあり、当時の洋楽ロックの輸入・紹介の流れの中で重要な存在になっている。

ジャケットやレーベルの雰囲気も、70年代初頭のAtlantic盤らしい時代感がある。オリジナル期の作品として扱われるこの盤は、のちの再発盤よりも、当時の空気をそのまま持っているところに価値がある。

まとめ

『Close To The Edge = 危機』は、Yesが初期に到達したひとつの頂点として見られる作品だ。長尺曲中心の構成、緻密な演奏、アルバム全体を通した設計、そして「And You and I」のような代表曲まで揃っていて、1972年のプログレッシブ・ロックを象徴する内容になっている。聴き進めるほどに曲の構造が見えてくるタイプのアルバムで、Yesというバンドの輪郭を掴むうえでも重要な記録だ。

トラックリスト

  1. Close To The Edge 18:12
  2. And You And I 10:40
  3. B2 Siberian Khatru 9:50

動画

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