Jethro Tull - Stand Up (1969)
Jethro Tull 1969

Jethro Tull - Stand Up (1969)

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Jethro Tull『Stand Up』(1969)について

Jethro Tullの『Stand Up』は、1969年にUKのIsland Recordsから出た2作目のスタジオ・アルバムだ。前作『This Was』で示したブルース・ロック寄りの骨格を残しつつ、この作品ではバンド独自の色がかなりはっきり見えてくる。Ian Andersonのフルートと歌、そして曲ごとの構成の組み立て方が前面に出ていて、単なるブルース・バンドという枠から少し離れた位置に立っている作品として受け取られている。

Jethro Tullは1967年にブラックプールで結成されたイギリスのロック・グループで、当時の英国ロックの中でも、フォークやクラシックの要素を取り込む方向へ早くから進んだバンドのひとつだ。『Stand Up』は、その流れが明確に見え始める時期のアルバムで、後のフォーク・ロック、プログレッシブ・ロック方面の評価につながる入口のような位置づけにある。

作品の中身と聴きどころ

このアルバムでまず目立つのは、Ian Andersonの歌とフルートだ。ギター中心のロック・バンドに比べると、音の重心が少し違う。フルートが単なる飾りではなく、リフや旋律の主役として機能していて、曲の輪郭をはっきりさせている。ブルース由来の勢いを持ちながらも、メロディの運びや展開にひと工夫あるため、同時代のハードな英国ロックとは少し違う感触になる。

特に知られているのが「Bourée」だ。これはJ.S.バッハの「ブーレ」をロック化したもので、クラシックの素材をバンド演奏に落とし込む手つきがよくわかる一曲だ。こうした発想は、のちのプログレッシブ・ロックで珍しくなくなるが、1969年の時点ではかなり目立つやり方だったはずだ。Jethro Tullが初期から単純なブルース・バンドに収まらなかったことを示す代表例でもある。

曲の並び全体を見ると、勢いだけで押すのではなく、リズムの切り替えや編曲の変化で聴かせる場面が多い。演奏の密度は高いが、音を詰め込みすぎず、各楽器の役割が見えやすいのも特徴だ。実際に聴くと、フルート、アコースティック寄りの響き、エレキの間合いが交互に出てきて、アルバム全体に起伏を作っているのがわかる。

制作とジャケット

録音はロンドンのMorgan Studiosで行われたとされ、Ian Andersonは後年、このスタジオの8トラック環境が制作の自由度を広げたと語っている。1969年当時としては、録音の自由度が作品の完成度に直結しやすい時代だった。『Stand Up』では、その条件が編曲の工夫や音の重ね方に結びついている印象がある。

ジャケットも印象的だ。オリジナルUK盤はマット仕上げのゲートフォールド・スリーブで、飛び出すしかけのあるデザインになっている。カバーの発想はTerry EllisとJohn Williamsによるもので、ニューヨークのグラフィック・アーティスト、Jimmy Grashowの木版画をもとに作られたという。音だけでなく、見た目の段階から「普通のロック盤とは違う」という印象を与える作りだ。

UK初回盤のIslandラベルは、オレンジのボウルズアイにピンク地のデザインで、コレクターの間でも知られている。今回のILPS 9103はその初期仕様にあたり、スリーブやラベル表記の違いでいくつかのバリエーションがある。1969年のオリジナル盤らしい、当時のIslandらしさが強く出た仕様だ。

当時の位置づけと反応

『Stand Up』は、Jethro Tullにとって最初の大きな転機になったアルバムとして扱われることが多い。商業面でも成功していて、英国ではチャート1位を記録し、国際的にもバンド名を広く知らしめた。前作で注目を集めた段階から一歩進み、バンドの個性がはっきり伝わる作品として受け止められたわけだ。

同時代の英国ロックと比べると、Jethro TullはLed Zeppelinのようなリフ主体のハードさとも、King Crimsonのような急進的な実験とも少し違う。ブルースを土台にしながら、フォークやクラシックの要素を自然に混ぜていく作法がこのアルバムでも見えている。のちのフォーク・ロックやプログレッシブ・ロックの文脈で語られるのも、そのためだろう。

まとめ

『Stand Up』は、Jethro Tullが「ブルース・ロックの新しい形」を探っていた時期の到達点のひとつだ。フルートを軸にした編成、バッハ曲の引用、曲ごとの展開、そして飛び出すジャケットまで含めて、1969年の英国ロックの中でかなり識別しやすい作品になっている。初期Tullの輪郭をつかむうえで、重要なアルバムとして位置づけられる1枚だ。

トラックリスト

  1. A1 A New Day Yesterday
  2. A2 Jeffrey Goes To Leicester Square
  3. A3 Bourée
  4. A4 Back To The Family
  5. A5 Look Into The Sun
  6. B1 Nothing Is Easy
  7. B2 Fat Man
  8. B3 We Used To Know
  9. B4 Reasons For Waiting
  10. B5 For A Thousand Mothers

動画プレイリスト

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