Kano - Another Life (1983)
Kano 1983

Kano - Another Life (1983)

Electronic Italo-Disco

Kano『Another Life』(1983)について

イタリアのディスコ/イタロ・ディスコ・プロジェクト、Kanoが1983年に発表したアルバム『Another Life』。Full Time Recordsから出た3作目で、同名タイトル曲を中心に知られる作品だ。Kanoは、ステファノ・プルガ、ルチアーノ・ニンザッティ、マッテオ・ボンサントら制作陣を軸にしたユニットで、初期80年代のイタロ・ディスコを語るうえで外せない存在として扱われている。本作もその流れの中にあり、ダンスフロア向けの設計がはっきりした一枚になっている。

アルバムの位置づけ

Kanoは1980年の「I’m Ready」、同じく1980年の「It’s A War」、1981年の「Another Life」以前の流れで、シンセサイザー主体のダンス・ミュージックを前面に出してきたプロジェクトだと整理されることが多い。『Another Life』はその初期3部作の最後を飾る作品で、タイトル曲の存在感によって今でも最もよく参照されるアルバムのひとつになっている。商業的には巨大なポップヒットというより、クラブ文化の中で長く残っていったタイプの作品として見られている。

タイトル曲「Another Life」

このアルバムでまず触れられるのは、やはりタイトル曲「Another Life」だ。リリース当時からシングルとして流通し、スイスでは1983年8月14日付のシングルチャートで8位を記録している。曲はKanoの代表曲として後年まで繰り返し取り上げられ、イタロ・ディスコの定番として扱われることが多い。実際に聴くと、ビートの押し出しが明確で、シンセの反復とボーカルの入り方が曲の推進力を作っている。派手な展開で押すというより、同じモチーフを積み重ねていく作りで、夜のフロア向きの粘りがある。

Kanoらしさが出る制作感

Kanoは単独のバンドというより、プロデューサー、ソングライター、演奏者が集まったプロジェクトとして理解されている。本作もその性格がはっきりしていて、演奏の粒立ちや音の配置に職人的なまとまりがある。クレジット上でも、ステファノ・プルガ、ルチアーノ・ニンザッティ、マッテオ・ボンサント、グレン・ホワイトといった名前が並び、イタリアのダンス・ミュージック制作の現場感が見える。歌ものとしての分かりやすさと、シンセ主導の機械的な推進力が同居しているところが、この時期のKanoらしいところだ。

イタロ・ディスコの文脈で見ると

1983年という年は、イタロ・ディスコが独自のかたちを強めていった時期でもある。Kanoはその中で、後のエレクトロやブレイクダンス寄りの感覚へつながる橋渡し役として語られることがある。メロディアスで、シンセサイザー志向のダンス音楽を押し出した点では、同時代のイタリア産ダンス作品の中でもかなり輪郭がはっきりしている。欧米のクラブ向け音源を意識したFull Time Recordsの路線とも合致していて、国際市場を見据えたサウンドの作りがうかがえる。

レーベルとリリースの印象

リリース元のFull Time Recordsは、イタリアのダンス・ミュージック・レーベルの中でも重要な位置を占めるレーベルとして知られている。Kanoはそのレーベルを代表するアーティストのひとつで、Tom HookerやGeorge Aaronなどと並んで名前が挙がることも多い。『Another Life』は1983年のオリジナル盤として出た作品で、当時のイタリア産ディスコの空気をそのまま封じ込めたような存在だ。ジャケットや盤面の情報も含めて、80年代前半のクラブ・レコードらしい実用性の強い仕上がりになっている。

まとめ

Kano『Another Life』は、イタロ・ディスコの初期を代表するプロジェクトが、タイトル曲を軸に完成度を高めた3作目のアルバムだ。派手な逸話で押す作品ではないが、制作陣の手つき、シンセ主体の編成、ダンスフロアへの接続の強さといった要素が、作品全体にきれいにまとまっている。特に「Another Life」は、この時代のイタリア産ダンス・ミュージックを象徴する一曲として、今も参照され続けている。

トラックリスト

  1. A1 I Need Love 6:12
  2. A2 Mad In Love 6:13
  3. A3 Dance School 6:01
  4. B1 Another Life 7:14
  5. B2 Ikeya-Seki 5:58
  6. B3 China Star 5:45

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