Kasso - Kasso (1981)
Kasso 1981

Kasso - Kasso (1981)

Electronic Italo-Disco

Kasso『Kasso』(1981)について

Kassoの『Kasso』は、1981年にイタリアでリリースされた作品で、初期イタロ・ディスコの流れを知るうえで重要な一枚として語られることが多い。名義こそKassoだが、制作の中心にはGiancarlo MeoとClaudio Simonettiがいる。とくにSimonettiはGoblinの鍵盤奏者として知られ、映画音楽の仕事でも実績を持つ人物で、この背景が本作の音作りにもはっきり出ている。単純なディスコの延長ではなく、シンセの置き方やリズムの組み方に、イタリア産のダンス・ミュージックらしい整理された感触がある。

本作が出た1981年は、北米のディスコやポスト・ディスコの語法がまだ強く残りつつ、ヨーロッパ側で独自のダンス・ミュージックへ形が変わっていく時期だった。『Kasso』はその境目にある作品として見られていて、後年のイタロ・ディスコを先取りするような要素が確認できる。4つ打ちを軸にした推進力、ファンキーなベース、シンセ・トムの使い方など、土台はディスコ寄りだが、音の輪郭はより機械的で、整理された印象に寄っている。

制作陣と作品の位置づけ

この作品の鍵になるのは、やはりClaudio Simonettiの存在だろう。Goblinでの活動を通じて培われた鍵盤の感覚や、映画音楽での経験が、ダンス・トラックにも独特の色を与えている。派手に崩すというより、音の配置をきっちり組み立てていくタイプで、その結果として、同時代のディスコ作品の中でも少し硬質な手触りが残る。

アーティストとしてのKassoは、単独の長い活動史よりも、1981年前後のイタリアのダンス・ミュージックの転換点を示す存在として見るほうがわかりやすい。フランス市場での反応が大きかったことも知られていて、Simonettiの略歴でも1981年に「KASSO」と「WALKMAN」でフランスへ進出し、ゴールドに達したとされている。作品単体というより、当時のヨーロッパ圏でどのように受け止められたかまで含めて記憶されている盤だ。

収録曲の印象

代表曲としてよく挙がるのは「Walkman」や「One More Round」。とくに「Walkman」は、ベースラインの押し出しが強く、曲の推進力をそのまま作っている。実際に聴くと、リズムの骨組みが先に立ち、その上にシンセが少しずつ色を足していく構成が見えやすい。派手な展開を連発するタイプではないが、同じフレーズを繰り返しながら、細部の音色で持っていく作りが目立つ。

「Key West / Walkman」や「Brazilian Dancer」は、Billboardのダンス系クラブ・サーベイにも登場しており、米国のクラブ圏にも流通していたことが確認できる。大きな全米ヒットとして語られる作品ではないものの、クラブ向けの現場では一定の反応があったわけで、その点も本作の性格をよく示している。アルバム全体としては、曲ごとの派手さより、複数のトラックを通して初期80年代のダンス・サウンドを追う楽しさがある。

イタロ・ディスコとの関係

『Kasso』は、のちに広く定着するイタロ・ディスコの完成形ではない。ただ、その手前の段階としてはかなり重要だ。北米ディスコの文法を引き継ぎつつ、ヨーロッパ側でシンセの質感やアレンジを整えていく流れが、この盤でははっきり見える。レビューでも、ファンキーなイタロ・ディスコの好例として扱われることがあり、特に冒頭曲のベースラインが印象に残るとされている。

また、当時のフランスでの人気が後押ししたことも、この作品の歴史を語るうえで外せない。商業的な大爆発というより、地域ごとのクラブ文化やダンス・リスナーの支持によって評価が積み上がったタイプの盤で、その後の再評価にもつながっている。イタリア産ダンス・ミュージックが、単なるディスコの模倣ではなく、独自の電子的な感触へ寄っていく途中の記録として、今も参照される理由はそこにある。

ジャケットと盤の情報

このイタリア盤はF1 Teamからのリリースで、カバー“A”のデザイナーとしてClaude GorialとPilar Caraballoのクレジットがある。レーベルのF1 Teamは、Panarecord配給のイタリアのレーベルで、1970年代後半から1980年代初頭にかけて活動していた。ライセンス盤も多く、必ずしも純粋なイタロ・ディスコだけを並べたレーベルではないが、その時期のイタリアのダンス音楽流通を知る手がかりにはなる。

『Kasso』は、派手な名盤紹介というより、初期イタロ・ディスコの輪郭をつかむための実例として見ておきたい作品だ。Giancarlo MeoとClaudio Simonettiという制作陣、フランスでの受容、クラブ圏での流通、そして北米ディスコからイタロ・ディスコへの移行感。そのあたりが重なって、この一枚の位置が見えてくる。

トラックリスト

  1. A1 Walkman
  2. A2 One More Round
  3. A3 On The Sea
  4. A4 Kasso
  5. B1 Brazilian Dancer
  6. B2 Hot Night
  7. B3 Key West
  8. B4 I Wanna Know

動画

Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "Italo-Disco"

toast