Jeremiah - Jeremiah (1971)
Jeremiah / Jeremiah(1971年・日本盤)
Jeremiahの唯一作として知られる『Jeremiah』は、1971年に登場したロック作品で、日本盤も同年にリリースされている。クレジット上のメンバーはDenny Seiwell、Pat Walters、David Brown、Karl Jarviの4名。盤面や帯の派手さで語られるタイプのレコードではないが、当時の業界紙では「きちんとしたプロモーションがあれば広く伸びる可能性がある」ロック・バンドとして見られていた。実際、Record Worldのレビューでも、各曲にトップ40の感触がある、まとまりのあるロックンロール・バンドとして評価されている。
作品の輪郭
このアルバムは、単にサイケデリック寄りのマイナー盤というより、メロディを前に出したロック作品としてまとまっている。収録曲の作りには、ラジオ向けの分かりやすさと、アルバム単位で聴いたときの流れの両方が意識されている印象がある。派手な技巧を並べるより、曲の入口を整えて、サビまでの距離を短く取る構成が目立つ。70年代初頭のアメリカン・ロックの中でも、グループ感を保ちながらポップな輪郭を残したタイプで、同時代のバンドでいえば、あまり過剰にサイケへ寄らない一群の流れに置きやすい。
日本盤のジャケット裏にはノートと歌詞が印刷されており、曲の意味を追いながら聴ける作りになっている。こうした仕様は、当時の輸入盤や国内盤の中でも、作品全体をじっくり聴かせる意図が見える部分だ。
当時の評価と位置づけ
1971年の時点で本作はUni系の流れで流通しており、Billboardでも取り上げられている。批評面では好意的で、少なくとも「埋もれた粗悪盤」という扱いではない。むしろ、楽曲の入口がしっかりしていて、トップ40の感触を持つバンドとして受け止められていたことが重要だ。チャート面で大きな成功は確認できず、広く知られた代表作にもなっていないが、そのぶん当時の商業的な波に乗り切れなかった良作として扱われやすい。
David Brownを中心に制作されたという後年の整理もあり、この作品が一発限りの偶然ではなく、ソングライター主導のプロジェクトだったことがうかがえる。翌1972年には続編的な録音もあったとされ、少なくともこの時期のJeremiahには、単発のセッション・バンド以上の動きがあった。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲の立ち上がりが早く、リフやコード進行を引っ張る箇所に無駄が少ない。ギターは前に出るが、音数で押すよりも、歌を支える配置になっている。ポップ・ロックとしての分かりやすさがありながら、70年代初頭らしい少し荒れた質感も残る。サイケデリック・ロックの要素は、色彩感や曲展開の端々に見える程度で、全面に出るわけではない。むしろ、メロディの輪郭を保ったまま、時代の空気を取り込んだ盤として聴こえる。
この手の作品は、後年の再評価で語られることが多いが、『Jeremiah』もその流れに近い。大きなヒット曲で引っぱるアルバムではない一方、曲ごとの作りが丁寧で、アルバム全体の印象が崩れにくい。派手な逸話より、きちんと作られたロック盤として記憶されるタイプだ。
日本盤としての意味
1971年の日本盤は、オリジナルと同年のリリース。MCA Recordsの早い時期の流通に属する盤で、レーベル表記にも当時の移行期らしさがある。MCAはもともとDecca系の流れを引き継いだ国際レーベルで、この時期はアメリカ本国でもブランドの整理が進んでいた。そうした背景の中で出た『Jeremiah』は、巨大レーベルの中に埋もれがちな一枚でもあるが、実際にはメロディ志向のロック作品として筋の通った内容を持っている。
派手な代表曲が広く知られているわけではないが、1971年のロックが持っていた、ラジオ向けの明快さとアルバム志向の両立をそのまま映したような作品。大きく語られないまま残った、そういう位置のレコードである。
トラックリスト
- A1 Somewhere Someone 3:24
- A2 Hey Now Baby 3:40
- A3 Patience 3:20
- A4 Sweet Rebecca 3:48
- A5 Hey Baby Don't You Cry 2:13
- B1 I Saw Your Picture In The Paper 3:04
- B2 The Lady Lives With Me 2:34
- B3 David Blue 2:44
- B4 Roll It Over 2:49
- B5 Lady Ellen 2:08
- B6 So Many Ways 3:01