Kings Of Convenience - Peace Or Love (2021)
Kings Of Convenience 2021

Kings Of Convenience - Peace Or Love (2021)

Pop Folk, World, & Country Indie Pop Folk

Kings Of Convenience『Peace Or Love』について

ノルウェー・ベルゲン出身のデュオ、Kings Of Convenienceによる4作目のスタジオ・アルバムが『Peace Or Love』である。Erlend ØyeとEirik Glambek Bøeの2人が作曲と歌を分担し、細い線で組み上げたアコースティック・ギターと、近い音域で重なる歌声を軸にしてきたグループだ。本作は2009年の『Declaration of Dependence』以来、約12年ぶりの新作として2021年に登場した。長い空白のあとに戻ってきた作品という点でも、彼らのディスコグラフィの中では大きな位置づけになる。

静かな編成のまま、時間をかけて整えた新作

『Peace Or Love』でまず目立つのは、Kings Of Convenienceらしい小さな音の配置である。ギター、歌、必要最小限のリズムが前に出て、音数を増やして押し切る場面は少ない。実際に聴くと、各曲は派手な展開よりも、コードの置き方や2人の声の重なりで輪郭を作っていく。特に歌声の近さが印象に残る。リードとハーモニーの境目がなだらかで、どちらが主旋律を担っているかを意識しなくても流れていく構造だ。

制作には時間がかかった。2015年頃には再始動の構想があったものの、ツアーの合間に未完成曲を試す進め方はうまくいかず、2016年にはそれぞれの私生活の事情も重なって作業が止まったとされる。その後、いったん離れて曲を聴き直したことで、ようやく曲の輪郭が見えてきたという流れである。こうした経緯を踏まえると、本作の落ち着いたまとまりは、単に従来路線を保った結果というより、時間をかけて不要な要素を外していった結果として受け止めやすい。

アルバムの中で際立つ曲

収録曲の中では「Fever」が、明確にドラムが入る曲として紹介されている。Kings Of Convenienceの作品では、こうしたリズムの入り方がかえって耳を引く。「Catholic Country」にはFeistが参加しており、ゲストの存在がアルバム全体の密度を少し変えている。Feistは同時代のインディー・フォーク/ポップ周辺でよく名前の挙がる人物で、彼女の参加によって本作が周辺のシーンとも緩やかにつながっていることが分かる。

また、制作面のエピソードとして「Rocky Trail」は、ライブ感を残す案と、ラジオ向けに厚みを加える案のあいだで検討されたという。完成形では、あくまでKings Of Convenienceの持ち味である簡潔さが前に出ている。大きく鳴らすより、音の置き方で変化を作るタイプのアルバムだ。

評価とチャートでの反応

リリース後の評価はおおむね好意的で、批評ではアコースティック中心の編成、ボサノヴァを思わせる整った旋律、2人の声のハーモニーが繰り返し取り上げられた。The Guardianは、愛と欲望の複雑さをほぼアコギ中心の編成で描いた復帰作として評価している。Pitchforkでも、楽曲の洒脱さや、音作りそのものが曲の印象を左右している点が指摘された。

英国のチャートでは、Official ChartsでVinyl Albums 4位、Record Store 2位、Americana 2位を記録した。大規模なヒット作というより、長く待たれた復帰作として専門チャートで存在感を示した作品である。2021年のリリース時点で、Kings Of Convenienceがなお現在形のデュオであることを改めて示した一枚でもある。

Kings Of Convenienceの中での位置づけ

Kings Of Convenienceは、2000年代以降のインディー・フォークやアコースティック・ポップの文脈で、過剰に飾らない編成の代表格として語られてきた。彼らの音楽は、同じ北欧のシンガーソングライターたちや、英米のインディー・フォーク勢と並べて語られることが多いが、本作でもその特徴はぶれていない。大きなアレンジ変更より、歌とギターの精度を詰めた作品である。

『Peace Or Love』は、長い空白を経て出された新作でありながら、急な変化を見せるアルバムではない。むしろ、これまでの作風を保ったまま、時間をかけて整え直した記録として聴きやすい。静かな曲調の中で、2人の声とギターの距離感が最後まできれいに保たれている点が、この作品の核になっている。

トラックリスト

  1. A1 Rumours 4:09
  2. A2 Rocky Trail 3:30
  3. A3 Comb My Hair 3:06
  4. A4 Angel 3:15
  5. A5 Love Is A Lonely Thing 2:45
  6. A6 Fever 3:56
  7. B1 Killers 3:53
  8. B2 Ask For Help 4:07
  9. B3 Catholic Country 3:00
  10. B4 Song About It 3:04
  11. B5 Washing Machine 2:46

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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