Klaatu - Sir Army Suit (1978)
Klaatu『Sir Army Suit』
カナダのプログレッシブ・ロック・グループ、Klaatuが1978年に発表した3作目。前作『Hope』の反動を受けて、より「直球のポップ・ソング」を目指して作られた作品として語られている。録音は1977年8月から1978年5月まで、トロントのSounds Interchangeで進められ、さらにテリー・ブラウン宅などでのモバイル録音も使われた。制作の中心には、John Woloschuk、Dee Long、Terry Draperの3人がいる。
制作背景と録音
本作では、曲「A Routine Day」のベッド・トラックもモバイル録音の環境で作られたとされ、弦編曲はEric Robertsonが担当した。テリー・ブラウンはこの時点でプロデューサー/エンジニアとして関わっており、後年のメンバー談では、BrownがRushやMax Websterの仕事で忙しくなり、作品ごとに役割が移っていったことも振り返られている。アルバムのレコード・ジャケットは、表面にKlaatuのロゴとタイトルがエンボス加工で入れられ、内側のダストジャケットはパウダー・ブルーのボール紙製で歌詞を収録していた。
ラベル表記では、全曲がKlaatu作曲、出版社はKlaatoons, Inc.、印刷はCanada表記。バックカバーには「Manufactured and distributed in Canada.」とあり、スパインには「(ER) Printed in Canada」の表記が見られる。ランアウトはエッチング主体で、JAMFと◎のみスタンプ。カナダ盤らしい体裁が細かく残る1枚。
時代の文脈
Klaatuは1970年代半ばに、ビートルズ再来説で注目を集めたバンドとして知られるが、その謎めいたイメージが崩れた後に出たのがこの『Sir Army Suit』だった。1978年夏の発売作として業界紙に掲載され、当時のレビューでは前作ほどビートルズ的ではないことや、AOR寄りの受け止め方が示されている。バンド自身は匿名性を保ったままだったため、作品単位での印象が先に立つ状況でもあった。
批評面では、AllMusicのPeter Kurtzが「A Routine Day」「Dear Christine」「Tokeymor Field」の60年代ポップ風の要素や、「Juicy Lucy」のホーンを伴うディスコ調の感触に触れつつ、ロックとポップの間を行き来するまとまりとして評している。Cash Boxは「近乎完璧な天才作」とまで評価し、「高音量で聴くべき」と紹介。Record Worldも、以前よりビートルズ色が薄れた点を指摘しながら、個性的なアルバムとして取り上げた。
後世への位置づけ
『Sir Army Suit』単体で広く知られた後年カバーの記録は見当たらない一方で、アルバム自体は長く「過小評価された作品」として回顧されている。40周年時の紹介でも、今なお再評価の対象として語られていた。Klaatuの作品群の中でも、制作の工夫と録音環境の具体性がよく残る1枚として、後から掘り返されることの多いタイトルになっている。
なお、主要なチャート実績については大きなヒット作としての記録は目立たず、当時の業界紙での紹介が中心となっている。1978年のカナダ盤オリジナルLPとして見ると、ジャケットや内袋の作りも含めて、当時のレコードとしてのまとまりが印象に残る。
トラックリスト
- A1 A Routine Day 3:07
- A2 Juicy Luicy 3:36
- A3 Everybody Took A Holiday 2:57
- A4 Older 3:13
- A5 Dear Christine 3:50
- B1 Mister Manson 4:13
- B2 Tokeymor Field 3:25
- B3 Perpetual Motion Machine 3:14
- B4 Cherie 3:03
- B5 Silly Boys 5:00
動画プレイリスト
-
Klaatu - A Routine Day | Sir Army Suit
-
Klaatu - Juicy Luicy | Sir Army Suit
-
Klaatu - Everybody Took A Holiday | Sir Army Suit
-
Klaatu - Older | Sir Army Suit
-
Klaatu - Dear Christine | Sir Army Suit
-
Klaatu - Mister Manson | Sir Army Suit
-
Klaatu - Tokeymor Field | Sir Army Suit
-
Klaatu - Perpetual Motion Machine | Sir Army Suit
-
Klaatu - Cherie | Sir Army Suit
-
Klaatu - Silly Boys | Sir Army Suit
このアーティストについて
Klaatuは、1973年にカナダ・トロントでジョン・ウォロシャックとディー・ロングが結成したロック・グループだ。のちにドラマーのテリー・ドレイパーが...
Klaatu のプロフィール・作品一覧