Kool & The Gang - Something Special (1981)
Kool & The Gang『Something Special』――80年代前半の勢いをそのまま刻んだ一枚
Kool & The Gangの『Something Special』は、1981年にUSのDe-Lite Recordsから出たアルバムで、彼らがディスコ以後のR&Bシーンで存在感を強めていた時期の作品だ。もともと60年代のジャズ・コンボとして始まり、70年代にファンクへ寄っていったこのグループは、1979年の『Ladies Night』でJ.T. Taylorを迎えてから流れが大きく変わった。本作はその勢いの延長線上にあり、Eumir Deodatoが引き続きプロデュースを担当している。
当時のKool & The Gangは、バンド色の強いファンクから、ラジオで流れやすい整ったソウル/ダンス・サウンドへと軸足を移していた。『Something Special』は、その変化がかなりはっきり出たアルバムで、演奏のまとまりとボーカルの聞かせ方が前面に出る。ロナルド・ベルとJ.T. Taylorを中心に曲作りが進み、グループ全体で作品を組み立てた形だ。
ヒット曲が作品の輪郭を決めている
このアルバムを語るうえで外せないのがシングル群だ。まず「Steppin' Out」はUSのR&Bチャートで12位、UKでも12位を記録している。「Take My Heart (You Can Have It If You Want It)」はUS R&Bチャート1位、ポップチャート17位、UK29位まで上昇した。そして最大のヒットが「Get Down On It」。US Hot 100で10位、R&Bチャートで4位、UKシングル・チャートでは3位を記録している。
「Get Down On It」は、Kool & The Gangの80年代を代表する曲として扱われることが多い。ロバート“クール”ベルは、スタジオでボブ・マーリーを聴いたあとにJ.T. Taylorがレゲエっぽいメロディを口にしたことがきっかけだったと語っている。ただし、曲そのものはレゲエに寄せ切ったものではなく、あくまでファンクとダンス・ポップの間を滑る作りだ。コーラスの反復が強く、当時のラジオ向けシングルとして機能しやすい構造になっている。
サウンドの印象
実際に聴くと、前に出るのはリズム隊とボーカルの整理された配置だ。70年代前半の粗いファンクに比べると、音の輪郭はかなり滑らかで、演奏はタイト、歌は明確にフロントへ置かれている。ディスコの時代が終わったあとも、そのダンス感をR&Bの中に残した作りで、ベースライン、手堅いドラム、短く切るギター、そしてJ.T. Taylorの伸びのある声が中心になる。
派手な長尺演奏や即興性で押すタイプではなく、曲ごとのフックを積み上げていく進行が目立つ。ここは、同時代のEarth, Wind & FireやThe Isley Brothersの洗練とも並べて語られることがある一方、Kool & The Gangはよりダンスフロア寄りの明快さを取っている。Deodatoのプロデュースが、音の隙間を埋めすぎず、しかしラジオで埋もれない程度に整えている点も大きい。
作品の位置づけ
『Something Special』は、Kool & The Gangが80年代に最も強かった時期の一枚に入る。前作『Celebrate!』で大きな成功を収めたあと、その路線を崩さずに続けたアルバムで、商業的にもBillboard 200でトップ20入り、R&Bアルバム・チャートでは1位を獲得した。RIAAのプラチナ認定も受けており、グループにとって3作連続のプラチナ・アルバムになっている。
英国でも反応は大きく、アルバム・チャートで10位に入った。Kool & The Gangにとって、UKで本格的なアルバム・ヒットになった作品として扱われることが多い。アメリカだけでなく、イギリスでもシングルとアルバムの両方が広く届いた点が、この時期の彼らの強さを示している。
De-Lite期の流れの中で
レーベルはDe-Lite Records。Kool & The GangとDe-Liteの関係は長く、70年代のファンク期からこのグループを支えてきた。本作が出た1981年は、レーベルとバンドの結びつきがまだ強く残っていた時期でもある。70年代後半のディスコ、ソウル、R&Bの流れを受けながら、80年代初頭のポップ・ファンクへ接続する位置にある一枚として見やすい。
結果として『Something Special』は、Kool & The Gangの変化がそのまま記録されたアルバムになっている。バンドの初期を知る人には別の顔を見せ、80年代のシングルヒットで覚えている人には、その入り口をはっきり示す内容だ。特に「Get Down On It」の存在が大きく、アルバム全体の印象もその曲の推進力に引っ張られる。80年代前半のKool & The Gangを押さえるうえで外せない作品。
トラックリスト
- A1 Steppin' Out 4:51
- A2 Good Time Tonight 4:59
- A3 Take My Heart (You Can Have It If You Want It) 4:01
- A4 Be My Lady 4:14
- B1 Get Down On It 4:58
- B2 Pass It On 4:34
- B3 Stand Up And Sing 4:35
- B4 No Show 4:25