La Bullonera - La Bullonera 2 (1977)
La Bullonera「La Bullonera 2」レビュー
1977年にスペイン盤として出たLa Bulloneraの2作目「La Bullonera 2」は、アラゴン地方のフォークと政治的メッセージが強く結びついた作品だ。グループ名そのものを冠した前作に続く形で、バンドの立ち位置や表現の軸が、そのままアルバムの輪郭になっている。アーティスト情報を見ると、中心にいるのはJavier Maestre、Eduardo Paz、Luis Fatás、Javier Masらで、アラゴンの民俗音楽を土台にしながら、当時の社会状況に対して明確な姿勢を取っていたことが分かる。
録音は1977年8月、マドリードのSonoland studioで行われている。リリース元はMovieplayで、スペインの70年代フォークやプロテスト・ソングを数多く扱ったレーベルの一つ。ジャケットはゲートフォールド仕様で、歌詞インサート付き。こうした体裁からも、単なる流通商品というより、作品全体を読ませる作りになっていることがうかがえる。
時代背景がそのまま音に乗るアルバム
La Bulloneraの音楽は、アラゴンの地域性と政治意識が強く結びついている。1970年代後半のスペインは、フランコ死後の移行期にあり、表現の自由はまだ完全には開いていなかった。デビュー作の段階でも検閲の影響があったとされ、この2作目もそうした空気の中で作られている。歌詞が政治犯、亡命者、社会運動、地域アイデンティティに触れる流れは、当時のスペインのカンシオン・プロテスタの文脈と重なる。
同時代のアラゴン系シンガーソングライターとしては、José Antonio LabordetaやJoaquín Carbonellの名前が並ぶ。La Bulloneraはその中でも、集団としての歌の形を保ちながら、地域の民謡を土台に政治的な言葉を乗せていく点が特徴的だ。個人の内省よりも、共同体の記憶や現実の方へ視線が向いている。
作品の位置づけ
ディスコグラフィーの流れを見ると、1976年のデビュー作「La Bullonera」、この1977年の「La Bullonera 2」、1979年の「La Bullonera 3」と続き、1980年の「Punto」へつながっていく。つまり本作は、バンドが最も強く政治性を前面に出していた時期の中心に置かれるアルバムだ。後年には1983年の「Del folklore aragonés: homenaje a Arnaudas」で民俗音楽への敬意をより明確に示しており、2003年には初期3作をまとめたボックス再発も出ている。そうした流れの中で見ると、「La Bullonera 2」はバンドの初期像を決定づける一枚として扱われている。
音の印象
実際に聴くと、派手なアレンジで押すタイプではなく、声と歌詞の重みが前に出る作り。アコースティックな編成を軸に、旋律は民謡の輪郭を残しつつ、言葉の切れ味で曲を進めていく。演奏の密度は高いが、音数で圧倒する方向ではない。むしろ、抑えた伴奏の中でフレーズの言い回しや合唱のまとまりが残るタイプで、聴き終えたあとに歌詞の内容が引っかかる構成になっている。
このアルバムには、いわゆる広く知られたヒット曲を押し出す感じは薄い。代わりに、作品全体が当時の空気を記録する役目を担っている。政治的な直接性、地域の言葉、フォークの形式、その三つが近い距離で並ぶ。スペインの70年代プロテスト・フォークを追ううえでは、La Bulloneraの存在感を理解するための重要な一枚だ。
まとめ
「La Bullonera 2」は、1977年のスペイン、特にアラゴンの社会的な緊張感を反映したフォーク作品。Movieplayからのオリジナル盤で、録音はマドリード、歌詞入りのゲートフォールド仕様という形で出ている。La Bulloneraというグループの政治性、地域性、民俗音楽への接近が、初期の到達点としてまとまったアルバムであり、同時代のLabordetaやCarbonellと並べて語られることの多い位置にある。
トラックリスト
- A1 Ver Para Creer
- A2 Tus Brazos
- A3 La Bolsa O La Vida
- A4 El Verrugón Atómico
- A5 Quién Te Ha Visto Y Quién Te Ve
- A6 Jota Carcelera
- B1 Aquí Nunca Pasa Nada
- B2 Bajo Aragón
- B3 Chuflas Del Bimilenario
- B4 Bienvenido Mr. Marshall
- B5 Jotas De Ronda : La Mujer, La Coyuntura Económica, La Despedida