Chad And Jeremy - Before And After (1965)
Chad & Jeremy 1965

Chad And Jeremy - Before And After (1965)

Pop Folk, World, & Country

Chad And Jeremy「Before And After」について

Chad And Jeremyの「Before And After」は、1965年に発表された作品で、イギリス出身のフォーク/ポップ・デュオが、アメリカのColumbiaへ移ってからの初期を示すアルバムとして位置づけられる。Chad StuartとJeremy Clydeの2人組による端正なハーモニーを軸にしながら、フォーク、ポップ、ロックンロールの要素が同居する時期の記録になっている。60年代中盤のブリティッシュ・インヴェイジョン以後の流れの中で、The SearchersやPeter & Gordon、The Turtles周辺のソフトなポップ感覚と並べて語られることが多いタイプの作品でもある。

作品の位置づけ

Chad And Jeremyは1963年にロンドンで結成され、アメリカ市場で活動の幅を広げていったデュオだ。「Before And After」は、その移籍後の初期Columbia盤として、本人サイトでも「最初のコロンビア録音」として扱われている。前後の時期を比べると、まだ複数の方向性を試している段階で、のちの洗練された路線へ向かう途中にあるアルバムという印象が強い。

制作はニューヨークのColumbiaスタジオで行われ、プロデューサーのロール・クレインが主導したとされる。スタジオ運用が厳格で、録音コストも高かったという回想が残っており、当時のメジャー・レーベルらしい制作環境がうかがえる。こうした背景もあって、音作りは小編成のフォーク・デュオというより、60年代アメリカン・ポップの制作物として整えられている。

収録曲と聴きどころ

タイトル曲「Before and After」は、この時期の彼らを代表する1曲として知られている。シングルとしても扱われ、滑らかに歌われた英米系ポップとして当時評価された。歌の進行が明快で、2人の声の重なりが前に出るタイプの曲で、Chad And Jeremyの持ち味がそのまま出ている。

また、「Evil-Hearted Me」や「What Do You Want With Me?」のような曲では、フォーク寄りの響きとポップな仕立てが並び、アルバム全体の性格をよく示している。本人の回想では「Tell Me Baby」が後の方向性を先取りしていたとされており、この1曲がアルバムの中で少し違う輪郭を持っているのも興味深い。全体としては、きっちりまとまった完成品というより、複数の要素が同居する過渡期の記録という見方がしやすい。

1965年当時の文脈

1965年は、イギリス勢のポップ・グループがアメリカのチャートを強く意識していた時期で、Chad And Jeremyもその流れの中にいる。ビート色の強いバンドが前景に出る一方で、彼らのように柔らかなハーモニーと抑制のきいたアレンジで聴かせるデュオも一定の存在感を持っていた。フォーク・ロックの広がり、ソフト・ポップの洗練、ティーン向けシングル文化の交差点にある作品として見ると、位置関係がわかりやすい。

メンバーの好みが分かれていたことも、本人の回想から伝わってくる。チャドはアレンジ志向、ジェレミーは「Evil-Hearted Me」のような曲調を好んだとされ、そうした差異が収録曲の並びにも反映されているように見える。2人組ならではのバランスの取り方が、アルバムの中身にそのまま出ている。

1981年日本盤について

ここで扱っているのは、1981年に日本で出たCBS/Sony盤で、カタログ番号は20AP 2119。オリジナルの1965年盤からかなり時間を置いた再発であり、日本市場向けに組まれた1枚になる。CBS/Sonyの80年代初頭のLPらしく、当時の国内流通の中で英国デュオの60年代作品を聴き直せる形になっている。

オリジナル盤と比べると、内容そのものは同じでも、手に取りやすさや入手経路は大きく違う。60年代の英米ポップを日本で改めて追える時期の盤として見ると、この再発の意味はわかりやすい。Chad And Jeremyの初期Columbia時代をまとめて確認するうえでも、1965年作品の輪郭を1981年の日本盤でたどれるのは大きい。

まとめ

「Before And After」は、Chad And Jeremyのキャリアの中でも、Columbia移籍後の初期を示すアルバムだ。タイトル曲の印象が強い一方で、全体にはフォーク、ポップ、ロックンロールの要素がまだ混ざっていて、デュオの方向性が固まりきる前の空気が残っている。60年代半ばの英米ポップの文脈の中で、ハーモニー・デュオの魅力とメジャー制作の整った音が交差する1枚として、今聴いてもその時代の輪郭が見えやすい作品である。

トラックリスト

  1. A1 Before And After 2:37
  2. A2 Why Should I Care 2:43
  3. A3 For Lovin' Me 2:13
  4. A4 I'm In Love Again 2:33
  5. A5 Little Does She Know 2:52
  6. A6 Tell Me Baby 3:12
  7. B1 What Do You Want With Me 2:53
  8. B2 Say It Isn't True 1:58
  9. B3 Fare Thee Well 2:08
  10. B4 Evil-Hearted Me 2:11
  11. B5 Can't Get Used To Losing You 1:59

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