Machiavel - Machiavel (First Recordings) (1976)
Machiavel『Machiavel』――ベルギー産プログレの出発点
ベルギーのプログレッシブ・ロック・バンド、Machiavelが1976年に発表したファースト・アルバム『Machiavel』。今回の盤は1980年にベルギーのMusic For Pleasureから出た再発盤で、オリジナルは1976年作として扱われる作品だ。バンドの初期像を知るうえで重要な一枚で、のちの代表曲や作風の変化へつながる土台がここにある。
Machiavelは1970年代前半に結成されたベルギーのロック・バンドで、デビュー時点では英国プログレの影響を強く受けたスタイルを持っていた。公式情報でも、このファーストはクラシック・ロックとブリティッシュ・プログレの要素を合わせた内容として位置づけられている。後年の『Jester』『Mechanical Moonbeams』、さらに歌手Mario Guccio加入後の方向性変化を思うと、このデビュー作はバンドの原点にあたる作品だ。
録音と作品の成り立ち
公開されている情報では、1976年初頭にブリュッセルのSay’s Studioで録音されたとされる。もともとメンバー自身のデモを土台にした作品で、未発表デモとして「To Be Free」「Don’t Remember」「When You Turn Green」などの曲名が挙がっている。スタジオ盤でありながら、バンドが現場で育ててきた素材をまとめた性格が見える。
収録曲の中には、ライヴで先に演奏されていたものも含まれていたようだ。つまり、このアルバムは“完成されたデビュー作”というより、ステージでの経験をそのまま反映した初期文書に近い。録音の空気感も、その素地を思わせる。
サウンドの印象
実際に聴くと、まず耳に入るのは英国プログレ由来の構成感だ。曲の展開は長めで、リズムやキーボードの動きに余白がある。ギターは前に出すぎず、アンサンブル全体の中で役割を分け合う形。派手な技巧の誇示より、曲の流れを崩さずに積み上げていく作りで、70年代前半から中盤のヨーロッパ産プログレらしい感触がある。
同時代の文脈で見ると、GenesisやYesの系譜を思わせる要素がありつつ、後のMachiavelほどの洗練やポップな押し出しはまだ強くない。むしろ、演奏のまとまりと楽曲の骨組みを確かめている段階に近い。のちにバンドが持つ“アートロック寄りの独自性”は、この時点ではまだ芽の段階だ。
バンドにとっての位置づけ
この作品は、Machiavelのディスコグラフィーの起点にあたる。1978年にはベルギーの年間投票で最優秀バンド、最優秀ライヴ、最優秀アルバムを獲得した記録があり、デビュー後に評価が高まっていった流れも見える。1979年以降は作品ごとに方向性を広げ、1980年の『Urban Games』でより広い層に届くサウンドへ進む。その意味で、このファーストは後の飛躍の前段階にある。
特に1980年の「Fly」がバンドの代表的なヒットとして知られるようになるが、その前にあるこの1976年作では、まだヒット狙いよりもバンドの基本形を固める姿勢が前面にある。後年の洗練された楽曲と比べると、荒さも含めて初期ならではの手触りが残る。
1980年盤について
今回の盤はベルギー盤のMusic For Pleasureリリースで、ジャケットには「Printed In Belgium」、レーベルには「Made In Holland」とある。オリジナルの1976年盤から少し時間を置いた再発で、当時の流通向けに出た一枚として見るのが自然だ。MFPは低価格再発で知られたレーベルで、こうしたカタログの再流通を担っていた。
この再発盤は、オリジナルの初出期よりも広く手に取れる形でMachiavelの初期像を伝える役割を持っていたはずだ。ベルギー産プログレの初期重要作として、バンドの歴史をたどる入口になっている。
まとめ
『Machiavel』は、Machiavelというバンドがどこから始まったのかを示す作品だ。英国プログレの影響を受けた構成、デモやライヴの蓄積をもとにした録音、そして後年の大きな成功へつながる前夜の空気。1976年という時点のベルギー・ロックの熱量をそのまま閉じ込めた初期盤として、静かに存在感を持つ一枚である。
トラックリスト
- A1 Johan's Brother Told Me 7:30
- A2 Cheerlesness 6:40
- A3 Cry No More 5:30
- B1 When John Died, Sirens Were Singing 9:20
- B2 I Am 1:30
- B3 Leave It Where It Can Stay 3:20