Marius Leirånes - Langtidsperspektiv (2021)
Marius Leirånes 2021

Marius Leirånes - Langtidsperspektiv (2021)

Rock Prog Rock

Marius Leirånes『Langtidsperspektiv』

ノルウェーのプログレ系バンド、Pixie Ninjaで活動するMarius Leirånesが2021年に発表したソロ作が『Langtidsperspektiv』。Apollon Recordsからのリリースで、収録は全5曲、演奏時間は約33分。タイトルに示された「長い時間の視点」という言葉どおり、個人史と土地の記憶を軸にしたコンセプト作品としてまとまっている。

この作品は、Leirånesの祖父母の家系にあたるLeirånes農場と、その周辺の歴史から着想を得た内容。本人は家族の土地や山々との結びつきをたどりながら調査を進め、1650年から1959年までの出来事を題材に曲を書いたとされる。農場の成立、移住、氷上での事故、戦争体験、1959年の火災といった具体的な出来事が、曲ごとのモチーフになっている点が大きい。歴史を年表のように並べるのではなく、静かな場面から緊張の高まりへ、悲劇から希望へと流れが組まれている構成。

音の面では、電子音楽、プログレ、アンビエント、ポストロックの要素を取り込んだ作り。Leirånes自身が多くの楽器を担当し、Jacob Holm-Lupo、Ketil Vestrum Einarsen、Gaute Storsve、Trond Gjellumら、北欧プログレ周辺で存在感のある演奏者が参加している。録音は2020年後半にノルウェーで行われ、Holm-Lupoが共同制作とミックスを担当。作品全体の輪郭を整える役回りになっている。

作品の位置づけ

『Langtidsperspektiv』は、Pixie Ninjaの活動とは別に、Marius Leirånesの個人性を前面に出した初のソロ作として位置づけられる。バンド作品で見せるプログレ的な構成感を土台にしつつ、ここでは家族の土地と記憶というテーマが中心に置かれている。題材がきわめて私的でありながら、扱い方は閉じていない。土地の歴史、移動、災害、戦争といった要素が入ることで、ノルウェーの地方史をたどる記録性も持っている。

北欧のプログレやオルタナティブ寄りの作品にある、派手な技巧よりも曲の流れや空気の変化を重視する作りが目立つ。Jacob Holm-Lupo周辺の作品に通じる、音像の整理された感じや、複数の要素を詰め込みながらも見通しを保つ感触もある。参加ミュージシャンの顔ぶれから見ても、同時代のノルウェー・プログレのネットワークの中で成立した作品として捉えやすい。

聴きどころ

全5曲という短めの構成ながら、各曲がひとつの出来事や局面を受け持っているため、アルバムとしての流れがはっきりしている。静かな導入から緊張を高め、場面が切り替わるたびに音の密度が変わる作りで、曲間のつながりにも意識が向いている。ギターや鍵盤のレイヤーが前に出る場面と、間を取る場面の差が明確で、物語を追う感覚が強い。

ジャケットやパッケージ面では、ダブルサイドのインサートが付属する。作品の背景にある土地の記憶や歴史を補足する役割としても機能しそうな仕様で、音だけでなく資料性も持たせた作りになっている。レコードとして手に取ったときに、アルバムのコンセプトがより伝わる構成。

まとめ

『Langtidsperspektiv』は、Marius Leirånesが自分のルーツに向き合い、その土地に残る歴史を音に置き換えた2021年作。Pixie Ninjaの延長線上にありながら、より個人的で、より物語性の強いアルバムとしてまとまっている。ノルウェーの風景や家族史を題材にしたプログレ作品として、静けさと緊張、記録性と感情の揺れが同居する一枚。

トラックリスト

  1. A1 Begynnelser
  2. A2 Amerika
  3. A3 Isen På Bukta
  4. B1 Granatsjokk
  5. B2 1959

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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