Stackridge - Extravaganza (1975)
Stackridge 1975

Stackridge - Extravaganza (1975)

Rock Jazz Prog Rock Art Rock Jazz-Rock Folk Rock

Stackridge『Extravaganza』について

Stackridgeの『Extravaganza』は、1975年に米国Sireから出たアルバムで、バンドの中でも少し性格の違う1枚として知られている作品だ。Stackridgeは英国のロック・グループで、初期からひねりのあるメロディとユーモア感覚で存在感を示してきたが、この作品ではそこにジャズ寄りの要素や管楽器の色が加わり、曲の作り方にも変化が見える。アート・ロック、ジャズ・ロック、プログレッシブ・ロック、フォーク・ロックが同居する内容で、バンドの幅広さがそのまま出たアルバムと言える。

作品の位置づけ

『Extravaganza』は、Stackridgeの中でも転換点にある作品だ。前作までの流れを引き継ぎつつも、新加入のサックス奏者Keith Gemmellの参加によって、音の輪郭がより明確になっている。ロック・バンドの編成に管楽器が入ることで、リフやアレンジの組み立てが少し変わり、リズムの置き方にもジャズの感触が出る。Stackridgeらしい軽妙さは残しながら、演奏面ではきっちり組み上げた印象が強い。

制作はAIR Studiosで行われ、Tony Ashtonとバンド自身の共同プロデュース。レーベルはSireで、米国盤としてはGatefold仕様で出ている。1970年代のSireは英国や欧州の個性派ロックを米国市場に持ち込む役割が大きく、この作品もその文脈に置ける。Sireのカタログの中では、後年のパンクやニューウェーブ以前の、プログレッシブ寄りの英国バンドを紹介していた時期の1枚だ。

収録内容と注目曲

収録曲の中では、「The Volunteer」「Spin ’Round the Room」「Earthworm」「Happy in the Lord」などが挙げられる。演奏の切り替えが細かく、曲ごとに雰囲気を変えながら進んでいく構成で、単純にメロディだけを追うアルバムではない。インストゥルメンタル的な感触や、楽器同士の掛け合いが前に出る場面もあり、バンドの技術面がはっきり出ている。

一方で、米国盤では曲順や収録曲に調整が入っている。US版『Extravaganza』では、「Spin ’Round The Room」と「Highbury Incident」が外され、その代わりに「Do The Stanley」と「The Indifferent Hedgehog」が収録された。つまり、同じタイトルでも英国盤と米国盤では内容が少し違う。米国盤を聴く場合は、この差が作品の印象に影響する。

サウンドの特徴

このアルバムの聴きどころは、軽いポップ感覚と、細かく組まれたアレンジの同居にある。Stackridgeは初期から独特のメロディ感を持っていたが、『Extravaganza』ではその個性が、より演奏寄りの方向へ振れている。楽器の配置が混み合う場面でも、ただ音数が多いだけではなく、フレーズの受け渡しや間の取り方に気を配った作りになっている。そうした部分に、当時の英国ロックの中でも少し変わった立ち位置が見える。

同時代のバンドで言えば、プログレッシブ・ロックの大作志向とは少し距離があり、むしろアート・ロックやジャズ・ロックの要素を持つ英国バンドの中に置くと分かりやすい。複雑さはあるが、過度に重くならず、曲の展開に遊びが残っているあたりがStackridgeらしい。後年の再発が少ない作品とされるのも、この少し外れた位置づけと無関係ではなさそうだ。

リリース時の扱い

1975年当時の評価はおおむね好意的で、内容の良さは認められていた。ファンにとってはMutter Slaterの復帰も見どころのひとつだったようだ。商業的には大ヒット作というより、作品性を重視したアルバムとして受け止められていた流れがある。米国Sire盤の内袋にABC/Dunhill系のピンクのファミリー・スリーブが使われていたという点も、当時の流通の雰囲気を感じさせる要素だ。

Stackridgeのアルバムの中では、派手な代表作というより、バンドの作風が少し変化した時期を示す1枚として見るのが自然だろう。初期の素朴な英国ロック感だけでなく、管楽器を含む編成で曲を組み立てる方向へ進んだ記録でもある。『Extravaganza』は、そうした変化をそのままパッケージした作品として、今聴いてもはっきり輪郭のあるアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 The Volunteer 5:03
  2. A2 Rufus T. Firefly 4:44
  3. A3 No Ones More Important Than The Earthworm 5:09
  4. A4 Grease Paint Smiles 4:02
  5. A5 Happy In The Lord 3:47
  6. B1 Benjamin's Giant Onion 4:02
  7. B2 Pocket Billiards 4:01
  8. B3 The Indifferent Hedgehog 3:15
  9. B4 Do The Stanley 3:00
  10. B5 Who's That Up There With Bill Stokes? 4:33

動画

Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "Jazz-Rock"

toast