Intergalactic Touring Band - The Intergalactic Touring Band (1977)
Intergalactic Touring Band 1977

Intergalactic Touring Band - The Intergalactic Touring Band (1977)

Electronic Rock Funk / Soul Funk Prog Rock Symphonic Rock Disco Parody

Intergalactic Touring Band『The Intergalactic Touring Band』(1977)

1977年にUKのCharismaから出た『The Intergalactic Touring Band』は、実在の固定バンドではなく、SF的な世界観を軸に組み立てられたコンセプト・アルバムだ。中心にいるのはプロデューサーのマーティ・スコットとスティーヴン・ガルファスで、そこにロッド・アージェント、アニー・ハズラム、ベン・E・キング、メイット・ローフ、アーサー・ブラウン、フランシス・ロッシ、リック・パーフィットら、ジャンルの違う参加者が集められている。単独のグループ名というより、企画そのものの名前として機能している作品である。

物語の軸は、世代をまたぐ宇宙旅行と人類の宇宙移住。収録曲はこのテーマをゆるやかにつないで進み、いわば「オールスター参加型のSF音楽劇」のような構成になっている。1977年という年は『スター・ウォーズ』公開直後でもあり、宇宙ものの熱気が音楽にも波及していた時期だが、この作品はその空気を真正面から取り込んだ企画盤として見られていた。制作側は便乗企画として扱われることに否定的だったようで、制作に約2年を要し、費用もかなり大きかったという報道が残っている。

UK盤の仕様

今回のUK盤はCharismaのカタログ番号CDS 4009。Charismaらしいプログレ系の文脈に置かれたリリースで、レーベルの持つ英国ロックの空気がそのまま乗っている。パッケージ面では、ピクチャー入りの内袋と、10インチ四方の12ページ・グロッシー・ブックレットが付属しており、歌詞、イラスト、クレジットをまとめて読める作りになっている。作品のコンセプトを、音だけでなく紙ものでも補強する仕様だ。

CharismaはGenesisやVan der Graaf Generator、Peter Hammill、The Niceといったアクトで知られる英国レーベルで、この作品もその流れの中で出てきた。派手なギミックのある企画盤でありながら、販売面では大きく跳ねた記録は目立たず、アルバム単体での強いヒットは確認しにくい。むしろ同年末にはシングル「Love Station」の販促が行われており、レーベルとしては曲単位でも押していた様子がうかがえる。

参加者の顔ぶれと聴きどころ

このアルバムの面白さは、参加ミュージシャンの組み合わせにある。プログレ寄りの感触を持つロッド・アージェントやアニー・ハズラム、ソウル方面のベン・E・キング、ハード寄りのメイット・ローフ、さらにフランシス・ロッシやリック・パーフィットまで加わることで、曲ごとに声や演奏の輪郭が変わる。ひとつのバンドの統一感より、参加者ごとの個性が前に出る作りで、そこが企画盤らしさになっている。

実際に聴くと、シンフォニック・ロック的な組み立てに、ディスコやファンクのリズム感、そしてSF的な語り口が重なる場面がある。音像はかなり1970年代後半らしく、スタジオで作り込んだ厚みがある一方、曲ごとの表情差も大きい。プログレの長尺構成を引きずりつつ、歌ものとしての分かりやすさも意識している印象だ。全体としては、参加者の豪華さが先に立つが、楽曲の中では宇宙旅行のストーリーを追うための展開がきちんと置かれている。

時代背景と作品の位置

この作品は、1976年7月に構想が動き出し、ニュージャージーのHouse of Musicやロンドンのスタジオで録音されたとされる。つまり、宇宙SFブームの真っただ中で組み上げられたアルバムだ。音楽的には、当時の英国ロックが持っていた大仰な構成力と、アメリカ側のポップ、ソウル、AOR的な感触が同居していて、チャリスマの看板群とは少し違う方向へ広がっている。

同時代の文脈で見ると、こうした「物語を先に置いた企画アルバム」は、プログレの大作志向やコンセプト・アルバム文化の延長線上にある。とはいえ、固定バンドの演奏を積み上げた作品ではなく、複数のスターを呼び込んで一つの世界を組み立てている点が特徴だ。そこには、70年代後半のスタジオ制作の自由さと、レーベル主導の大型企画の匂いがある。

まとめ

『The Intergalactic Touring Band』は、架空のバンド名を掲げながら、実際には豪華な参加者を束ねたSFコンセプト盤として残る作品だ。Charisma盤の英国オリジナルは、レーベルのプログレ文脈と1977年の宇宙ブームを同じ棚に並べたような存在で、パッケージも含めて企画意図がはっきりしている。大きなヒット作というより、当時の空気と参加者の顔ぶれをそのまま閉じ込めた一枚、という印象が強い。

トラックリスト

  1. A1 Approach (Overture) 2:41
  2. A2 Silver Lady 4:25
  3. A3 Universal Zoo / Why? 4:55
  4. A4 Starship Jingle 3:25
  5. A5 Heartbreaker 3:59
  6. A6 Reaching Out 4:08
  7. B1 First Landing 3:18
  8. B2 Space Commando 4:03
  9. B3 Robot Salesman 4:43
  10. B4 Love Station 2:54
  11. B5 A Planet Called Monday / Epilogue 4:34
  12. B6 Keeper Keep Us 3:46

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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