Mascara - See You In L.A. (1979)
Mascara『See You In L.A.』
1979年にUKのエンサイン・レコーズ(Ensign Records)からリリースされたマスカラ(Mascara)の唯一のフルアルバム。UKソウル・シーンの伝説的DJでありEnsignの共同創始者であるクリス・ヒル(Chris Hill)と、ミュンヘン・ディスコの名プロデューサーであるユルゲン・S・コルドゥレッチ(Jürgen S. Korduletsch)がタッグを組んだワンショットのスタジオ・プロジェクトである。
制作背景・エピソード
本作の大きな特徴は、西ドイツとニューヨークにまたがる制作プロセスにある。まず西ドイツでインストゥルメンタルのバッキング・トラックを録音し、その後ボーカルを録音するために制作陣はニューヨークへ渡った。そこで起用されたのが、当時ソロ・デビュー前でトップ・セッション・シンガーとして活躍していた若きルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross)をはじめ、デイヴィッド・ラスリー(David Lasley)、ウラ・ヘッドウィグ(Ula Hedwig)ら実力派シンガーたちだった。
歌入れの際、メロディを早く覚えようとしたルーサーがクリス・ヒルに「ガイド・ボーカルを歌ってくれ」と頼んだところ、ヒルが「俺は歌なんて全く歌えねえよ!」と返したというユーモラスな逸話も残されている。オリジナルLP発売当時は契約上の都合などからルーサーの名前はクレジットされていなかったが、耳の肥えたDJやリスナーの間でその圧倒的な歌声が瞬く間に評判となった。
時代の文脈とサウンド
1970年代末のディスコ・ブーム爛熟期において、ヨーロッパの洗練されたミュンヘン・ディスコのサウンドと、ニューヨーク屈指のソウル・ボーカルが融合した大西洋横断の意欲作。クリス・ヒルが持つフロア感覚とコルドゥレッチのタイトなプロダクションが見事に噛み合っている。
アルバムの白眉は、流麗なストリングスと華やかなディスコ・ビートに乗せてルーサーの伸びやかな美声とフェイクが冴え渡る表題曲「See You In L.A.」〜「Jet Plane Ride」のメドレー、そしてスウィートなモダン・ソウル/ブギー「It's Cool」。さらにデヴィッド・ボウイの「Golden Years」やメル・トーメのモッズ・クラシック「Comin' Home Baby」の華麗なディスコ・カバーも収録されている。
後世への影響・評価
1980年代以降にルーサー・ヴァンドロスが世界的なスーパースターへと登り詰めたことで、本作は「ブレイク前のルーサーがリード・ボーカルを担った幻のプロジェクト」としてUKソウル/レアグルーヴ・シーンで神格化された。
後年には英Expansion Recordsからルーサーの名前を前面に出した形でCDリイシューが行われ、ディスコ〜モダン・ソウル屈指の裏名盤として広く再評価されている。プレ・ソロ期のルーサー・ヴァンドロスの瑞々しくも圧倒的な歌唱が記録された貴重なコレクターズ・アイテムである。
トラックリスト
- A1 See You In L.A.
- A2 Jet Plane Ride
- A3 Golden Years
- A4 If You Don't Want To Be In My Life
- B1 It's Cool
- B2 I Feel So At Home Here
- B3 Comin' Home Baby
動画プレイリスト
このアーティストについて
マスカラ(Mascara)は、1979年に結成された米欧混成のスタジオ・ディスコ/ソウル・プロジェクト。ドイツのディスコ・レーベル「ロリポップ・レコー...
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