Masters At Work - Our Time Is Coming (2002)
Masters At Work 2002

Masters At Work - Our Time Is Coming (2002)

Electronic House

Masters At Work『Our Time Is Coming』

ニューヨークのハウス/ダンス・ミュージック界を牽引してきた屈指のプロデューサー・デュオ、マスターズ・アット・ワーク(Masters At Work: "リトル"・ルイ・ヴェガとケニー・"ドープ"・ゴンザレス)が、2002年にUKのsuSUレーベルからリリースしたフル・アルバム(US盤はTommy Boy / MAW Records)。1993年の『The Album』、そして1997年の歴史的プロジェクト「ニューヨリカン・ソウル(Nuyorican Soul)」の成功を経て、満を持してMAW名義で発表された集大成的一作である。

制作背景・エピソード

本作の最大の特徴は、ソウル、ジャズ、ラテン、アフロビートのレジェンドや名手を結集した超豪華なゲスト陣にある。タイトル曲「Our Time Is Coming」にはジャズ・ファンクの巨匠ロイ・エアーズ(Roy Ayers)が参加し、ヴィブラフォンとバッキング・ボーカルを披露。盟友インディア(India)を迎えた10分超の壮大なラテン・ソウル・ハウス「Backfired」をはじめ、70〜80年代のブラック・ミュージックを代表するパティ・オースティン(Patti Austin、「Like A Butterfly」)、ジェームス・イングラム(James Ingram、「Lean On Me」)、ステファニー・ミルズ(Stephanie Mills、「Latin Lover」)といった大御所シンガーが名を連ねる。

さらに、トリニダード・トバゴのソカ・シンガーであるデニス・ベルフォン(Denise Belfon)とプロデューサーのパパ・ナス-T(Puppah Nas-T)をフィーチャーした「Work」、フェラ・クティ(Fela Kuti)の名曲「Expensive Shit」へのオマージュであるアフロビート大作「MAW Expensive」、アルゼンチンの名ギタリストであるルイス・サリナス(Luis Salinas)を迎えた「Pienso En Ti」など、カリブやアフリカ、南米のルーツ・ミュージックを貪欲に融合させている。

録音とミックスは名匠デイヴ・ダーリントン(Dave Darlington)が担当。ジーン・ペレス(Gene Perez)のベース、ルイシート・キンテロ(Luisito Quintero)のパーカッション、マイク・シーロ(Mike Ciro)のギター、セラン・ラーナー(Selan Lerner)のキーボードなど、腕利きミュージシャンによる生演奏が全面的に導入された。UK盤のsuSU LP 01は、ノーザン・ソウルやデトロイト・テクノの普及で知られるニール・ラシュトン(Neil Rushton)らが立ち上げたソウルフル・ハウス専門レーベル「suSU」の第1弾アルバムとして送り出された。

時代の文脈

2000年代初頭は、90年代を通じて隆盛を極めたディープ・ハウス/ソウルフル・ハウスが成熟期を迎え、フロア向けシングルにとどまらず洗練されたリスニング・アルバムとしての完成度が求められていた時期にあたる。『Our Time Is Coming』は、ニューヨリカン・ソウルで培った生演奏の有機的なダイナミズムと、現場のダンスフロアを揺るがすファットなボトムエンドが見事に融合。70年代サルソウル・オーケストラやフィリー・ソウルの伝統を、21世紀初頭のクラブ・サウンドへと昇華させた決定打となった。

アルバムはハウス・ミュージックの枠組みを超えた音楽的な完成度が絶賛され、「Work」や「Backfired」をはじめとする先行・関連シングル群は米Billboardダンス・クラブ・チャートや全英クラブ・チャートを席巻した。

サウンドと後世への影響

打ち込み主体のダンス・トラックとは一線を画し、ジーン・ペレスのうねるベース、ルイシート・キンテロの躍動的なパーカッション、ロイ・エアーズの煌びやかなヴィブラフォンなど、生楽器の芳醇な響きが全編を彩る。大御所ボーカリストたちの資質を最大限に引き出しつつ、ピークタイムのフロアにも機能する洗練されたハウス・グルーヴへと結実させたアレンジの妙は、批評家筋からも絶賛を浴びた。

なかでも「Work」は、重厚なトライバル・パーカッションとデニス・ベルフォンの刺激的なボーカルが熱狂を呼び、世界中のダンスフロアを席巻した2000年代屈指のグローバル・クラブ・アンセムとなった。ボルチモア・クラブ、バイレファンキ、現代のテック・ハウスに至るまでサンプリングやリエディットが絶えない。また「Backfired」や「Our Time Is Coming」も、ソウルフル・ハウス/ラテン・ハウスの最高到達点として、現在も世界各地のDJにプレイされ続けている。

トラックリスト

  1. A1 Mr. V 1:03
  2. A2 Like A Butterfly 3:40
  3. A3 Backfired 7:30
  4. A4 Work 5:17
  5. B1 MAW Expensive (A Tribute To Fela) 4:48
  6. B2 Our Time Is Coming 4:56
  7. B3 Lovin' 0:27
  8. B4 Every Now And Than 6:30
  9. C1 Lean On Me 3:29
  10. C2 Life Is But A Dream 4:16
  11. C3 Back In The Day 0:46
  12. C4 Latin Lover 8:25
  13. D1 Pienso En Ti (I Think Of You) 6:19
  14. D2 Deep & Dirty 0:44
  15. D3 Michele's Message 2:17

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
Share
戻る

あわせて聴きたい "House"

toast