Oby Onyioha - I Want To Feel Your Love (1981)
Oby Onyioha『I Want To Feel Your Love』
1981年にナイジェリアのTime(Time Communications)から出た、Oby Onyioha(オビ・オニオハ)のデビュー・アルバム。ラゴス出身の女性シンガーである彼女を、「ナイジェリアのクインシー・ジョーンズ」と称される名プロデューサー/作編曲家Lemmy Jackson(レミー・ジャクソン)が全面的にプロデュースした作品で、カタログ番号はTLP 1002。プロデュースにとどまらず、アレンジ、キーボード、パーカッションまでLemmy Jackson自らが手がけ、腕利きのセッション・ミュージシャンたちとともに録音を進めた。
制作背景・エピソード
このアルバムは、ナイジェリアの短命なインディペンデント・レーベルTimeからのリリースだ。制作の核となったLemmy Jacksonは、スペーシーで洗練されたシンセサイザー・ワークと弾力あるベースラインを軸に全体を綿密に構築。そこにOby Onyiohaの涼しげで愛らしいボーカルが絶妙に溶け合い、アルバム全体の華やかなカラーを決定づけている。
収録曲の白眉は、今やアフロ・ディスコ屈指のキラー・チューンとして知られる「Enjoy Your Life」だ。多幸感あふれるコズミックなシンセ・リフと、疾走するファンキーなスラップベースがフロアを熱狂させる。ほかにもタイトル曲「I Want To Feel Your Love」や「Wait For Me」のようなメロウなミディアム・ブギー、さらにはイボ語のトラディショナルな響きとモダンなファンクが融合した「Nne N'enye」まで、捨て曲のない充実した構成を誇る。
時代の文脈
1970年代末から1980年代初頭のナイジェリアは、オイルブームの好景気を背景に、大都市ラゴスを中心に最新鋭の録音機材やシンセサイザーが導入され、ナイトクラブ文化が沸騰していた時期にあたる。フェラ・クティのアフロビートやハイライフ、ジュジュといった伝統的・土着的な音楽が主流だったシーンにおいて、欧米の最新ディスコ/ファンク/ブギーの潮流をダイレクトに取り入れた都会的なアフロ・ディスコ旋風が巻き起こっていた。
男性ミュージシャンが圧倒的に優位だった当時のナイジェリア音楽界において、Oby Onyiohaは自立したモダンで洗練された女性シンガーのパイオニアとして颯爽と登場し、シーンに鮮烈なインパクトを残した。
後世への影響とサウンドの魅力
発売当時はナイジェリアや西アフリカ周辺で大ヒットしたものの、レーベルの短命さと限られた流通のため、長らく世界の中古市場では超入手困難なメガレア盤としてカルト視されてきた。その後、2016年に英Soundway Recordsの金字塔コンピレーション『Doing It In Lagos: Boogie, Pop & Disco in 1980s Nigeria』に「Enjoy Your Life」が収録されたことで世界的な再評価が決定的なものとなった。
これを機にPMGやSoundwayからオフィシャル再発が実現し、現在ではクラブDJやバレアリック/ディスコ・シーンにおける不朽のアンセムとして愛され続けている。欧米のディスコにはないアフロ特有のうねりと、Lemmy Jacksonによるコズミックな音作り、そしてOby Onyiohaの甘美な歌声が奇跡的に結実した、ナイジェリアン・ディスコ/ブギー黄金期の最高峰に位置づけられる名盤だ。
トラックリスト
- A1 I Want To Feel Your Love
- A2 I'll Put It Right Again
- A3 Enjoy Your Life
- B1 Wait For Me
- B2 Here We Are
- B3 Nne N'enye