Otis Redding & Carla Thomas - King & Queen (1967)
Otis Redding & Carla Thomas『King & Queen』
オーティス・レディングとカーラ・トーマスによる『King & Queen』は、1967年3月にStaxから出たデュエット・アルバム。ソウルの強い個性を持つ二人が、男女の掛け合いを軸に既存曲を中心とした構成でまとめた作品で、Otis Reddingにとっては生前最後のスタジオ・アルバムでもある。Stax黄金期の空気、メンフィス録音の手触り、そして当時のR&Bシーンの流れが、そのまま一枚に収まっている盤。
Staxらしい、短い時間で濃く仕上げたデュエット作
企画の背景には、モータウンでマーヴィン・ゲイが女性シンガーとのデュエットで成功していた流れがある。Stax側も同じように、看板歌手同士を組ませて新しい魅力を打ち出そうとした形。録音は1967年1月中旬から下旬にかけて短期間で行われたとされ、プロデュースはジム・スチュワート。演奏はブッカー・T・&ザ・MG'sが担い、アイザック・ヘイズのピアノ、メンフィス・ホーンズも加わる。Staxのレコードらしい、リズム隊とホーンの噛み合わせがはっきりした作り。
カーラ・トーマスは当時、ワシントンD.C.のハワード大学で英文学を学んでいた時期で、レディングとの共演はキャリアの中でも特別な組み合わせになっている。オーティスはメンフィス出身、カーラもサザン・ソウルの文脈で育った歌い手で、声の質感が違いながらも、同じ土壌の音楽として自然にかみ合っている。
収録曲の中心はカバー、核は「Ooh Carla, Ooh Otis」と「Tramp」
全11曲のうち10曲が既存曲のカバーで、アルバムの中心を作るのが「Ooh Carla, Ooh Otis」と「Tramp」。前者はオーティスとアル・ベルの共作で、タイトル通り二人の名前を呼び合う掛け合いが楽しい。後者はローウェル・フルソンのブルースを元にした曲で、ここでは男女の痴話げんかのようなやり取りに変換されている。実際に聴くと、単なる掛け合いではなく、声の押し引きそのものが曲の推進力になっているのがよく分かる。
「Knock on Wood」「Tell It Like It Is」「When Something Is Wrong with My Baby」「Bring It On Home to Me」など、同時代ソウルの定番曲も並ぶ。中でも「It Takes Two」はマーヴィン・ゲイとキム・ウェストンのデュエットで知られる曲で、Staxがモータウンの成功例を意識していたことが見えやすい選曲。オーティスの少し荒れた声と、カーラの張りのある歌い方がぶつかる場面もあるが、それがこの盤の面白さになっている。
チャートでも結果を残した代表作
シングルの成績もはっきりしている。「Tramp」はBillboardのR&Bチャートで2位、Hot 100で26位。「Knock on Wood」もR&Bチャート8位、Hot 100で30位まで入っている。アルバムとしてはBillboard 200で36位、R&Bアルバム・チャートで5位、英国でも18位を記録した。Staxの看板アーティスト同士の組み合わせが、作品としても商業的にも機能した例として見てよさそうだ。
オーティス・レディングの位置づけとして
『King & Queen』は、オーティスのディスコグラフィーの中では『Otis Blue』や『The Dictionary of Soul』のような個人的な到達点とは少し役割が違う。ここではソロの表現者というより、相手との関係性を前に出した歌い手としての強さが出る。しかも1967年12月の事故死の前に出た最後のスタジオ・アルバムという点で、後年振り返ると印象が変わる作品でもある。
聴感上は、曲ごとの作り込みよりも、二人の声が交互に入る瞬間の温度が印象に残る。オーティスの語りかけるようなフレーズ、カーラの受け止め方、そこにMG'sのリズムが入ることで、曲が前へ進む。サザン・ソウルの中でも、Staxが持っていた演奏の生々しさと、男女デュエットの軽妙さが同居した一枚。60年代ソウルの文脈で見ると、モータウン的な洗練とは別の、メンフィスらしい実用感のあるデュエット作として位置づけられる。
ジャケットやクレジットの細部まで含めて、当時のUS Stax盤らしい空気がそのまま封じ込められた作品。タイトルどおり、王と女王の組み合わせを前提にしたアルバムだが、実際にはその上下関係よりも、対等にぶつかる歌の応酬が面白い。
トラックリスト
- A1 Knock On Wood 2:48
- A2 Let Me Be Good To You 2:48
- A3 Tramp 3:00
- A4 Tell It Like It Is 3:13
- A5 When Something Is Wrong With My Baby 3:02
- A6 Lovey Dovey 2:33
- B1 New Year's Resolution 3:14
- B2 It Takes Two 3:03
- B3 Are You Lonely For Me Baby 3:14
- B4 Bring It On Home To Me 2:33
- B5 Ooh Carla, Ooh Otis 2:32
動画プレイリスト
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Otis Redding - King & Queen - 01 - Knock On Wood
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Otis Redding - King & Queen - 02 - Let Me Be Good To You
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Otis Redding - King & Queen - 03 - Tramp
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Otis Redding - King & Queen - 04 - Tell It Like It Is
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Otis Redding - King & Queen - 05 - When Something Is Wrong With My Baby
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Otis Redding - King & Queen - 06 - Lovey Dovey
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Otis Redding - King & Queen - 07 - New Year's Resolution
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Otis Redding - King & Queen - 08 - It Takes Two
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Otis Redding - King & Queen - 09 - Are You Lobely For Me Baby
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Otis Redding - King & Queen - 10 - Bring It On Home To Me
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Otis Redding - King & Queen - 11 - Ooh Carla, Ooh Otis